第8話 悪徳貴族そして地上世界へ
先生と二手に別れて、先生は男爵の寝室へ、私は、書斎の方を調べることになったよ。
まあ、私の大昔の?知識から・・・・裏帳簿とか、脱税とか、違法物品取引とか、人身売買とか・・・そんな関係のものを見つければ良いよね、きっと。
とりあえず、書斎に入って、鑑定マップで、悪意感知、怪しい書類、って感じでやってみた。・・・みました! やってみたのに・・・反応無し?
なんだ・・・書斎には無いのかな?
(ベス? そこの机の右側の一番下の引き出し、怪しいよ・・・)
うん? ノアが教えてくれたので・・・・うっ! あれ開かないよ?
(あ、それ魔法鍵だから、ベスの魔法を纏わせた手で触れれば?)
はいはい・・・分かってますって・・・嘘だよ~ ノア、ありがとう。
あっ! 開いた!
中には、鞄が3個も入ってるよ?
黒い書類鞄、背負い鞄、あと一つは小さめな赤いポーチ。
ふふふ・・・これだね! きっと・・・
黒い書類鞄には、貴族手当の収支明細帳簿、同じものが2冊。片方をペラペラ見てみたけど、なんか訳わかんない明細のものが経費として計上されている、こっちが裏帳簿ね。
背負い鞄。私が触れたら、中身の明細が分かった。魔法鞄だね。
何かたくさん入ってる。盗品などが入れっぱなしになってるよね。
で、真っ赤な小さいポーチ。これも魔法鞄だよ。中身は宝石玉、宝石指輪、金銀の延べ棒、金貨と銀貨などなどがたくさん入っている。
(先生! 見つけました! 書斎の机の引き出しの中に、魔法鞄や書類鞄が入ってました)
(おお、ベス、よく見つけたね・・・)
先生が来てくれたので、いろいろ経緯を説明してみました。
(そう、魔力を纏わせて鞄に触れたんだ~ どれどれ? ああ、大丈夫だね。
あまり強い魔力でやっちゃうと、所有者がベスに変更になってしまうからね・・・上手にできたんだ~ 凄いね・・・)
えっ? そうなの? ・・・まあ、結果オーライということで・・・・
(ああ、書類の中には、男爵の署名の書類がたくさんあるし、魔法鞄の中身は・・・すごく貯め込んでいるんだな。それにポーチには、ああ、なるほど、金銀宝飾関係か・・・)
先生が書類を数枚取り出して、白い紙を取り出して手紙を書いてる・・・
お父様宛なのね・・・
(さあ、ベス、この書類と手紙とそのポーチを、君の父上に送ってくれるかな?)
(はい!)
と、返事をしたものの、ここから王宮のお父様のところまで? 送れるの?
<にゃん!>
あははは、そうだよね、ノア、手伝ってね!
先生に言われた物をまとめて・・・転送! お父様へ・・・
<にゃあ~>
ああ、そうね、上手く送れたよね、ノアありがとう。
(できたようだね、じゃあ、他のものはそのまま引き出しに戻して・・・)
(あっ、引き出しには魔法鍵がかかっていました・・・)
(ああ、まあ、良いだろうが、一応、僕がかけなおしておこう! 兵士たちがきたら解除して開けられるようにしよう・・・)
と、私たちは、そのまま姿を消したまま、男爵屋敷の屋根の上まで転移してそこで、休憩。
現在、乗り込んできた近衛騎士隊の捕り物を見学している。盗賊たちの抵抗も効いてないよ、隊長さんは来てないけど、班長さんたち以下が30人体制だ。
机の魔法鍵はもうとっくに先生が解除してあるから、騎士隊の皆さんがどんどん証拠物を回収している。
凄いな・・・・
(ベス? よくやった! さあ、今日はもう帰ろうか? 送ろうか? 一人で帰れる?)
う~ん・・・送って欲しいかな・・・・
(ははは、案外、甘えんぼさんだね。良し、送ってあげよう、部屋の前の庭で良いかな?)
(・・・はい・・・) 転移!
ふう~~、長い一日だったよ・・・まだ、お日様は高いけどね。
「じゃあ、ベス、僕も帰るから、今日は本当に良くやった。明日もがんばろうな!」
「はい!」
音も無く転移して消えたよ・・・・不思議なおじ様、ギラン先生、ありがとう!
