第11話 ギルドの依頼を受ける
お父様が持っていた本には、主に、地上世界の歴史のことが書いてあったわ。バロン王国って、随分前の王国だったのね、今から1500年前くらいだって分かった。
「ギラン先生? 今日は?」
「ああ、エバマリン王国、地上へ行ってみようか?」
港の検問からはいるよ!
新品のCランクカードを出して見せる。
「おお、あんたか~ 頑張れよ!」 と、素直に入れてくれた。
私だって、冒険者登録してあるんだからね! 保護者付きだけどさ・・・
「ギラン先生、お買い物をしても良いですか?」
「ああ、いいよ、何を買うんだい?」
「はい、お菓子と、ケーキとそれに、果物と・・・」
「ははは、良いよ、ベスの好きなところに行けば」
「あの~先生? 勘違いしないでくださいね、これは、いつも世話になってる、マリリンとか、使用人さんたちとか、あとはお母様へのお土産なんですからね!」
「うん、知ってるよ?」
「そう?・・・・?」
いろいろたくさん買って、ポーチに突っ込んでいく・・・
「あら? お嬢ちゃん、良い鞄を持っているのね?」 そら、来た~~~
「ええ、私の大切な人から頂いたものよ~」
「そう? もっと、いっぱいはいるんでしょ? もっと買ってよ・・・おまけしてあげるから!」
あれ? でも、もうたくさん買ったし・・・
「ははは、おかみさんも商売上手ですねぇ~ でも、もうすでに食べきれないほど買いましたから、また今度、寄らせてもらいますよ・・・」
「ははは、そうかい? ならそうしておくれ・・・」
ふう~、助かった、先生、ナイス!です。
支払いは、私の持っている金ぴかのエバマリン金貨で払おうと思ったけど、全部で、銀貨3枚っていうから・・・銀貨を出しておいたわ。
「まあ、これはきれいな銀貨ね、お金を綺麗に大事にするって、良いことね!」
なんて言われたので、「はい!」って応えておいたわ。
「よし、ベス、ギルドで何か依頼を受けてみる?」
「はい!」
掲示板で張り出されている依頼票を眺めている・・・しかし・・・ちっちゃい私には、見えません!
それに、なんか奥のほうからの視線を感じるんですけど? 気配では、あのギルド長さんだね。特に用はないみたいだね、何か話してくることもないしね・・・・
「ギラン先生? 私には依頼票が見えません、どれか選んでいただけますか?」
「ははは、そうですね、ベスは少し背丈が足らないようです・・・」
いやいや、少しどころか、ほとんど? 全く! 足りていません・・・です。
「何が良いかな?~ ベス? なんでも良いのかい? (はい) じゃあ・・・」
と、ギラン先生が選んでくれたのは・・・
それは、ペットのワンちゃんを探して欲しいっていう、捜索依頼。
う~ん、ペットの捜索って? そんな依頼もあるの?
「そうだね、この依頼、結構前から掲示されているようだけど誰も受けてくれないみたいな気がする・・・」
う~ん、何かもっと、パットしたのはないのでしょうか・・・・
「やあ、ベスだったな、なんだ? 依頼を探しているのか?」
って、そらそら、ギルド長が出てきてしまいました・・・
「はい、えっと・・・ハドソンさん? ギルド長さん、こんにちは! そうです、何か良いものが残っていないかな~って思っているんです。それに、私には依頼票が見えませんので、ギランさんに見てもらっているんです」
「そうかそうか・・・確かに、ベスの背では見えないな…すまんな~ ああ、それとな、お前たちがみているそれな、依頼取り下げになる。もう期限切れだからな」
「そうなんですか・・・ ワンちゃんは見つかったのでしょうか?」
「いや、単に、依頼期限切れということだからな、見つかったかどうかは知らん・・・」
「ふ~ん・・・」
「ギルド長さん? 何か、良い依頼はありませんか?」
「そうだな・・・あるぞ!?」
「どんなのです?」
「ああ、最近、この街の東の山のほうで、魔狼の集団の目撃情報が多くてな、近くの村々がいつ襲われてもおかしくない、っていう報告があがっている。
まあ、それの調査と対応を、近々にギルドでもメンバーを募ってやろうか、という所なんだが、それを、ベスとギランに先に調べてもらう、っていうのはどうだ?」
「ははは、それ良いですね~ ベス? やってみる?」
「先生がそういうのなら・・・ベス、やります」
「おお、やってくれるのか? ありがとう。場合によっては危険だからな・・・頼める冒険者やパーティがなかなか見つからなかったんだよ、助かる!」
「はい、良いですよ、私たちが調べて、そして対処してきますよ・・・」
今、私たちは、ギルドの裏の人の気配のないところで、気配を消してそのまま上空に転移!して空中に浮いているよ・・・
これ、そのままだと、3分くらいで落ちるんだってギラン先生が言ってたけど・・あれ? 私、落ちる気配がありませ~ん・・・ ちっちゃくて軽いからなの?
