風にのって

 このままでは、まずい。

 非常にまずい。


 俺は、ふと思い出したようにコンソールを表示した。


 ーお呼びですか?

 ご主人様。あらお顔がひどっ‥‥‥いい顔していますね♡うふふっ


「いまひどい顔って言おうとしたよね、なに、うふふって俺の顔見えてるの?」


 ーいえ。ご主人様は元々、いや、なんでもないです。

 そんなことに酷くはないですよmaybe。


「英語で言えば通じないとでも思ったか!!多分じゃないんだよ、早く助けて!」


 ーすみません。

 聞き取れませんでした。

 もう一度お願い致します。さあ。


「お願いします。助けてくださいーーー!!」


 俺の叫びは反響して自分の耳に響く。


 ー了解。

 下から風を送って上に上げます。

 では、強風にご注意下さい。


「ちょ、なに、強風って、もっと転移とかあるでしょ??」


 ‥‥‥。


 下から獣の重い叫び声みたいなのが聞こえてきたあとに、凄まじい強風で俺は上昇していく。


 口に風が入ってきて、口の中が乾く。

 歯医者の時にしてもらう風を当てられている気分になる。

 強風により俺は酷い顔をしているに違いない。

 もしスクリーンショットが撮れるならば、

 今がシャッターチャンス到来であろう。


「あがががっあーーっ」


 ー通訳

 息が出来ないだそうです。


 ーくそっ、シャッターチャンスだったのに。

  カメラ機能が備わっていればくそぉ。


 通訳どうもありがとう。

 あと、心の声が漏れてるぞ!

 俺は、上昇していく。

 先ほど落ちた場所まで行くと、地面がパタンと閉じた後に着地する。


 すたんっとカッコよく着地をした俺は、

 暗闇の中、一人カッコつける。

 誰もいない部屋で一人、鏡に向かって戦隊ヒーローの決めポーズをとる小学生の時のようだ。


 ふははははっ決まった。

 流し目をしても暗くて何も見えないため意味はないと思っていたが後ろからうわっキモっという声が聞こえる。


 いやいやキモくはないだろうよ。

 俺はね戦隊ヒーローになりたかったの!!

 ちなみにレッドね。

 やりたかったのだから仕方ないじゃん。

 男なら一度はやりたいことランキングトップ30にはランクインするよ。maybe。


ライトオン。

パチンと指を鳴らしてみるが照明が付くことはなかった。


「なにやってんの?」

「なにをしているのですか?」

「いえ、なんでもないで‥‥‥すっ」


俺は立ち上がり前が見えないので、二人に側にいてもらい俺の目になってもらうように頼んでみた。



 ♦︎ ♦︎ ♦︎


 作品を最後まで

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