第23話-神に愛されし-2
「彼女は巫女なんだよ。」
「巫女?」
「こっちの言葉で言うなら聖女、かな。神に祝福された御子だ。君の国にもいるだろう?預言者って呼ばれてる。」
僕はハッとする。ゾエの事だ。
こんな所で名前を聞くとは思わなかった。ウィルはサユ姫の隣に座ると彼女を諌めるように見つめた。
「サユ、視えた事をいきなり言葉にされたら誰だってびっくりする。いつも言っているよね?」
「申し訳ございません。」
落ち込んだように謝罪を口にするサユ姫に何かを企んでいるような様子はない。
ウィルは僕の方を見て、そして改めて頭を下げてくる。
「驚かせてしまい本当に申し訳ない。サユはね、その人に憑いた守護者と対話できるんだ」
よく分からず困った様にウィルを見ると、彼も困り顔で笑った。
「私も最初はそんな感じだったな。」
ウィルは、未だに申し訳無さそうに俯くサユに寄り添い、ポンポンと彼女の頭を優しく撫でる。
「サユ、クリスなら大丈夫なんだろう?」
「はい。彼は信頼できるお方です。」
ウィルの言葉に、サユ姫は慌てて顔を上げる。
「なら、そんなに小さくなっていては彼に要らぬ誤解をさせてしまう。さ、前を向いて。」
「は、はい。」
おずおずとサユ姫が僕の方を見つめてくる。
「……?」
いったい何の話をしているのだろう。話が見えない。
しかしウィルが僕に貴重な資料を見せてくれるのは、巫女の助言によるものなのだなと予測できた。
まぁ、急いても仕方ない。国王との晩餐に間に合うなら、今日はその他に予定は無い。
僕は彼らの言葉を待つように、にこりと微笑みを浮かべた。
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