最強の賢者の弟子対S級の冒険者リリーシャ

「じゃあ、遠慮なくと言いたいところだが、服を着てくれるとありがたい。身体はとても魅力的なのはわかったから」


「本当か⁉それならよかった、ひとつお願いがあるのだが……いいか?」


「ああ、俺でよければ力になろう」



「私と模擬戦をしてくれないだろうか?相手にとって不足はないだろうと思う。これでもS級の冒険者として戦っていたからな戦闘には自信があるぞ!」


「そうなのか?うーん手加減はできそうにないけれどそれでもいいなら、俺っても模擬戦とか初めてだからよくわからないけれどよろしく。まいったと言った方が負けにしようか?時間は無制限で、武器の使用はあり」


「わかった。我が剣技をお見せしよう。師匠」


「まずは、服を着ろ。今から作ってやるから」


「作る?」


 俺は、創造魔法を使って、現代の知識から女性に合うような鎧を想像して作り出す。

 軽くて、耐久性もあって、熱にも強く、モンスターの傷も目立たないような物。

 軽金属の鎧を剣士ということもあって、胸当てを動きやすさを重視して右脇から左肩にかけて覆う鎧をつけて、下着には動きに不自由がないような、また汚れても綺麗になるような素材を使った「ロングTシャツ」下のパンツも足を曲げたり、伸ばしたりできるような素材で作り出した「茶色のパンツ」である。


「おお、これは、すごいぞ。軽い!!いいのか?」


 顔をキラキラさせてこちらに笑顔を向ける。女の子にプレゼントをしたのは、初めてだったけれど、気に入ってもらえてなによりだ。

 脚を上げてみたり、腕を伸ばしたり。動作を確認している。


「じゃあ、はじめようではないか」


「準備はいいか?その前に名前を聞こうか?」


「私はS級の冒険者。元勇者パーティの1人リリーシャ・クリムゾンだ。いつでもいいぞ。手加減は無用だ。」


 その前に、傷がつかないように防御魔法をこっそり相手にかける。

 手加減は無用というけれど女の子だからやさしくしないとお母さんに怒られちゃう。


「じゃ開始だ!!」


 開始という合図と同時にこちらに突進してくる。剣の間合いを取る作戦のようだ。

 突進中に片足を使ってジャンプすると旋回して遠心力を使った抜刀の一撃を繰り出そうとしている。


 俺は、人差し指を前に突き出して、ファイアボール「レーザービーム」バージョンを放つ。



 リリーシャは神速の抜刀をしてレーザービームを跳ね返したあとに、華麗に着地をすると、右に身体を捻らせた。その勢いを使って俺の腹部辺りを切りつけようとする。俺は防御魔法を一部に展開させて攻撃を防ごうとする。


 しかし、リリーシャの本当の狙いは、左脇腹だった。ズキッと鈍い痛みが走る。鞘が俺の左脇腹に一撃を入れられた。思わず、抑え込んでしまう。


 くっ。


 怯んだところを追撃するように剣の連撃が次々に斬りつけられる。俺はヒールを唱えながら連撃を避けていく。リリーシャは右手にあった鞘を俺にぶつけるように放り投げると俺は左手で弾く。


 瞬間に剣の間合いに迫ってくる。だが、剣ではなく。右手から光の魔法がきらめいている。【フラッシュ!!】眩い閃光に俺の視界が眩しくなる。光を防ぐようにすると身体が無防備になる。それをねらっていたのか。



 魔法で剣が青く光っているのが、光の奥からかすかに見える。振りかざす青くきらめいた剣は、衝撃波となり俺を襲う。


 ―シュッ。


青龍衝撃波せいりゅうしょうげきは!!」


 慌てて防御を展開させるが視界がぼやけて正確な位置に展開をすることができない。

 第一防御を破壊したその威力は、絶大だ。防御がなかったら危なかった。

 さすが、S級冒険者というところか。


「そろそろ、本気出すぞ」


 俺は、魔力を最大にして威圧をしてみる。これで降参してくれるとありがたいのだけれど。


「な、なんという魔力量だ。やはりただものではないな。こちらも最大の一撃をもって答えよう」


 剣を両手で持つと魔力が集まっていく。俺の魔力が吸われているのか?不思議な剣だな。


「俺も。死ぬなよ」


 俺に魔法の詠唱に時間は必要ない。放つときは一瞬だ。隙があればの話。


「死んでくれるなよ。この一撃は、ドラゴンを討伐したときに編み出したオリジナルの剣技だ!!くらえ!滅龍激翔破めつりゅうしょうげきは!!」


 俺は、創造魔法で、ダガーや斧、剣、槍、生成して魔法で操り、攻撃をしてみるが、リリーシャの纏っている魔力の壁に押し返されて、攻撃が通用しない。さすがにやばいかもしれない。俺は全体に防御魔法を展開させる。


「来い!!」


 さっきまでの一撃とは違い。重くて、た、た、耐えられる?えっ?こんなものなの。


「あれ?ど、どうして?」

 渾身の一撃だったようだが俺には通用しなかったようだ。相手が悪い。俺は最強の賢者の弟子であるのだから。


 俺は、最大の呪文を放つ。


創造魔法クリエイトマジック。クリエイトマジックソード」


 頭上に多くの光の刃が俺の全魔力を使って作成される。

 ひとつ、ふたつ、だんだんと数が多くなっていく。リリーシャの顔は完全に終わったみたいな感じになっている。


「降参するか?いまなら、まだ間に合うぞ」


「こ、降参します」


 ガシャンと剣が床に落ちる。


 俺の勝ちだ。












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