「ははは、どうやら、ベスの「転移」は、神がかってるなぁ~」
なんか知らないけど、私は、かなり長く同じ場所に浮いていられるみたいだよ、海神様の加護かな~
なので、ちょこちょこっとこまめに空中を転移!しながら動けるの! 面白いね。
市場の上空、東西に走る中央通りの上空、そして、エバマリン王都の東門の上空・・・っていちいち空中で止まっては地上の様子を見ながら移動している。
東門を出ると一面に農作物の耕作地が広がっていて、その端には、魔物除けの外壁が作られているよ。そこから先は荒野、道はあるけどね。
さてさて、問題の場所は、とにかく王都から出て、どんどん東に進めば、村々が見えてくる、その更に先のあたりから魔狼たちが現れてくる、ということだね。
「先生? あのあたりでしょうか?」
「そうだろうね、ベス?」
「はいはい、分かってますって・・・気配を探ってみますね」
「そうそう、出来る?」
「も~う~、任せてくださいな!~」
マップ!魔物の気配を探る。マップに、2か所、魔物の集団の気配が表示されたよ。
少し北の山の方と、南側の海に近い方。
とりあえず、村々に近いから山側の集団の真上へ移動する。
更に詳細に気配を探るよ、魔狼!に間違いない。此処には40頭が集まっている。
でも、その集団から6頭が離れて、近くの村に向かって走っていったわね、あれは・・・偵察?かしら・・・
あっ、いけない、村にどんどん近づいていってるし・・・
村に着いて、その周りを、何かを探るように静かにゆっくり走っている。
あっ!駄目! 村から村人たちが、棒切れや錆びた剣を手にして出てきてる、魔狼たちに気がついたのね。でもそんな武器では、体長2m越えの魔狼一頭にも刃がたたないわよ。
3頭が村人たちと接触した、と同時に他の3頭が、村の裏手に回って走っていった。
「ベス? これヤバいよね~ どうすんの?」
「はい、とりあえず、人を襲うのは駄目です!・・・」
「ははは、良いよ、好きにしても・・・僕は見ててあげるから、平気だよね? できるよね?」
「はい!」
平気ですよ、出来ますとも、・・・つまり、やれ!ってことでしょう!?
村から少し離れたところに下りて姿を現してみたよ。
また、子供が!~ なんて言われるのよね、きっと。でも、良いわ、チャチャってやってしまいましょう。
「こんにちは~、冒険者で~す、助太刀します~」
「おお!・・・おお? 子供か!~ 大丈夫か?」
「お任せくださいな!~」
と、まず、最初に接触してきた3頭に落雷! ははは~ もうこれだけでひっくり返ってるわね、でも、ちゃんと仕上げをしなきゃね! 光射!で、3頭の眉間を抜いてやったわ!
さて、裏口も!
こっちでも、接触してるね、それに、こっちは男たちがいないの? 一人奥さんが腕を噛まれて血が出てるし・・・
落雷! 光射! で、3頭を射止めた。
走っていって、怪我した奥さんに回復! クリーン!
「ベス?」
「はいはい、分かってますってば・・・魔狼の追加集団が村に向かってきてる」
また、正面迄戻って、村人たちに伝える。
「魔狼の追加が群れでこっちに向かってきてます。今から行って対処しますから、一応、村のすべての入口を閉鎖して、村から出ないようにしていてください、お願いします!」
「おお~・・分かった、お嬢ちゃん、一人で大丈夫か~?」
「ははは、大丈夫ですよ~ 猫ちゃんもいますし・・・」
もう、気をきかせてくれたのか、ノアが肩の上に出ててくれてるしね・・・
「なんだ~? 猫だって? おいおい・・・・まあ、気を付けてくれや!~・・・」
まあ、任せなさい!って・・・
なんてやっていたら、いけない!遠くに見えるところまで奴らが来てしまった・・・
瞬間移動!を繰り返して、集団の真ん前まで移動。
フラッシュ!で私に気を惹きつけておいて・・・集団全部を範囲指定して、落雷! 強めで・・・
ほとんどが地に伏せたり腹を出して転がったけど、魔狼の中でも大きいのがいるのね、3mは越えてる? そいつら3頭がまだ立ってる。
ふふふ、良い面構えね、そんなに殺気やら悪意をぶつけているのね・・・・
おとなしくしてたら許してやったのに、残念よね!
