第4話 転生

愛梨とユウキがスキルを決定させた時、他の者達は異世界神と話をしていた。


その会話を聞いたが、異世界神は威厳ある言葉からすこしだけ親しみやすい言葉に変わっていた。


「なんで貴族からスタートなのですか?」


「平民からのスタートだと、不意な事故や飢餓により無くなるケースが多かったらしいのよ。後、貴族でも当主となると行動に制限されるケースもあるから3男・3女以下になるように出来るだけ調整するわ」


「以外と考えて転生させてくれるのですね」


「現在の状況を考えると当然よ。私は前任の異世界神と変わったばかりなのに…大変で困っちゃうわ。私の神気をほぼ全て使ったのだから頼むわよ貴方達」


「が、頑張ります。ちなみになんで善なる魂なのですか?」


「邪気を払うってこともあるけど、善なる魂でないと好き放題し悪に身を染める場合があるでしょ。そうなると逆に邪気が増すのよ。貴方達は過去に動物も含め、一度は人を救ったことがある魂なのよ」


「そうなのですね。話は変わりますが、異世界で固有スキルは何個もらえるのが普通なのですか?」


「固有スキルは1~3つの中から選ばれるわ。貴方達ももしかしたらもう一個もらえる可能性もあるわよ」


「そうだと嬉しいな~。こんなに至れり尽くせりだと、俄然ヤル気がでてくるでござる」


「貴方語尾が変わってるわよ。まあいいわ、そろそろ時間だから最後に伝えておくけど、宝珠の儀が行われる5歳の時に前世の記憶が蘇るから混乱しないようにね。それでは貴方達の活躍に期待しているわよ。」


そう伝え終わると異世界神は真面目な顔で何かを唱えだした。

「変換の事象を経て、神の名の元に宣言する。輪廻転生」


………。


………。


こうしてユウキ達はそれぞれの場所へと転生して行った。


そして、ついにユウキの異世界転生が始まった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


日の光が顔に当たり、ユウキは目を覚ました。


「知らない天…?」


一度は口にしたい言葉を言おうとした瞬間、頭痛のような痛みと共に多くの情報が蘇ってきた。


「うぅぅ~~~~ぉ~~~」


しばらく痛みに必死に耐えていると、やっと痛みが消え状況が把握できた。


「やはり知らない天井だ。」


何故か言い終わった後満足そうな顔をしている。


「なるほど、俺は子爵家の5男でリアムンド・ゼロサムと…。」


今までの情報と転生前の情報を整理していると、しばらくすると下から声が聞こえてきた。

「リアム~、ご飯よ~。」


「は~い。」

リアムは子供らしい言葉で返事をした。


そして、母親と二人で食事をしているのだが…5歳まで過ごしてきた記憶でも分からないことだらけだ。気になってしかたがないから聞くことにした。


「ねぇ、お母さん?」


「どうしたの?」


「常々、貴族として恥じない様にって言ってるけど、お父さんは何処で何してるの?」


母親のセイラは困った顔をしながら喋りだした。

「リアムのお父さんは貴族の役目を果たす為に王都とゼロサムの町で仕事をしてるのよ」


リアムはセイラの話を聞いて、ふと疑問に思った。

「ここにはお父さんはいないの?ここは何処?」


「ここはゼロサムの町からすこし離れた場所にあるのどかな村よ」


「なんで一緒に住まないの?」


セイラは再度困った顔をしながらしどろもどろしている。

「これは難しい話になるけれど、貴族の役目の一つに子孫を繁栄させる役目があるの。一人の女性では難しいから何人かの女性と婚姻しているのよ。その内の一人が私で、私は学も芸も地位もなかったから地方でのんびりリアムと暮らさせてもらっているの」


なるほど、簡単に言うと愛人として子供を産んだけど、周りからは良く思われていないから離れている場所で暮らしているのか。


さらには家に一人だけいるお手伝いさんに聞いたところ、なんでも父親は無類の女好きで、本妻がこれ以上妻を増やさないように釘をさしている状況だそうだ。


貴族の特権を理由に好き勝手してる父親の話を知り、さらには良くない評判がでてくる、でてくる…。リアムは呆れ果てながら思うことは一つだった。

「さて、女好きの血と転生前の記憶はどちらが勝るのか…。」


そんなことを考えていると本日のメインイベントである宝珠の儀を行う教会に向かう時間らしい。


宝珠の儀はどの教会でも祈りを捧げれば行えるらしい。


まあ、教会と言っても村なので、牧師が一人いるだけの簡素な作りの教会だ。


リアムは牧師さんに挨拶をし、宝珠の儀のやり方を聞き宝珠の儀を始めるのであった。

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