第12話 幼馴染の話3
「おはよう、今日も一緒に登校?朝からお熱いね」
良君がいつもの挨拶をしてくる。
中一の時、彼と私、あと別の高校に通ってる直樹君の仲良し三人組(直樹君曰く、仲良しじゃなくて呪われてるんだ)に、良君が加わり4人グループとなった。
逆ハーとか言われた事もあるが、良君はイケメンだ。10人中10人が同意するレベルのイケメンなのだが、重度のシスコンでもある。雪菜ちゃんをそれはもう溺愛している。そして、何故か彼に気があるっぽいので、なるべく二人っきりにさせないようにしている。
そして、彼もそれなりにイケメンだと思う。主観を抜きにして…というのは、小中と何度か告白をされそうになった事があるからだ。毎回未然に防いでいるので、告白された事が一度も無いせいか、度々彼はモテないと嘆くが、それを聞いた直樹君に幼馴染がいるだけで十分だろうがと引っ叩かれている。うんうん。
この二人はともかく最後の直樹君だけは残念な事に、非常に残念な事にイケメンではない。フツメン。その微妙な顔立ちに反して、素直だし親切だし人に寄り添う事の出来る心優しいやつなのだ。本人に言うと必死に否定してくるのだけどね。
大体、天邪鬼なんて子供じゃなんだから、素直になれないはダメだよ。もっと素直になればいいのにね、フツメンのツンデレなんて流行らないよ…ちゃんとその良い部分をアピール出来れば、告白はされないけど、告白したら運が良ければお付き合い出来るくらいにはなると思うんだよね。
あ、あと何か叫んだり唸ったりしている変な音楽を聴いているのもダメかな。カラオケ行っても流行りの歌とか皆が知ってる歌とか知らないし、開き直って自分の好きなジャンルに近いジャンルの曲を歌い出したというか叫び出した時は本当に酷かったからね。チョー最悪。誰にも需要がなさ過ぎて同窓生全員で歌うの禁止にしたくらい。ほんとダメダメ。
でもね、小学生の頃から私の抱いている彼への想いに気づき、陰に日向に応援してくれる。
だから、私も直樹君の恋は是非とも応援してあげたいと思っているんだけど、私に女の子紹介してとは一度も言ってこない。
ある時、何で私には聞いてこないの?言ってくれたら紹介してあげるのにって訊ねた事がある。
そしたら、直樹君は、もし私に紹介してもらったとして、その子と不仲になったりしたら、私とその子の関係が気不味くなるだろ、だから私には言わないんだって。いつも四人でいるんだから、そんなの気にしなくても良いのに。優しいねって思ったんだけど…その後、どうせお前の紹介してくれる子は不細工ばっかだから頼まねえって。
そういうところだよ、直樹君。
話が脱線してしまったけれど、良君とは、高校でも何故か同じクラスで、何故かいつも彼の前の席。
ま、私もいつも同じクラスだし、いつも隣の席なんだけどね。愛だよ愛。
「おはよう!そんなことないけどあるよ!」
「その答えはどうなんだ…。おはよう」
「そういえば、聞いたかい?今日転校生が来るらしいよ」
「女の子かな?男の子かな?お友達になれるといいなー」
女の子だったら、早く仲良くなって彼に近づかないように頑張らないとね。
可愛い子だったらどうしよう…彼を近づかせなければ良いよね。だって彼には私がいるもの。
「どっちでもいいよ」
「ったく、君も少しは興味持ちなよ。ま、君には真美ちゃんがいるからね。今も欠かさず朝起こしに行ってあげてるんだよね、一緒に登下校してるし。これで他の誰かに興味を持てって言っても土台無理な話だよね」
「えー、私にしか興味ないなんてー」
そっと彼を見ると、もう家族みたいなものだろう。って顔してる。
家族…つまり、それって私が奥さんって事だよね。
やだもう、頬が赤くなってくる。
「そうだ、今日は全校集会でしょ、早く行こっ」
恥ずかしくなって、早口に急かす。
「そうだね、そろそろ行かないとね」
「そういえば、そんなのあったな」
「君ってやつは…結花さんが生徒会長なのに知らなかったのかい」
本当だよ、――。
だから、結花さん早く出て行ったのに。なんで気づかないのかな。
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