エピソード③ 出会い3

 災難だったというべきか。また、つらかったねというべきか答えは見つからない、


 互いにしゃべらずに黙り込んでしまう。俺は二つの選択肢を考えている。

 ひとつめは、賢者の弟子の弟子になる。ということ。俺の家で一緒に生活をしてもらう。

 俺のスローライフを邪魔するならば容赦はしないけれど、彼女は、つらい経験をしたのだ。


 信頼していた仲間たちに裏切られたのちに危険なこの森で一人にされた。俺も当時、信頼していた親友がいた。親友は俺のことを親友だと言っていたが、ある日些細なことで喧嘩したときにおまえなんか一度も親友と思ってなかったよと言われたこと、小学校六年生の思い出である。それから俺はぼっちになった。自分からぼっちになったと言っておこう。


 今ではどうでもよい記憶として残っているからそれでよいとしよう。


 ふたつめにの選択肢は、彼女を森から追い出す。まだ彼女を信頼したわけではないので、仕方ない。まともな冒険者と会うのは初めてだった。


 可愛らしい女の子なのだけど、森の入り口までテレポートで送り届けた後、記憶を消去する。



 追放された記憶を消して新たな記憶をインストールしてやる。新たな目的とは、一人で森から生還した唯一の冒険者と名乗ってもらい。ソロでの活躍を期待させるようにしてみたりとか考えている。


 どちらの考えが良いか彼女に伝えてみた。または別の選択肢も出てくるかもしれないな。


「ぐすっ……。うむ。そうだな。命を助けられたお礼としてわ、わたたたしの初めてを身体はくれてやる。そのかわり、ここに住む権利をくれ。頼む。大魔導士!!」


 両手を合わせてこちらに頼んでくる。谷間がこちらをみてと狙っているようだ。


「身体は、大事にしてくれ。ここに住むのならば俺の弟子になってみないか?あと大魔導士って俺のこと?」


「お前の弟子だと?身体のみじゃ飽き足らず心までも犯そうというのか?この変態めっ!あと、大魔導士といわずになんというのだ。この結界といい。この家、そしてお前から感じたことのないくらいの魔力をビリビリト感じる。本当に人なのか?」

 ♢ ♢ ♢


 俺には外のことはよくわからない。この世界にきて、この森でじいちゃんに助けられた。

 そのときの記憶を思い出そうとすると頭痛がしてブロックがかかっているようだ。

 これはおれにはショックすぎる記憶でじいちゃんが封じこめたのかもしれないな。

 じいちゃんの名はダスケル・クロフィード。自分で最強の魔導士はこのわしじゃって言っていた。


 ちなみに俺の本名は芝田 貝 35歳。

 ブラック企業で働いていた。三日徹夜してプラモデルを組み立ていたときに死亡した。


 今の名はカイ・クロフィードという名前で異世界スローライフを満喫しているところだ。


 ♢ ♢ ♢


「俺は普通の人間だよ。どこにでもいる普通の辺境に住んでいる人だよ。トラブルに巻き込まれてスローライフを邪魔するやつは消すけどね」


「お、そうなのか……すまない。お詫びとしてやはり私のからだを……」


 さらりと巻いていた包帯をほどくと白い肌が見えてしまい片手で顔を思わず隠してしまう。不思議そうな顔でこちらを見ている。どうして恥ずかしくないのだろう。見ているこっちが恥ずかしくなる。


 包帯をほどいた後に装備を外して床にガシャンと重みのある音が響く。顔がほんのりと赤く染まっているようだ。

 ちょっとは恥ずかしいと思う気持ちがあるのならストップしてくれ。肌が見えているというか下着だけのほぼ裸の状態だ。


「どうだろうか?わ、わたしの身体は?対価として、わたしはこれでもいい身体をしていると思うのだが、肌も白くて、胸もほらこのとおり両手に収まりきらないほどだぞ。君のそのいやらしい視線の先にある。私の脚は触りたくなるだろう。いまなら、ゆ、ゆるしてやるぞ」







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