後頭部のほうがいつの間にかハゲていた。そしていつのまにかドラゴンを
日が当たるまぶしさを感じる。もしかして外に出ているのか?
俺は目覚めようとするが視界が暗い。目を開けているが視界は暗いままだ。
そして後頭部にほうがやたらとすー、すーする。もしかしてストレスによる脱毛症の可能性がある。すぐに病院へ行きたいところだが、ここは異世界。例えば、ヒーラーがいたとして冒険者が一人、凶暴なモンスターによって回復しなければいけない傷を負ったとしたらヒーラーはすぐに回復魔法を唱えるだろう。しかし、だ、ヒーラーで治せないものはあるとしたらハゲだ。ハゲを治すということは、皮膚を治すわけではない。髪に育毛剤を使わず生やすことになる。それは、ヒーラーにできることなのか?おれは知りたいと思うのだった。
「おきて、おきてよ、はやと」
「おきてください。はやとさま」
身体を揺さぶられる。最初はやさしく、ゆりかごのようだ。ラブコメ主人公はうらやましい、こんな風に幼馴染や近所の美少女に朝、起こされるのは最高である。だんだんと強く、揺さぶられる。これは、違う。おれの理想ではない。
「いま、おきます!!」
がばっと起きる。朝日が目に眩しくあたる。俺は、片手で視界をふさぐ。現実にはないような森と太陽のコラボレーションによるきれいな景色。思わず、見とれてしまう。
「「おきたわね。のですね。これからドラゴンを倒しにいくわよ。いきます」」
「えっ??」
どうしてこうなった?俺は、知らない間に外に連れ出され森の中にいる。片手で後頭部を抑える。なぜか?後頭部に髪がない。髪がない。おいせめて、お姫様だっこでもいいからお願い。
「髪がなくても、はやとは変わらないわよっ。くぷぷぷっ」
「そうですね。たとえ髪がなくてハゲだとしてもかわっ。くふふふっ」
「ドラゴンなんていかないからな」
えっ?とふたりはクエスチョンマークを頭の上に出している。友達にカラオケに行こうって言われて、やっぱり行かないって断ったようなときのパターンとなる。
がしっと、身体を捕まれゆさゆさと揺らされる。
「どうしてよ、戦いたい、戦いたい、戦いたい」
「はやと様、お願いします。お願いします。お願いします」
「わかった。わかった。」
これ以上は、わがままを聞いていたらおかしくなりそうだ。
しかし、ドラゴンなんてどこにいるんだよ?
もしかして、嫌な予感がする。俺が寝ている間に何かが起きている。
この二人は俺に何かを隠している。下手な口笛をヒューヒューとやりながら、
横を向いている。こいつらやりやがった。仕組まれた作戦。
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