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 とにかく光を幼稚園に入れることが決定してしまった。バスが毎日迎えに来るらしい。あかりは大館のふとでないので、八幡幼稚園が市内でも格式高い幼稚園であるということがよく分からないらしい。


 光は光で、「ともだち……?」と首をかしげている。かわいい。


 なんでもとき子祖母ちゃんの無尽講の仲間に、八幡幼稚園の園長先生の奥さんがいるらしく、それでこうなったらしい。まあ、近所に同じ年ごろの子供はいないし、友達がいたほうがいいのは確かなことだ。


 友達、と言われると、俺はやはり中学のときあかりが友達になってくれたことをしみじみと思い出す。

 友達は大事だ。あかりとの暮らしを思って、思わず目頭が熱くなる。


 最初は慣らしということで昼前に帰ってくるそうなのだが、慣れてきたら弁当を持たせて午後も早期教育されるらしい。昔は英語教育に力を入れていたが、異世界にぶっ飛んで英語を話す必要がなくなり、いまは「創造性」を養うことを第一にしているのだそうだ。


 夕飯を食べつつ、茹でササミを翔平に食べさせる。果たして友達ができることを、光は喜ぶのだろうか。

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