中編「クリスマスの奇跡」②

「クリスマスのキセキ」中編登場人物紹介

NO.5 アルフレッド=ベイカー 15歳

イギリスの病院の屋上で一人でいた所を、クリス達と出会う。


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今年も、人間界にクリスマスイブがやってきた。クリスと、ローズの今年の担当の国はイギリスと決められた。ホーリー・ランドのサンタクロース、クリス・クロース、ローズ・クロースと、クロース一族達はトナカイが引くソリに乗って、

世界中の子供達にプレゼントを配りに行った。





ここはイギリスの上空、今日は曇り空だった。

前回の日本と違い、国が大きいのでプレゼントの宝玉を配るのも一苦労である。

クリスがヘトヘトになりながら妹のローズに聞いた、

「おいっ! ローズっ、あと、どんくらいあんだよっ!」と言うと、

ローズが「あと、大袋三つよ! クリスお兄ちゃん頑張って!」と、言った。



「え~っっ!? まだ、そんなにあんのかよぉ~~っっ!!?

ローズ、お前も少しは手伝えよぉ~!!」

と、クリスがローズに文句を言いながら情けない声を出すと、ローズが眉間にしわを寄せ

「だめよ! 修行のために手伝うなって、おじい様から言われてるんだから!これもお兄ちゃんのためよ」と、言った。




その時、ローズが西の方角にある大きな建物から、負の感情を感じた。

ローズは、数ある中の大きな建物を指差し、

「クリスお兄ちゃん、あの建物から強い負の感情を感じるわ! 行ってみましょう!」

と言うと、クリスはブツブツ文句を言いながら、渋々、手綱を振り上げ

建物の方へと向かった。その建物はもっとも負の感情が渦巻く、病院だった。



屋上に、15歳ぐらいのパジャマ姿の少年がいる。クリスと、ローズが見ていると、少年はなんと、フェンスをよじ登り、そのまま飛び降りてしまった。

少年は地上に向かって、まっさかさまに落ちていく。



クリスは眉をしかめ思わず舌打ちをする。

「チッ! あのガキっっ!!」

クリスはトナカイを操り急降下させ、積んでいた荷物がクッションになり、

ソリは空中で少年を受け止めた。

クリスは少年の肩をいきなりつかみ、こめかみに青筋を走らせ怒鳴りつけた。



馬鹿野郎ばかやろうっっ!! てめぇ、そんなに死にてえのかっっ!!!」

すると、少年はクリスを睨みながら言った。

「…空に浮いてるって事は、お前死神だろ!?

 死神ならさっさと、俺の魂をあの世へ連れてってくれよっっ!!」



その少年の言葉にクリスのこめかみにさらに青筋が走る。

「おい! ローズ俺達、死神だってよ! ケッ、あんなもんと

俺達、精霊を一緒にすんじゃねぇよ! ボケ! まったく、胸くそわりい!!

仕事に戻るぞ、ローズ! こんなバカほっとけ!!!」



クリスは散々まくし立て腹を立てると、少年の胸倉をむんずと、つかみ

空中だというのに無理矢理ソリから放り出そうとすると、ローズがあわててクリスの腕をつかみ止めた。

「だめよ! お兄ちゃん乱暴しちゃ! それにこの人、飛び降りるなんて普通じゃないし怖がって震えているじゃないっ!」



少年はクリスを恐れてブルブルと、真っ青な顔をして震えていた。

ローズは、荷物の中から赤いコートを出すと少年に着せながら優しく言った。


「ほら、寒いでしょ? これかけて? 私達は死神じゃないの。

私は、サンタクロースの孫のローズ・クロース…

そして、そっちの仏頂面ぶつちょうづらなのが、兄のクリス・クロースよ。あなたのお名前は?」

と、優しく聞かれ少し落ち着いたのか、少年は頬を染め少し驚きながら言った。


「あ、ありがとう…君は優しいな。可愛いし、俺はアルフレッド=ベイカーだ。

はは、サンタなんて本当にいたんだな」



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今回、文字数が多いと思い、中編と後編に分けました。


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