「マリリン! ただいま~ ベスだよ~」
「はいはい、聞こえてますよ、お嬢様、無事お帰りで! お風呂にしますか?」
「そうね、まだ早いけど・・・シャワーで良いわ、シャワーにしましょ!」
「はい、では、用意致しますね・・・」
*
「ベスよ、今日はいろいろ頑張ったようじゃが、大丈夫か? 危なくはなかったか?」
「はい、お父様、ベスは全然・・・平気です。ギラン先生もノアも付いてくれてますし。
お父様には、近衛の兵士さんたちまで付けていただけたんですね・・・ありがとうございます」
「なんだ? ベスは分かっていたのか?」
「はい、分かっておりました。お陰で、怪しい子供と疑われましたが・・助かりました」
「ほほほ・・・そうかそうか、儂も役にたったのじゃな・・そうか、そうか」
「お父様、街中の者は、私のような子供の言うことは聞いてはくれないのですね、よく分かりました」
「そうじゃの・・・」
「それに、貴族の男爵のくせに、長年悪いことをしていたものです」
「そうじゃの、なかなか尻尾を捕まえられんかったようじゃの・・・」
「ベスは、ああいう貴族は嫌いです」
「ああ、そうじゃな・・・」
「すまんな、ベス、いろいろ儂も手が回らん・・・今日の件も、ギラン殿とベスのお陰だしの・・・」
「いえ、決して、お父様だけを責めているのではありません・・・ただ・・・」
「分かった、ベス、これからも、お前の力を貸してくれるとありがたい」
「はい、わかりました!」
「そうじゃ、これはきょうのベスへの報酬とする・・・」 って、あっ、赤いポーチ!
「中身は、一部だけ残しておいた。ベスのものだ、貰ってくれるか?」
「はい、良いのですか?」
「ああ、ほとんどの中身は、王国のため、国民の為に使うが、功労者への報酬も必要じゃろ?」
「・・・・はい、では、頂戴いたします。お父様、ありがとうございます」
「うんうん、ベス、お前は本当に良くできた子じゃ。ギラン殿にも報酬を用意してある。ベスからも伝えておいてくれ」
「はい、わかりました」
*赤いポーチ
・魔法鞄:(容量・大、時間停止)
・使用者制限:マリアナ王国第二王女、エリザベス(ベス)※
・3cm宝石玉:(ダイヤ、ルビー、サファイア、エメラルド、猫目石、翡翠、瑪瑙、琥珀):各2個
・マリアナ金貨500枚、マリアナ銀貨500枚
・ポーチの裏側に、マリアナ王国の刻印が押してあった※
・全体が綺麗になってる・・・※
「お父様・・・ベス専用に改良してくれてたの?・・・・もう~~」
これは、毎日ぶら下げていましょ! 鞄なら人前で使っても・・・不思議がられないよね?
<おまえさん、良い鞄をもっているんだなぁ~、それ高いんだろ?
俺によこせよ・・・>なんてのがくるかな? ビリビリってさせちゃうからね!
<まあ、まあ、お嬢ちゃんは良い鞄をもってるのね? どこぞのお嬢様?>
<これはね、私の大切なひとから貰ったものなのよ・・・ふんふん・・・>
さあ、もう寝ましょ・・・ おやすみなさい・・・・
▶ベス
・レベル 1000ー>1200 (公開100)
・魔力 1200ー>1500 (公開100)
「ギラン先生、おはようございます。今日もよろしくお願いします・・ね!」
「ははは、ベスはいつも元気いっぱいだね」
「はい!」
「それに、また、レベルが上がってるね・・・海神様の加護は凄いですね~」
「ところで、ベス? 冒険者って知ってる?」
「はい、本に書いてありました」
「そう? ベスは、なりたい? やってみたいとかある?」
「・・・はい、やってみたいです!」
「そう? じゃあ、この国でも良いけど、ちょっと地上の世界に行ってみようか?」
「えっ! 地上世界へ!? ベスでも行けるのでしょうか?」
「ああ、問題ないよ。そこの冒険者ギルドってところで登録するだけだから・・・」
どうやら、普通は、年齢制限があるらしい。10歳から登録できるらしいよ。
でも、例外があって・・・どこにでも例外はあるよね~・・・
本人のレベルが100以上なら年齢に関係なく登録してもらえるんだって。
私は?どうなの? って、自分をみてみたら・・・あれ? おかしい数字になってる!
レベル:1000。 偽装で公開レベルが100だって! なんか不思議。これは、絶対に! 冒険者登録をしなさい!っていわれてるわね。
6歳の冒険者がデビューするんだ~
もちろん、一応保護者同伴なんだって、10歳迄は一人でフラフラできてもしないこと、という制限があるらしいけど。
問題無いわよね・・・だって、保護者はいつも私の隣にいるしね!
ギラン先生と一緒に地上世界へ転移! 連れてきてもらいました。だって、私は、初めての地上世界だから・・・
でも~~なんか、マリアナ王国の世界と・・・変わんない!?
「ははは、ベス?どうしたのキョロキョロして・・・」
「先生、ここは本当に地上世界なんですか?」
「そうだよ、鑑定してみたの?」
ああ、そうだったわね・・・鑑定! マップ!
