第4話 信長の“親友”

「……織田信長の人間性は……変えちゃいけない……彼は……すごいカリスマだから……人を惹きつける……遊馬あすまは……信長の“親友”に……なって……豊臣秀吉……柴田勝家……明智光秀……丹波長秀にわながひで……を越えて……」

「……信長の“親友”……?」

「……うん……重臣じゃなくて……“親友”だよ……?」


 夢の言葉に遊馬は考え込む。


「……信長は……人のアドバイスを……聞かない……それをまず……変えなきゃ」

「それはつまり、俺の言うことを聞かせるということ?」

「平たく言えば……そう……そうしたら……誰に裏切られても……信長は……ひとりにならない……」


 なるほどと遊馬は頷く。が、疑問が残る。柴田勝家はまだ名前を聞いたことはあるが、どんな人だっけ?丹波長秀もわからない。


「ーー柴田勝家は“鬼柴田” 、“かかれ柴田”と呼ばれた武士よ。 鬼柴田は、武士の鑑とも言うべき武骨な柴田勝家を揶揄したあだ名。 そして、かかれ柴田は“戦場における突進力”が随一であったことから付けられたあだ名とされているわ。“死中に活を得るは突撃あるのみ”って言葉を残しているわ」

「丹波長秀は織田信長の天下統一を進める戦略に大きく貢献した戦国武将で、晩年は豊臣秀吉と不仲になったものの、実は秀吉は、羽柴秀吉へ改名する際に、丹羽長秀と柴田勝家のような存在になりたいと願って、2人の名から「羽」と「秀」、「柴」を採るほど、特別な存在と見なしていたという逸話があるのよ」


 飛鳥あすかしおりの補足が有難すぎて頭が上がらない遊馬である。歴史あるある。名前は聞いたことあるけどどんな人かよく分からない。


「柴田勝家、強そう。信長も強いんだけどさ。俺、そんなに強くなれるかな?」

「……遊馬……謙遜けんそんは駄目……タイムキーパーで1番強いのは……遊馬だから……」


 戸惑う遊馬をよそに飛鳥と栞は頷いている。


「……あと……人を導く資質は……よく似てる……だから……信長と……仲良くなれるよ……」


 相変わらず遊馬のことを全肯定する夢に女性陣は笑う。


「……過去に行って、信長と仲良くなるんはいいんだけどさ、ひとつ問題があるよ。俺たち、年とらないじゃん」


「「「あ」」」


 年をとらないのが当たり前すぎて、3人の声がハモる。

 そう。

 タイムキーパーは時空の変動に強い耐性を持つ。

 タイムマシンを使用しても安定率をキープできる。

 だが、その耐性は裏を返せば時の影響を受けないということで、その能力がピークに達した時の姿でタイムキーパーたちは成長が止まっている。


「……薬を……作ってもらう……?」

「ゔー、気は進まないけど仕方ないよな」


 彼の腕は確かだ。それは保証できる。ただ性格等いろいろ問題があるのだ。


「……相談してみるよ、播磨はりまに」


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『英雄』の定義 彩歌 @ayaka1016

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