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「あ〜、美味しい食事に……温かくて広いお風呂……フカフカの布団……ずっと、このままでいたい……」

 夜になると、お嬢様は……恋する乙女みたいな表情かおになっていた。

 頬っぺたも真っ赤だ。お酒でも飲んだみたいだ。

 何に酔ってるのかとか、恋の相手が何かは考えたくも無いけど。

「いつかは終りますよ。行きたいんですか? 醜豚鬼オークの巣の方がマシな場所に……」

醜豚鬼オークの巣だって、ウチの実家よりお金有りそうじゃない」

「で、どうしたいんですか、お嬢様は? まだ、王様達も、あの2人も、この素人芝居に、どんなオチ付けるか考えてないみたいだし……」

「問題は……どれ位請求するかね……」

「えっ? 何を言ってんですか?」

「口止め料」

「あ……あの……」

「王宮からすれば端金。でも、ウチの実家にとっては大金。それを見極めないと……」

「あのですね……」

「欲張り過ぎると、絶対に、一族ごと消されるし……どうしよう……」

 あの魔法使いの言った通りだ。

 お嬢様が、もし、どこかの領主になったら……名君かクソ野郎かのどっちかだ。

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