第8話 男子校生と転校生

 どうでもいいけど、今日は1限が休みだ。

 理由?そんなのどうでもいいだろ、気にすんなよ。ハゲるぞ。


 そんなわけで、朝はのんびり家を出る。

 のんびりって言うほどのんびりはしてらんないけど。

 ま、いつもよりかはのんびりだ。

 しかし、この時間帯は人の往来が少なくっていいな。

 道も空いてるし、電車も座っていける。


 座って車内をぼけーっと眺めてると、ドアの閉まるアナウンスが聞こえ、それと同時にドアから学生が駆け込んでくるのが見えた。

 ん、よく見るとあの子ちっちゃいな、小学生か。小学生にしては老けてっけど顔は可愛いな。マジ好み。ロリコンじゃないけど。

 でもなんで、小学生が高校の制服着てるんだ。

 ああ、合法ロリの高校生なのか。それなら問題ないじゃん。

 見た目が小学生って某漫画のツンデレっぽいな…でも、あれ中身おばちゃんなんだよな。なんかおばちゃんって肩とかバシバシ叩いてくるよな。地味に痛いしさ。最低だな、中身おばちゃん。早くおばちゃんに戻れよ。

 しっかしどっかで見た制服着てるなーあの子。あ、どっかで見たも何もあいつらの学校の制服じゃん。

 なんで逆方向に慌てて乗ってきてんだよ。寝ぼけてんのかよ。

 

 あの子の事をなんとなく目で追ってたら、次の停車駅のアナウンスで顔が引き攣ってんぞ。あれか、うっかり逆方面乗っちゃったって感じか。もう入学シーズン過ぎてんぞ、ドジっ子だな。顔は超好みなんだけど。


 お、駅に着くと反対側に向かっていった。暇だし気になるし面白そうだからついて行こう。顔かわいいからな。ほんとマジ可愛いんだけど、何年生だよ。あいつらに聞いたら知ってるかな。


 そっとあの子の後ろに立つ。

 おい、お前ら、ストーカーじゃねえからな、通報すんなよ。

 今の気持ちは、初めてのおつかいを見守る親御さんの気持ちだから。セーフだよ。


 なんかあの子真剣に発車案内板確認して頷いてるけど、本当に大丈夫か、次来るの快速だぞ。

 あ、乗っちゃった。すげえなおい、あの子乗ったぞ。やべー面白すぎる。

 顔は可愛いのに頭やべえな。

 おっと、俺も乗らないと。


 お、楽しそうに窓の外見だしたぞ…楽しそうな顔も可愛いな。

 あの子、段々と表情が無くなってきて……おい、いまの見たか?あの子の学校の駅通り過ぎるとき、見るからにガーンって顔しやがって。思わず笑っちまったよ。


 やっと快速停車駅に着いたなって、なんだあの子競歩みたいに歩くの速いな。

 なんか早く行かなきゃって顔になってるけど、もう遅刻確定だろ。

 だって、次は来るの通過電車だぞ。


 あ、もうこの世の終わりです。みたいな表情してるから、通過だって気づいたんだろうな…なんかもう笑えるの通り越して不憫に思えてきた。

 頑張れ。俺は見守っているぞ。


 電車が着たか…

 あの子、顔色悪くなってない?ホームで倒れたりしない?ちゃんと電車に乗れる?

 もう不安しかねぇよ。


 ふぅ、ちゃんと乗れたみたいだな。

 降りる駅までの数を数えてるっぽいなって、何で指折り数えてんだよ。

 幼稚園児かよ、無駄に可愛いなその仕草。くそっ。

 無事、学校のある駅(俺の地元駅だよ)で降りてった。

 遅刻確定だけど、まぁ頑張って。可愛いから不審者には気をつけるんだぞ。


 はぁ、まだ学校行く前なのにものすごい疲労感あるんだけど…


 因みに俺も遅刻した。

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