重圧! 更に落雷! 轟音付きで、 さて、それ以上苦しまないようにね、光射!で、3頭の眉間を光が通り抜けていった・・・・
終わりです!
「ふう~、魔狼さんたち、安らかにね・・・」浄化! そして手を合わせておいた。
「ははは、ベス? 見事だね・・・・さあ、回収しようか? ギルド長に見せてやろう!」
はいはい、すべての魔狼たちを収納で回収しておいた。そんなに血は流れていないけど、そのあたりの地面を浄化! しておいたよ。
村へ戻った。ギラン先生も、ノアも一緒にだよ。
「おおお~、嬢ちゃん、あんたスゲェな!~ 助かったよ・・・ おお、なんだよ、保護者同伴だったのかよ、とにかくだ! 冒険者さんよ、ありがとう!」
って、なんか、深く頭を下げてもらってるけど・・・ 止めてよ! なんか照れくさい・・・
そこへ、裏口のあの奥さんが走って寄ってきて、私のところへ飛び掛かってくる・・・
身構えてしまったけど、私の前で止まってくれた。
「ああ、あんた、ありがとう! 噛まれたところも、なにもなかったみたいに、綺麗に直ってるし、あんた凄いね! ありがとうよ・・・ありがとう・・・」
って、そんな~ 私の前で泣かないでくれる? 私が泣かせたみたいじゃん?
「はい、みなさん、無事でよかったです。冒険者ギルドの依頼で魔狼の調査にきました、ベスって言います。それと、私の保護者のギランさんです、あと、この子はノアでした。では、私たちはまだ調査がありますから、これで失礼します。お元気で!」
<パチパチパチ・・・> あれ? 拍手されてる? なんか恥ずかしい・・・
深く一例して、手を振って瞬歩でサヨナラしました。
「どうだった?ベスはもう何も問題無いようだね?」
「いやいや、先生、何をおっしゃっているんです? ギラン先生は、少なくとも私が10歳までは保護者なんですからね!~」
「ははは、分かってるよ、任せなさい! さて、もう一か所あったよね、行こうか!」
はいはい、行きますってば・・・でも、・・・そうですよね、先生は厳しい! ちょっとの休憩も・・・あっ、はい、ありませんよね~
上空から見てるけど、海沿いには、小さな漁師さんたちの家がたくさん並んでいるわね。
ここは、波が穏やかなんだね。
そんな漁村の裏山のほうにいるわね、魔物!
魔狼20頭、あれ? ゴブリンも多いよ、30頭。ゴブリンは村を作っているわね。
しかもなによあれ・・・ゴブリンが魔狼を従えているの? ああ、そうか、ゴブリンの中に大きいのがいるわね、あれ、4mくらいありそう。
「ああ、あれはゴブリン・キングだね、他にも、3mくらいのリーダーが2頭いるね」
へぇ~、そうなんだぁ~
ゴブリンキングともなれば、魔狼なんて従えちゃうのね、強者優位ってことね・・・
魔狼たちとゴブリンが10匹、漁村の方へ向かって行くわね。
今、漁師さんたちが浜辺で、獲物の仕分けやら選別やら忙しそうだけど・・・
あっ、まずゴブリンが走っていったわね、気が付いた漁師さんたちも、銛や槍や棒切れを手にして臨戦態勢! でも、そこへ追い打ちとばかりに、魔狼たちが飛び掛かってくる・・・
「こんにちは~冒険者で~す、助太刀します~」
「おお・・・頼む・・・?うん? 子供か? おいおい、大丈夫か、無理するなよ!」
「うふふふ、お任せくださいな~」
ここは、ゴブリンも魔狼たちも全部まとめて・・・重圧!強めで・・・
とどめは、光射の雨で、頭や心臓を射貫くよ。
*魔狼20頭、ゴブリン10匹 回収
「おおお~~嬢ちゃん! あんたスゲェよ~ ありがとうよ!」
「はい、あと、このすぐ山の奥にゴブリンの村ができています。これから行って対処しますので、一応、気を付けていてくださいな~」
「おお、気をつけろよ!~」
ゴブリン村の上空に転移!地上の様子を探る・・・
あれは、追加で全員で出かける準備かな? そうはさせないからね~
村の範囲を指定して、落雷! ガリガリ・・・ゴロゴロ・・・バリバリ・・・
でもでも・・・確かに、大きいのがまだ立ってる。
キングにリーダー、ジェネラルって鑑定されてるわね。
それに、それ何を持っているのよ! それ人間から奪ったものじゃぁないの?
