第17話 男子校生と男子高校生
スマホが光る。
ん、消音にしてたんだっけ。
誰だ…表示されている名前を見る。
なんだ悟か、珍しいな電話してくるなんて。
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そういえば、俺、小学ん時に、悟と真美子と知り合ったんだけどさ。
あいつら、いつも一緒に居て変な奴らとか思ってたんだけど、いつの間にかあいつらと連むようになっててよ。なんで連むようになったかは覚えちゃいねえけど、何故か6年間同じクラスだった。3クラスあって6年間同じとか意味分かんなくね?
んで、中学ん時にもう1人加わって、三年間は4人で連んでたんだけど、中学も3年間同じクラスだった。中学なんて7クラスもあったんだぜ、運が良いとかそういう次元の話じゃないよな、呪われてんじゃねえの俺ら。
高校は、俺だけ頭が悪りぃんで別の学校行ってるんだけど、あいつら3人は同じ学校に通ってる。しかも共学なんだぜ、羨ましい。俺も女の子と青春してえよ。ちくしょう。
で、あいつらさ、恐ろしい事に高校でも同じクラスらしいんだよ…2年間も、絶対来年も同じクラスだぜ。やべえよな。違う学校で良かったよ、出会いねえけど。
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「うぃ」
「久しぶり」
「電話のかけ方忘れないように練習でもしてんのか?」
「そうだな、ボケ防止に最適だな。で、ちょっと相談があるんだが」
「壺は買わねえよ」
「残念だ…が、そうじゃない」
「じゃあなんだよ、還付金でも貰えるからATM行けっつーのかよ」
「違う!詐欺から離れろ!……実はな…昨夜…気が付いたのだが、憧れていた物語の主人公だったのが、俺だった。どうしたらいい」
「病院行け、じゃあな」
「待て、最後まで話を聞け」
「こっから続くのかよ、もう終わりでいいだろうが、面倒くさいから切るぞ」
「あのさ、俺は、ずっと俺に幼馴染とか義理の姉妹が居たらいいなと思っていたんだよ。そうしたら、既に居るんだよ。俺はどうしたらいいんだ」
なんでこいつ話続けてんの?頭湧いてんの?これ何の相談?
「よく聞いてくれ、俺は真剣なんだ。真剣にどうしたらいいか悩んでいる。お前なら俺の悩みに答えられる!頼む!」
なんで一人で盛り上がってハードル上げてくんのやめろよ。
こいつこんなキャラだっけ?未成年のくせに酔ってんの?
なりすましにしては頭おかしすぎんだろ、こいつ。
「そんな事より、昨日会った可愛い子の話しようぜ。お前の学校の制服着てたんだけどさ」
「そんな事とはなんだ!俺にとってはとても大事な事なんだ」
「俺のも大事なんだけど!」
「お前はフラれるから大丈夫だ」
「フラれるの前提なのかよ!少しは希望持たせろよ!共学行ってんだから女の子の一人や二人紹介しろよ、クソがぁ!」
「仕方ない、相談に乗ってくれたら一考しよう」
「じゃあ、相談に乗ってやろう。で、なんだ。ハーレムでも作りたいのか?日本は重婚禁止だけど、結婚しなきゃセーフだ。ご近所さんの目が冷たそうだけどな」
「ハーレムを作りたいわけじゃない、この状況で俺はどうしたらいいのかで悩んでいる。そうだな…前世の記憶を持ったまま転生した主人公って感じなんだ」
「いいか、前世の記憶を持って転生したとして…、ゲームの内容を知ってて意味があるのは、そのゲームの主役クラスの登場人物に転生した場合だけだぞ。考えてみろよ、街のパン屋の二代目くらいの普通の奴に転生したって、何の価値もない記憶を持ってるだけなんだからな。精々、偶に大通りや外門を通り過ぎるお貴族様の馬車とか見て、あの美人なお嬢さんはあと何か月後かに処刑されるんだぜ程度なんだよ。ご町内の噂レベルなんだよ。わかるか?わかるよな?」
「そう言われるとそうかもしれないが、記憶と環境は違う」
「はぁ、お前な、普通、幼馴染なんてのは、幼稚園頃に大きくなったら結婚しようねとか約束したとしてだな、小学生になって一緒に遊んだり学校行ったりすると、周りに揶揄われたりとかで、一緒にいるのが恥ずかしくなって距離置いたりして、距離置いたら置いたで気まずくなって普通に話せなくなっちまうんだけど、幼馴染が気になってチラチラ見たりなんかしちゃって、結局その微妙な距離感のまま、中学に上がって、そのうち幼馴染一家が同じマンションから引越するんで、その手伝いとかしちゃうんだけど、お互い気まずくて素っ気ないやり取りとかしちゃうんだよ。幼馴染が誰々にチョコ渡したとか告白されたとかそんなのに興味ねえよって態度とりつつ、すごい気になったりしてさ。何でか偶に家族旅行のお土産とかもらったりして、意味わかんねえよ。でも気にするだけで何にもしなくて、別に幼馴染の事なんて好きだった時ねえしとか強がったりしちゃったまま中学卒業して、高校に入って、母ちゃんから、あの子中学の時の同級生と付き合ってるみたいなんだけど、お父さんが気に入ってないみたいとかいらない情報くれたり、その後、別れたとかもっといらねえ情報くれたりよぉ、うっかり駅で幼馴染のおばさんに、あら、なおちゃん久しぶりね、元気してた。とかいい加減ちゃん付けすんのやめてよってなったりした挙句、ああ、俺、幼馴染の事が好きだったんだなって思い返すぐらいなんだよ。わかるか?おい、わかってんのかよ」
「お前の勢いだけはわかった」
「なんで、そんな冷めてんだよ。幼馴染の事だろーが、のれよ!のってこいよ!」
「すまん、そんなに幼馴染の事を熱く語られるとは思っていなかったもんでな」
「そうじゃねえよ。普通の幼馴染ってのはそんなもんなんだよ。だからお前と真美子は普通じゃねえんだよ。そこはわかるよな?」
「なるほど、それは理解した」
「それでだ、お前はいま可愛いなとか一緒に居たいなと思える子が周りいる?」
「えっと、お「真美子以外でだ!」…いない」
「答え出てんじゃねえか!」
「…お前が言うならそうなんだろうな」
「俺の中じゃねえよ!お前の頭ん中どうなってんだよ。もうあいつと付き合えよ、お前にはあいつしかいねえだろ。あいつ、ちょっとアレだし、偶に怖えけど。お前らお似合いだよ。」
「義姉妹たちもいるんだけど、どうしたらいい?」
「俺が欲しいわ!結花さんと美緒ちゃんを俺にくれよ!」
「やらん。俺の大事な義姉さんと義妹だ、渡さん」
「お前、鈍感主人公かなんかなの?まいいや、相談乗ってやったんだから女の子紹介しろよーじゃーなー」
昨日、電車で会った可愛い子が誰だかわからなかったけど、女の子は紹介してもらえるな。
うひょー、楽しみだぜ
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