ケルドの末路
ケルドに向かって、俺は、普通のファイアボールを放ったつもりだったのだけれど、
どうやら俺のファイアボールは、ケルドにとって予想外の大きさだったようで、驚きのあまり眉が上に上がっているのが一目見てわかる。
筋肉が膨れ上がっているケルドは肉体が大きくなっていても心の方はデカくはなっていないようだ。
「本当にファイアボールかよ!!」
「えっ?これは普通だろ!!」
そんなこと言いつつ俺は、ファイアボールを放ち続ける。森がファイアーボールで炎上しつつも構わずに投げ続ける。俺は怒っているのだ。
彼女の涙は偽物ではなかった。本当は助けを求めていたのだ。それに気づけなかった自分が情けないなど思うようになっていた。
「降参。降参、もう何もしない。彼女のことから手を引くから、な、頼むよ」
「そうか、許すよ。なんていうと思ったか? お前は、痛い目を見て体験をしたほうがわかるタイプの人間だと俺は思う。だから」
ケルドに向かって魔法を放つ。これは制裁でもあり。二度と女の子を泣かせるようなことをしないように、俺からのプレゼントでもある。
「お前の存在を消す」
こいつは痛い目を見て体験した後も失敗したことを次に活かすことはなく同じ過ちを犯し続けるだろう。それならば、存在ごと消してしまおうというのが、この世界でしか出来ないことだ。
「まって、くれ、そんなことできるはずがないだろう?なあ?」
「できるさ、この森の木は、お前みたいな人々で作り出した木なのだから、変換魔法」
ケルドの下に魔法陣が出来上がると、身体が
みるみると形を変えていく。ケルドの悲鳴が森に響くと住んでいた鳥の魔物は危険だと思いこみ、空に飛ぶ。
それを見ていたリリーシャは目を晒して、耳を塞いでいる。
「たのむ、た‥‥‥すけ」
手を俺に差し伸べるが、段々と人間から植物に変わっていく。足から木の根が生えていくと上半身からは、木の枝が生え初めていく。
ケルドは最後の力を振り絞ったように、声をだす。
しかし、俺は魔法を解くことはない。
これは罪なのだ。
この森は、じいちゃんが作った罪人の森である。
これは、誰にも言えない秘密のことだ。
異世界史上最強賢者の弟子!!!とても危険な森でひっそりとスローライフを満喫中です!-スローライフを邪魔するやつは闇に葬るのが良いと俺のじいちゃんは言っていた- 宮川祭 @miwaka_sai
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