ああ、凄いわね、奥の方は、どこまで行っても地上の世界が広がっていて、海岸線と港があって、沖の方に海から飛び出した岩が見える。
そうか! あれが<竜人岩>! 凄いわ! 私、ベスの地上世界デビューです。
*地上世界へ
もう、私たちなんてシュン!ってどこでも行けちゃうんだけど、港の近くに内緒で下りて、歩いて港の検問みたいなところへ向かっているよ。
(初めてだからさ、一応、ちゃんとしたところから入ってみようか・・・)
(先生、並んでいる人たち、検問をくぐるときに何かを見せたりしてます・・・)
(ああ、身分証明書を見せるか無い場合は入場料を払っているんだよ、大丈夫、ベス、僕がすべてやるから、黙って見ていればね・・・)
「こんにちは、孫と一緒に観光です。これ、僕の冒険者カードです」
「おお、ようこそ、エバマリン王国へ・・・」
「カードに問題はないようだな、お嬢さんは?」
「ああ、この娘は6歳ですよ」
「そうか、まあ、悪い奴もいないわけではないからな、気をつけるんだぞ!」
「ええ、ありがとうございます」
*エバマリン王国
問題なくエバマリン王国というところに入れた。なんだ~先生ったら、冒険者カードを持ってるんだ~
あれを見せれば良いのね? 簡単!~
ついでなので、検問をくぐってからちょっと離れたところで、入ってくる人たちを観察させてもらったわ。
身分証明書の無い場合は、一人銅貨1枚を支払う。
あとは、大きな荷物を持ってる人は、簡単だけど中を検められる。
それと、悪意持ちだろうが、身分証を見せれば入ってこられる・・・・
(先生? 今入ってきた4人、あれは黒です!)
(ははは、分かったかい? そうそう、いろんな人が簡単に入ってこれてしまうからね・・・何も無ければいいのだけど・・・)
「さあ、行こうか? 冒険者ギルドへ、正面に見えてるだろ?大きな建物、あれがそうだよ」
「ふ~ん、立派な建物なんだね、儲かってるの?」
「こんにちは、冒険者登録をお願いしたいのだが・・・特別登録で!」
「えっ? 特別??登録??」
「はい、そうです」
「少しお待ちください・・・」 って、あれ? お姉さんが奥へ引っ込んでいったよ?
「おまたせしました、すみません、どうぞ、こちらへ・・・」
と、私たちはギルドの奥の奥まで案内されたよ? ドアーのところには「ギルド長」って札がかけられている。
「おお、お前たちか~ すまんな、<特別登録>なんてよ~、ここ最近ないものだからな、受付が戸惑ってしまってよ・・・」
「ええ、別にかまいません。今でもその制度はあるんですよね?」
「ああ、大丈夫だ、ちゃんと、ギルドの規則に書かれているしな・・・
ということで・・・ということはこのお嬢さん?ってことだな?」
「はい、お願いします」
と、棚から大きな水晶玉を取り出して、私に手を乗せろ、って・・・・
はいはい、言われるまま、私は聞き分けが良い娘ですからね・・・
「ほお~、レベル110かぁ~ レベルは問題ないな。 お嬢ちゃん、俺が少しあんたに殺気を放つからな、悪いが・・・我慢してくれるか?」
「はい、良いよ・・・、どうぞ~」
「ははは、腹の座った嬢ちゃんだな、よし、いくぞ~」
って・・・あれ? ギルド長さんの顔が厳しいよ? 汗かいてるし・・・具合が悪いの?
<おいおい、冗談じゃないぜ、全く。この嬢ちゃん、ビクともしてねぇ~ しかも、殺気を強くしてやったが、・・・これは俺に返ってきてるな・・・きついぜ~ >
「よし、終わりだ、どうだ嬢ちゃん?」
「えっ? おじさん、私になにかしたの? 気が付かなかったけど?」
<いやいや、冗談だろ? レベル300の俺の殺気を受けても平気なのか~ そういや、隣の保護者だろ? 彼も、何気ない顔でいやがる・・・なんなんだ?こいつら・・・早めに話を終えてしまおう・・・>
「ああ、大丈夫だ、確認はとれたから。一応合格だ。あ~一応というのはだな・・・」
と説明してくれたよ。
冒険者登録、特別登録に問題は何もないので、仮のカードを渡された。
ふふふ・・・もうもらえたの?
でも、それはあくまでも「仮」なので、ゴブリンか魔狼の魔石を10個以上もってこい、その時に、正式に冒険者として登録される、という仕組みなんだって・・・
やった~ 魔物と戦えるんだ~
「あの~、おじさん? (ハドソンだ!)、あっ、ハドソンさん、いつまでにとか期限はありますか?」
「ああ、まあ、一年以内ならいつでも良い、それを過ぎれば、その仮カードは無効になってしまうからな、気をつけてくれよ」
「はい、わかりました、今日はありがとうございました!」
と、ギラン先生とギルドから出てきたよ。
帰り際に、受付のおねえさんから、簡単な地図を渡されたよ。ゴブリンの多くいそうな場所を示したものだった。親切だね・・・
*ハドソン 冒険者ギルド港本部ギルド長
<ふぅ~~、出ていったか・・・何なんだ?アイツら。俺、レベル300って、結構、自慢だったんだが、自信なくすな~~ あっ、そうか~ 嬢ちゃんは指輪とか腕輪をはめてたよな、そうか! 魔道具だったか~ そうかそうか・・・なら納得だぜ、全く!驚かせやがって・・・>
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