第13話 読書は人との出会い
「本は亡くなった人の話が聞ける唯一の手段だ」
と、どこかの誰かが話していた。
幸来(サラ)は、特に好きな本のジャンルがある。
それは、一般公募された作品が集められた本だ。
本文は、言ってしまえば文章の素人が書いた作文のような経験談や手紙がそのまま収録されているものが多い。
人生の後輩小学生から大先輩まで、著者も幅広い。
最近は、受賞作がクイズ番組やニュース番組で取り上げられることが多い。
会ったことも、もちろん見たこともない人。
遠く離れた地、意外と同郷に住んでいる人。
そんな人たちが記す、経験談や誰かに宛てた手紙に笑い、感動させられる。不思議だ。
普段素っ気ないお爺さん(頑固ジジイと書かれていた)が、奥さんに宛てた短い手紙。小学生か!というような純粋素直な文章に癒された。
小学生5年生の男の子が、シングルマザーのお母さんに宛てた手紙。大人でも気付くことができてる人がどのくらい居るのだろうかという日頃の感謝の言葉に感動しつつ、自分の日頃に反省した。
結婚を控えた女性が綴った、幼い頃の父との記憶。子どもの相手をしなかった分、母を大事にしなさい!という叱咤激励とともに、長年働いてくれたことへの感謝がそこにはあった。
女性強し...そして感謝も忘れないアメとムチに少しクスッとした。
本を読みながら、本名なのかペンネームなのかすらも分からない人たちと、まるで対話をしたかのような気持ちになる。
今夜、地元で高校時代のプチ同窓会とやらが開催される。
幸来は欠席で回答していた。今でいう、カースト上位と呼ばれるキラキラしたクラスメイト主催のもので、自分のキラキラの無さを十分に承知しているつもりの幸来はお休みさせてもらうことにした。とそれらしい理由をつけたが、ただただ面倒だっただけだ。
狭く狭く人付き合いをする幸来は
こんな夜も、日本のどこかにいる小学生かお爺ちゃんか、それとも同世代か...会ったことのない多くの人たちと本を通して出会う。。。
ぼーっと。~読書しながら幸来(サラ)のヒトリゴト~ ペンサキ(先)。 @pensaki-202312
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