第10話 逆集団ボコボコ

 今、サツキがいる場所では彼の味方は一人もいない。

 全員がサツキのことを殺したくてしょうがない奴らだ。


「えっと、その、、、」


 ビクビクしながらサツキは周りを見渡す。

 これは完全に逃げ場がない。


 サツキは本当ならばなるべく殺人をしたくは無い。それに争いだって避けたいし、今回の任務だってパトロールなんかしたく無かった。

 こういうのは殺人大好きなツツジがやるべきなのだが、今彼女はこの場にいない。


 じゃあ、しょうがない。


「はあ、、、。これだから特バツは嫌なんだ」


 サツキはため息をついた。


「殺せ」


 加能のその言葉を待っていたかのように、その場にいた全員が一斉に襲いかかって来た。

 相手はナイフを持っている。もちろんサツキは武器などない。


「いいのがあった」


 サツキは近くにある木製の椅子を持ち上げ、相手にナイフを振り回させる暇など与えないほどの勢いで片っ端から頭をかち割った。


「この椅子意外と重いんだけど!」


 一旦休憩と言うようにサツキが椅子を地面においた。


 それが隙だと思った男の一人がナイフを持って襲いかかる。


「死ねやゴラァ!」


 しかしまあ、そんな攻撃はするだろうと分かっていた。


「来ると思ったよ」


 サツキはそれをナイフを軽々と受け止めると男を地面に叩きつけ椅子を持ち上げた。


「ごめんね!」


 サツキは男の顔に椅子を叩きつけた。


「ぐわぁぁぁっ!!!」


 叫び声を黙らせるために"バキッ"と音がなるほどに椅子に圧を加える。

 男は静かになった。


「あ、いいものみっけ」


 サツキはテーブルの上にビンを見つけると、早速襲いかかって来た男の頭をそれで殴りつけた。


 かなりの強さで殴ったのか、瓶は割れてしまった。


「はあ!?瓶ってこんな簡単に割れるの!?割れた瓶なんてどう使うんだよぉ、、、」


 サツキに休む暇などない。彼は割れた瓶を殺人のリサイクルをする方法を思いついた。


「ナイスアイデアが浮かんだぞ!」


 向かってくるナイフや拳を華麗に避ける。


 そして、サツキは割れた瓶を使って避けつつも相手の喉を掻き切っていく。


「うおおおお!!」


 最後の1人となった男はやめておけばいいのに、勇気を出してメリケンサックで殴りかかりにいった。

 だが、サツキは男の股間に目掛けて蹴りを喰らわした。


「ぐあっ、、、!!」


 男は屈んでいる。その瞬間を狙っていたサツキは、男の頭に瓶を刺し念入りにグリグリとした後に蹴り飛ばした。


「割れた瓶って結構便利だったんだな」


 あたり一面死体だらけだ。

 だが、これでもう心配することはない。無事に家に帰れる。


「すげーなお前」


 どうやらまだ1人いたようだ。


「こんだけの人数一度に相手にするなんてよ」


 加能はサツキの動きに感心した。


「あ、ありがとう」


「特バツってのはみんなこんなにつえーのか」


「いや他の人はもっと強いんだ、俺は本当に弱くて、、、」


「じゃあ努力の結晶ってわけか」


「いや努力っていうか、、、。まあ、その俺の今の頑張りに免じてさ、話し合いかここから逃がしてくれるってことはない?」


「ない」


「なるほど、、、」


 断られちゃったよ、とサツキは心の中で呟いた。


「おい一億」


「サツキっていいます。もうここには来ませんので逃がしてください」


 しかし賞金首であるサツキが逃がされるはずがない。

 ふと、サツキは加能の手のひらには何かケーブルのようなものが張り巡らされていることに気づいた。


「え、何だそりゃ」


 加能はパン、と手を叩いた。


 すると、不思議なことに電気が発生してフラッシュにより薄暗いバーが一瞬明るくなり、さらに部屋中にある電球がパキパキと割れて壊れた。


「初めて見るか?電気だよ」


「存じておりますが!?そうじゃなくてそれがどういう仕組みに、、、」


 怖がっているサツキなど知らぬ、というように加能はバチバチとさらに手から電気を発し始めた。


「ここで殺してやるよ!!」


「もう嫌だ!家に帰りたい!!」

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