第24話-護りし者と…
ウィルは一冊の本を僕の方へ寄せて渡す。
「この本が、今から話す内容に一番近い内容だ。守護者っていうのはね、亡くなった生物の意識エネルギーのようなものらしい。生前に体を動かしていた動力、御霊、幽霊、魂、命、まぁそんな感じの奴だよ。ここからは、科学的には証明しきれていない分野なんだけどね?」
ウキウキと話すウィルを見て、彼にとって最高に好ましい分野なのだと察する。
「ああこれは、魔物の話に繋がる話なんだね。」
イングリスの王太子は物静かで思慮深く洞察力に長けている。なんて聞いていたけれど、こちらが飾らない彼の姿なのかもしれない。
ウィルはパッと顔を明るくして頷いた。
「そう!だけどね、守護者と魔物はまた別物だから、まずは守護者について話そう。」
あれやこれやとウィルは話してくれるが、簡単に言うと、守護者とは宿り主と縁のある肉体を持たないエネルギー体。つまり先祖や肉親の幽霊の事らしい。
幽霊にも出来る事、出来ないこと、好みなんかもあり誰にでも守護者として憑くわけではないのだという。
僕の場合は母上が、僕を護り導いてくれているのだそうだ。肖像画でしか見たことが無いために母という存在はイマイチ分からない。
「サユはその守護者の意識が伝える事を読み取り、また意思疎通もできる。質問すれば答えが返ってくる。」
なんとも不思議な話だが、ゾエもまた未来視をしているため、実在する話なのだろう。
けれど、守護者という者達が元は人間なのなら、子孫に有利になるように先手を打つなんて事は無いのだろうか。
「その、守護者ってのは巫女を騙すために嘘を言ったりはしないの?」
「あ、それは……」
サユが説明しようとすると、ウィルが先に僕に口を開いた。
「クリス、それが魔物と呼ばれるものの正体だよ。」
ああ、なるほど。何だか分かった気がした。魔物とは、何なのか。
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