巻末

おまけデータ(※ネタバレ含む)

<登場人物紹介>


村山むらやま氷芽ひめ(33歳)

 特視研究所職員。軽薄な物言いと笑い方をするが、本人は非常に細やかに気を配る性格。自分の見え方を自覚しており、空気を軽くするためにあえて使っているところがある。

 異性慣れしておらず、つい照れてしまうことが非常に申し訳ないと心の底から思っている。セクハラに感じさせてしまったら申し訳なさ過ぎてこまる。良好な関係を維持したい。

 鬼塚と百田の仲の良さは微笑ましいと思っている。


鬼塚おにづか桂士けいじ(27歳)

 特殊捜査室勤務の刑事。非常に真面目で懸命。自身の顔の怖さは自覚しているが、なんだかんだそういうものだと思って慣れている。とはいえ怯えさせたいわけではなく、話で和ませる話術がないことは少し気にしている。

 百田に対して否定していたが、先日の事件後照れる村山を見て色々自覚してしまった。村山がそういう意図じゃないとわかっている言っているのにこんなの駄目だろうと思いながら頭を抱えている。実際当時は救助の意図だったしこれからもなにかあれば恋慕の意図ではなくきちんと救助の形で動きはするが、それはそれとして自覚してしまったので頭を抱えるしかない。セクハラと思われたら死んでしまう。警察としての矜持は守っていきたい。

 自覚した後百田と会ったら押せ押せされるどころか哀れまれた。それもそれできつい。


天道てんどう那木なぎ(33歳)

 特殊捜査室勤務の刑事。雑な物言いをするがなんだかんだ面倒見が良い。事件後はちゃめちゃに落ち込んでいたが誰かに愚痴るタイプでもないので一人で抱えている。村山と鈴鹿にはそういう性格を察せられているが、村山は多少心配しても踏み込みきれず、鈴鹿にはお前今彼氏いるだろうがと一蹴している。

 先日鬼塚の態度で村山への気持ちを把握したが、えっお前それ隠すの? 顔に出まくっているのに??? とガチ不思議で仕方ない。トンビにさらわれても仕方ないぞ、とは言っている。

 ちなみに当人はいいトンビが攫うのを待っているタイプ。今度こそ彼氏とうまくいってくれ、マジで。


百田ももたあきら(27歳)

 鬼塚の友人。スタントパフォーマー。快活朗らか、声が大きい気のいい人物。そして自己肯定感が皆無どころかマイナスに振り切っている。

 自分を養ってくれている百田家には感謝しており、好意も持っている。鬼塚には高校時代から憧れのような友愛を向けていたが、自分が勝手に絡んでいる自覚があった。そんなことはなかった(鬼塚)。

 友人の恋愛なんてこれまでれの字もなかったのでとても応援しているし、すこしでもうまくいけばいいなと思って発破をかけたりしていた。ちなみに本人は恋愛のれの字もやはりなかった。自己肯定感が壊滅的な人間にそんな心の余裕はない。

 とはいえ自覚した鬼塚がガチで思い詰めているので、心底同情しつつうまくいくのをなんとかサポートできないかと思っている。



<蛇足データ>

民話『目出度さまのおなりさま』

 内容は以下の通り。

『その年は豊作だった。その前の年は不作だった。飢饉で人が死ぬこともあったが、それでもその年は豊作だった。赤子も年寄りもまんまが食える。次の年に備えも出来る。めでたいめでたい祝い事。村で感謝を示さねばならぬ。祭りを、祭りを。めでたいめでたいハレ祝う。そうしていれば、旅人がやってきた。見慣れぬ格好、まれびとさま。祭りに捧げた果実を見て、買わせてほしいとおっしゃった。神様に捧げた者を欲すると言うことは、まれびとさまはおなりさま。めでたいめでたい目出度さま。お祭りに目出度さまがいらしてくださった。喜んで我々はもてなした。おなりさまをもてなせば、次の年も豊作だろう。不作の時は、きっと祝いが足りぬだけ。めでたいめでたい目出度さま。おなりさまが欲しがれば、それは目出度さまに届くこと。めでたいめでたい目出度さま。みなみな笑え、目出度さまはいつでも我らと共にある』


陣那宮じんなぐう

 近隣と共有する大きなパワースポットが有名であり、その関係で新興宗教などが点在する。といっても、元々神納宮、尽納宮と言われた土地だった為、おそらくそういった信仰を集めやすい土地柄だったのではないかと考えられている。神に尽くす宮として、民俗学だけでなくオカルト方面などでも、一部の界隈では知られている土地だ。興味深い民話や信仰も多くあり、学術書なども出ている。


召手取めでとり

 陣那宮市の山の中にある地区である。「目出度さまのおなりさま」という民話が存在する。「めでたいめでたい目出度様」というフレーズから、目出度さまはいわゆる「よいことが起きたときに感謝する媒体」なのではないかと考えられている。「目出度さまのおなりさま」にある「おなりさま」は「御成様」と書くのではないかと言われており、それはまれびと信仰に神降ろしを混ぜたようなものと考えられていた。


(公開:2024/01/22)

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特視研究所職員村山による怪異検案書 空代 @aksr

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