(10)

「がじっ……」

「がじぃ……」

「うりゃあああ……ッ」

 第2王女様の変な顔のペット達は、残念そうな表情かおで庭の方を見ていた。

 そこでは……第2王女様が剣の稽古。

 相手は……例の女騎士。

 でも……。

「才能ないだろ……言っちゃ悪いけど」

「あ……どうも」

 そう言ったのは……昨日の夜の魔法使い。

「やるなら、こっちの方が才能有るのに……」

 そう言った魔法使いの掌の上には……小さな炎。

「えっ? あれって、王様に言われたからとかじゃなくて……?」

「ああ、殿下が御自分の意志でやってる」

 ドデン。

 派手な音と共に、王女様がズッこける。

「大丈夫で……うわぁッ‼」

 慌てて走り出したウチのお嬢様だけど……履き慣れてない高価たかそうだけど歩きにくそうな靴に、これまた高価たかそうだけど動きにくそうな服のせいで、二重遭難。

 第2王女様のペット達は……顔を見合せて「駄目だ、こりゃ」って感じで溜息をつく。

「ああああ……すいません。私の実家、貴族とは言っても貧乏なんで、洗濯代を請求とかは……勘弁して下さい。あ……ああああ……靴の踵も折れてる……ああああ……こっちの修理代も勘弁して下さい。私の実家、本当に貧乏なんです。去年は不作で、領民への税金も減らしたんで……」

「気にするな……。代りは有る」

 魔法使いは、やれやれと言う感じで……。

「あんたんとこのお嬢様、家を継いだら……もの凄い名君か、領民から税金を搾り取るクソ野郎かのどっちかだな……」

「あ……ウチのお嬢様の家は……女の子しか居ない場合は、婿養子が当主になるのが普通みたいで……」

「そうなの? 昔から、この国に居た貴族って……?」

「ええ……」

「王族なんかの先祖の遊牧の民だと、女族長なんて当り前だし、今でも東の草原に居る連中の夏至の祭ナーダムの武術大会では、女の上位入賞者も居るぞ」

「えっ? 武術大会で女が入賞? どうなってんですか?」

「武術大会って言っても競馬の長距離走なんかも有るんでな。それだと騎手の体重が軽い方が有利だ」

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