大きな大剣、綺麗な片手剣などを手にして、空に向かって振り回してる。
まさか? 私の気配が分かってる? ってことはないよね~
地上に下りて、姿を現した。
<ギャオ~~ギャギャギャ!>っていきなりよね、剣を構えて飛びかかってくる・・・
私だって・・・前にギラン先生から頂いていた、私専用の片手剣を取り出して、構える。
剣に魔力を流しつつ、三回、シュッシュッシュッって光刃の斬撃を飛ばした。
首狙い! 瞬間、3頭の首が落ちて、血が吹き出してきたわね・・・ちょっとグロイ!
これは・・・・ 回復!をかけてやったら、出血は止まったようだわ。
うん! 光刃・・・この剣は封印しよう、そうしよう!・・・
3頭にクリーン、清浄!をかけてから、収納に回収したよ。
あと、転がっている17匹のゴブリンも回収。
あたりを浄化!して、手を合わせておいたよ、安らかに・・・
<にゃん!>
えっ?何? ゴブリンの村を見ろって?
ゴブリンの大剣一本と、片手剣2本は回収したよ?
まあ、ノアが言うなら、きっと何かあるのね・・・
きちゃない小屋の中に入る。 うっ! 臭い!! クリーン! 清浄! あとは、自分に結界を纏ったわ。完璧でしょ?
マップ!でいろいろ探ってみる・・・
の前に・・・、部屋の隅の囲いの向こうに何かいるわね・・・
<ウ~ウ~グゥ~・・・>
覗き込んでみたよ。あれ? ワンちゃん? しかもなんかグッタリしてるし。
鑑定!では、病気、衰弱、栄養失調、状態異常・・・って? 死にかけてるよ!
あわてて、回復! 浄化! 清浄! クリーン! ヒール! ・・・
「ははは、ベス? もういいんじゃないの?」
いえいえ、先生? 念には念!ですよ・・・
<キュウウ~~ ・・・ワン!>
ほら、元気になったわね・・・良かった!
鑑定! ワンちゃんを・・・
*飼い犬、迷い犬
・名前:タロ 1歳
・飼い主:ケンタロウ 8歳
あれれれ? まさか? まあ、良いわ、連れて帰りましょう・・・
さてさて、それ以外は、キングが座っていた場所かな?そこの枯草をシュシュッってどかしてみたら、小さな箱があったよ。30cmくらいの箱。
どうせこれも、人間から獲得したものよね・・・
蓋をあければ・・・
*ゴブリンの宝箱
・エバマリン金貨 250枚 銀貨300枚
・腕輪(身体強化、剛力)
うふふふ・・・お金がありました!~ これは頂いても良いのよね?
先生の顔を伺ってみたら、うんうん、ってしてくれてるし、ありがたく!いただきましょう。
漁村へ戻った。
ワンちゃんのタロ君は、おとなしく付いてきてるよ。なになにこの子、よく躾されてるじゃん?
「おつ、嬢ちゃん、終わったのか? それとも逃げてきたのか?」
「ふふふ・・・終わりましたよ。見ますか?」
「・・・ああ・・・・」
なので、一番大きなキングを出してあげた。首なしの胴体だけね・・・
「おおおお~~~これはまたでかいなあ、こんなのがそこの山の中にいたんか~」
まあ、いつまでも出しておくものでもないしね、回収したよ。
「ギルドの依頼で魔狼の調査にきました、冒険者のベスです、それと私の保護者と猫ちゃんでした。では、これで失礼します・・・」
「おおお~~~、ありがてぇ! ありがとうよ!~~~」
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