技名って結構簡単に見えて実はすごく奥深くて難しい。

―複数の魔物の反応を探知しました。人が襲われているようです。

助けますか?童帝様?


「YESに決まっている。これから魔剣無双の始まりだ!!」



「ふふん、狩りの時間ね。いいわ、私の実力見せてあげる!!」


―では、マーカーを配置。

目的地までの自動ルートを脳内にインストールします。


ピコンと頭の中に最短ルートが流れこんできて

視界に矢印が浮かび上がって見える。


クラリエは紋章の中に収まる

俺はルートを確認して救出に向かうことにした。

素早く走り出す。若い肉体だからか?走っていて疲労感を感じない。

走りながらコンソールを確認するとまだ魔物の群れに対抗しているように見える。まだ生きているのが、わかったところで俺はさらに走る速度を早める。

ハアハアと息が荒くなる。

呼吸がだんだん苦しくなっていく。

俺はその場で立ち止まってしまい息をととのえることにした。

それから、クラリエが紋章から出てきて俺の手をひいて走り出す。


「はやくこっち!」


この際、手をひいて近くの草むらに隠れるように姿を消す。加えて魔物が近くに潜んでいるようだ。クラリエが言うにはテイマーが指揮している可能性が高いらしい。

こちらから魔物と戦っている人を見るにそういう風には感じない。

冒険者と魔物が戦闘を行っている。はじめての異世界での戦闘シーンを目の当たりにして感動しているところだ。

俺はこういう異世界に憧れていたしライトノベルも数冊読んでいた。大人がライトノベルを買うのには抵抗が少しばかりあるかもしれないが

そんなものは関係ない。好きなものは好きそれでいい。


「今!!」

クラリエが草むらの中から急に飛び出して魔物と冒険者の間に入ろうとしている。

俺も慌てて後を追う。


「ちょ……まっ」


いざ、魔物を前にすると恐怖で足がガクガクしている。

―怖い。

クラリエは俺の前にいる。急に立ち止まり俺の方を向く。


「無双ってやつを見せてよ!?」


俺はバカな考えしていたようだ。これは恐怖ではない。俺が異世界を魔剣で無双するそのスタート記念となる機会だ。


俺は手のひら前に出してクラリエを魔剣に変える。

手に収まってた魔剣から力が溢れてくる。

最初は拒絶されていたが、今は俺のモノとなっているようだ。


俺は、魔剣を両手で持ち頭上より高く上げる。

高く上げた魔剣は赤黒い雲が魔剣の周りを取り囲むと赤い焔に形を変えていく。


俺はその溜まった焔を魔物たちの方にぶつける。

冒険者たちは、危険を察知したのか?既にいなくなっていた。

魔物は、冒険者たちを襲うのはやめていく。

狼のような姿をした金色の毛並みをしている。

鋭い牙や爪を持つ魔物。合計7匹くらいがキャンキャン言いながら周りと一緒に逃げようとしている。


逃がしはしない。

こういうとき技名を言った方がかっこいいのか?


まあいい。


――だぁりぃあぁぁぁぁぁぁ!!

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