第7章 来訪者5
ついに激昂した俺がそう叫ぼうとした瞬間だった。
バターン!!
凄まじい勢いでドアが蹴破られ、飛び込んできたのは俺、ではなくて、
あ、朝比奈さん!?
「なぁーーにやってんですかあー!!キョンくんーー!!!」
「え、ええ、えっとですね、これはですね」
動揺しまくりの俺D。お前と一緒に来た朝比奈さんか。
「どうしてもってキョンくんが土下座するから、秘密の時間移動までしたというのに……」
こめかみピクピク。握り拳プルプル。キュートなお顔の頬を膨らませて……こりゃいかん。愛すべきSOS団のマスコットガールは非常にお怒りのご様子であらせられる。
「何をやってるかと思えば、さんざん規定事項をひっくり返して…………挙句の果てには涼宮さんのお惚気大会……!」
あーうんうん。そりゃ温厚な朝比奈さんも激怒するわな。
「いや、あのこれにはですね、海より深ーい訳がございまして」
どんな訳だか言ってみろ。断言するが幼児向けビニールプールより底の浅い理由だ。
「問答無用ですっ!」
言うやいなや朝比奈さんは俺Dの目の前に、なにやら金属製の銀色の棒を突き出して、そいつがピカッ!
「にゃふん」
鯛の刺身をゲットしたシャミセンの嬌声の如き声を発し、くたりと崩れ落ちる俺D。
「「「わあっ」」」
一斉に後ずさる残りの俺達。
ああそれ映画で見た事ありますウィルスミスが出てたメンインブラックとかいう映画でそいつが光ると記憶が飛んじゃうんですよねちなみに当初はタランティーノが監督予定でそれはそれで見てみたいというかあと続編ではマイケルジャクソンがカメオ出演を……
恐怖のあまり喋りまくる俺を尻目に、朝比奈さんは未来から来た俺たちの前に銀の棒を突き出して、
ピカッ「ふにゃ」
ピカッ「もっふ」
ピカッ「ふわあ」
あっというまに計4人の俺を気絶させてしまった。
あは。あはは。あは。あはははは。
かくして俺の部屋の中には、俺と気絶した俺と俺と俺と俺。そして何やらぶつぶつと呟く朝比奈さん。もはやシュールを越え、ホラーの領域へと事態は移行中である。
「……規定事項……TP修正……記憶を消して上書き……最悪、脳手術で……記憶強制削除……」
ど、どうやら朝比奈さんのお仕事に関する独り言のようであるが、豪く物騒な単語が聞こえる気がするのは、ええ、勿論気のせいですよね。
ギロリ
な、何故こちらを睨まれるので?
「元はといえば……」
え?
「キョンくんがさっさと涼宮さんに告白しないから、こんな事に……!」
えええええ?!
いやそれは何か違うのでは? と言いかけた俺の前に銀の棒が突き出され、そいつがピカッ。
「あふん」
(間抜けな声を出してしまったな)と思ったのを最後に、俺の意識はそこで途絶え───
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