第18話 男子校生とクリスマスイブ
今日は男子校通う大半の学生にとって一年で二番目に最悪な日、そうクリスマスイブだ。
そして、うちの学校は進学校でもないのに、週二で八限まで授業があり、今日がその日だ。
全くもって最悪だ。
fvkk!
落ち着け俺。
帰宅ラッシュに紛れてさっさと帰ろう。
さっさと帰りたいのだが、自宅に帰るには若者の街と揶揄されるような街にある駅で電車を乗り換える必要がある。
そこには当然、帰宅するおっさん、おばちゃん、兄ちゃん、お姉さんに混じり奴らがいるのだ。
もうおわかりいただけただろうか、そう、バカップルどもだ。
二人の時間を過ごしたいなら、もっと人のいない場所へ行けば良いと思う。
富士の樹海とかな!
陰キャよろしく俯き早歩きで通り過ぎる。
よく考えなくても良いけど考えてみて欲しい、恋人の居ない人間が、ほぼカップルしかいない人混みの中をのんびり歩けるのかと。足早に通り過ぎるだろ?誰だってそうする。俺だってそうする。
俺は、この難関なミッションを華麗にクリアし、電車に乗り込む。
ここは始発駅なので、好きな場所に座れる。
後から乗ってきて隣に座った綺麗なお姉さんはお疲れなのか、俺の肩を枕にして熟睡していた。
割と大きめな胸を押し当ててくれて嬉しかったけど、スカートから覗く足が半開きになっててさ、向かいに座ってるおっさんがガン見してるんだよ。俺と変われよ…ちくしょう。
腕に当たる胸の感触…って言っても柔らかいわけじゃないんだよ、ブラの硬い感触だよ。ちくしょう。嬉しいけど…と、半開きの足の間から覗くパンツ。
どっちが幸せなのかとかどんなパンツ穿いてんだろうとか悩んでいるうちに地元駅。
立ち上がったら、お姉さんはそのまま倒れた…ごめんなさい。
駅の階段を鼻歌混じりに駆け降りる。
駅のロータリーに着くと
「あれ、今帰り?」
香澄に声をかけられる。
菊 香澄、中学時代の友人で今は女子校に通っている。
中学の頃は西村と仲良かったんで、ついでに俺も遊んでもらってた記憶しか無いんだけど、割と家が近くて通う方向が同じ(学校あるのが同じ駅)だからなのか、高校生になってからは、行き帰りに世間話をする程度には仲が良い。
偶に友達と出掛けた写真とか見せてくれるんだけど、何の意味があるのかさっぱりわかんねえ。可愛かったり美人だったりする友達を自慢してえの?お前だって十分可愛いだろうって思うんだけどな、俺は。でも写真見ちゃうと…残念ながら香澄は普通だなってなるんだよなー、お前の友達ってアイドルとかモデルなの?頭身とかおかしくね?
「おう、学校帰りだ。ただいま!」
「おかえり、彼女とデートしてたのかと思っちゃったよ」
「出会いなんかないっつーの」
「そっかそっか、じゃあ、今ってちょっと時間ある感じ?嫌じゃなければさ、私と付き合って欲しいんだけど…」
上目遣いでお願いしてくる。いつも以上に可愛く思えるのはイブ補正か。
この小悪魔め
「いいぜ、どこ行くんだ?」
「うふふ」
例え付いていった先で怖い兄ちゃんらに囲まれたとしても、そこそこ可愛い女の子に声かけられたら、ついて行かないわけにはいかないんだぜ。
商店街に向かって歩くこと数分
「ここだよー、いらっしゃい」
「なん…だと…」
「もうこの時間だと売れないからさ、買っていってよ!安くしとくね」
「酷いっ!あたしのこと騙したのね!!」
安くしとくってお前が値段決めてるわけじゃないだろうが。
しかもイブにケーキ屋で閉店までバイトって絶対彼氏いないだろ。
男の子じゃなくてケーキお持ち帰りするんだろ。知ってるよ。
ちょっと北風強くて涙出てきた。
バーロー
買ったケーキは家族で美味しく頂きました。
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