第7話 転校生の話4

 電車に乗ります。

 今度はちゃんと確認したので大丈夫です。

 再び、窓から流れる風景を楽しみたいと思います。


 乗車駅を過ぎ…

 二つ目の駅を…通り過ぎました。

 三つ目…ん?

 四つ目……あれ?

 五つ目………あれれ?

 おかしいですね、通過していきます。

 ああ、次が降りる駅ですね、さて、降りる準備を、おぉぉぉお?

 なんで通り過ぎちゃうんですかぁぁぁー


 そんな私の耳に、非情な車内アナウンスが聞こえてきます。

 停車駅は、あと二つ先の駅のようです。

 嗚呼、なんということでしょう、私は快速という電車に乗ってしまったようです。

 仕方ありません、次の駅で降りてまだ逆方面に乗らないといけません。

 時間はまだ大丈夫です。前と違って電車は直ぐ来ますから、間に合います。


 やっと停車駅に着きました。ふう。

 まだ学校の最寄り駅にも着いていないのにとても疲れた気がします。

 今度はしっかりと発車案内板を確認します。


 さて、次の電車は何分に…って、ふおぉぉぉ 通過って何ですかぁぁぁ


 次の電車は10分後、これはまずいですね。

 学校まで普通に歩いていくと遅刻してしまいそうです…

 電車の中で走っても早く着くわけではないですからね。

 大人しく電車を待つことにします。


 ………


 やっと電車が着ました。

 今回は、流石に窓から流れる風景を楽しめません。

 停車駅を指折り数えます。

 

 無事、降車駅に到着です。

 しかし、思ってた以上に利用者が多い駅ですね。

 不慣れとはいえ、改札に辿り着くまでに随分と時間がかかってしまいました。


 初日から遅刻するという不名誉な事態は絶対に避けなくて。

 急がなければなりません!


 改札口を出てると、急ぎ足で駅前のロータリーを抜け、大通りを渡るのですが、

 交通量の多い通りらしく、なかなか信号が変わりません。

 思わず足踏みしちゃいましたが、やっと青になりました。もう駆け足です。


 大通りを渡り終えると、商店街の中を通っていきます。

 立派なアーケード付の商店街なのに、所々お店を閉めてしまっているようです。

 個人経営のお店というのは集客とか後継者とか色々な問題があって厳しいのでしょうか。大型スーパーやモールの方が良いって人も多いですけど、私は、お店のおじさんやおばさんと会話しつつお買物する方が好きです。流石に、服はモールへ買いに行ってしまいますがっと、いけません。急いでいるんでした。


 商店街を抜けると学校が見えてきました。

 なんとか間に合うでしょうか…ギリギリアウトっぽい気がしてきましたね。

 ラストスパートです!


 ………


 ふぅ、なんとかギリギリ、本当にギリギリで到着しました。

 全校集会が終わったらしく生徒が校舎へ移動しているのが見えます。

 なるべく走らないように気を付けながら早足で受付に向かいます。


 あとは、職員室へ行くだけです。

 さぁ、もうひと踏ん張りですよ、私!

 

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