脳内の天使と悪魔はどっち悪魔だった。しない後悔よりやって後悔の方がよい。

 2人の顔は恥ずかしさに赤く染まり互いに違う方を向く。


 俺は起き上がろうとした。しかしながら、

 脳内セキリティ、天使と悪魔が囁く。


 ―エープラン。このままでいいのです。顔を逆向きにして柔らくてエロい太ももをこれでもかと堪能するとよいでしょう。


 ―ビープラン。ゲヘヘっこのままじゃすまないだろお前の欲望は、顔を掴んでキスをした後にやっちゃうんだよ。今こそ聖剣を鞘から解放するんだよ。


 ダメだ!!

 どっちも悪魔だが天使の方がいいな。

 エープランを採用します!!


 顔を逆向きにシフトチェーンジっっっ!!


「きゃっ!!い、いきなり、ななななにしてんのよっ!!」


 俺の顔に強烈なパーが来る。避けることはできないか。


 グッバイ。太ももは最高だ!


 体操選手ならば金メダルを取れるかもしれないというくらい空中でクルクルと回転し壁に激突する。


 グシャという効果音とともに「はやと〜」という声が聞こえる。


 こんな効果音が聞こえて死んだと思ったか?

 なぜなら、異世界転生した俺は、怪我が治るのが早い気がするからだ。これも神の力か?


 大丈夫だ問題ない。


 すたっと俺は立ち上がった。


「あ、あんた、えっちなことするのが悪いんだからね……その……大丈夫だった?」


「大丈夫だ。怪我の治りが早い、痛いけど」


 身体を触って確認する。

 出血なし。アザなし。さっき殴られた腹部は問題なし。顔は確認できないがヒリヒリはする。

 もしかしたらパーの後が残っているかもな。

 どこかの侍のような十時キズみたいな感じになっていることだろう。


「そう。ならいいわ、そんなことよりも早く外に出たいわ」


「そんなことってなんだよ!外に出たいのは同感するけどな」


 言い合いながらダンジョンの出口の方に歩き出していく。


 入り口を通過したあと、俺はダンジョンの門を閉じるように命令してみる。


「閉じろ!!」


 門が閉じたのを確認する。横には美少女がう〜んと背中をグッと反らしている。俺はこれが、巨乳ならばどうなるのだろうか?やはり強調されるところはより強調されるのかと考えていると俺をギロっと睨みつける視線を感じる。まさか!テレパシーか何かで俺の声が……?


「はやと、いまわたしに対してなにか悪口みたいなこと言ったでしょ?分かるのよね〜。女の勘ってやつでねっ」


「そんなわけないじゃないですか〜、クラリエさん。俺がそんなこと思うやつに見える〜?はっはっはっ」



 睨みつける瞳はさらに強くなる。

 ああ、殴る用意してるんだけど。

 パキポキ鳴ってるから……。

 殴られる前に何とかしなければ!!


 ―すっ。



 突然、獣?狼のような遠吠えが耳に響いてくる。


 どこだ?森の方からか?



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