クリスマスのキセキ

夢月みつき

前編「クリスマスの奇跡」①

「クリスマスのキセキ」登場人物紹介



NO.1 クリス・クロース 18歳

サンタクロースの孫で後継者、この物語の主人公。

ぶっきらぼうで、口が悪いが、妹思いで優しい所がある青年。


イメージイラスト「クリス」

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330666759952124


NO.2 ローズ・クロース 15歳

サンタクロースの孫で、クリスの妹。サンタとクリスが大好き。

思いやりのある少女で、クリスのサポート役になっている。


イメージイラスト「ローズ」

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330666760069677



NO.3 サンタクロース   ?歳

子供たちが大好きなクリスマスの精霊のお爺さん。

不思議な力があり、遠くの子供の声を聴くことが出来る。

孫想いで、クリスに時に優しく時に厳しく接する。



NO.4 木野きの 真理まり    7歳

日本の小学生の少女。夜中に空に向けて祈っている。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


みなさんは知っていますか?

サンタクロースがクリスマスの精霊だという事を、

ここは異世界にある、サンタの一族が住むホーリー・ランド。

昔から世界中の子供達にプレゼントを配り続けてきた。


クロース一族は人間界のクリスマスイブの日に合わせてプレゼントの宝玉を、

たくさん造っていた。プレゼントの宝玉というのは、子供達の欲しいものに

変化する不思議な宝玉の事で無色透明である。




一族と共に宝玉を造っているのは18歳ぐらいで、金髪の髪、青い瞳でサンタと同じ服を着ている少年、サンタの孫、クリス・クロース。

横で手伝っているのは15歳ぐらいの少女で金髪の長い髪、青い瞳で同じサンタ服でも、こちらはオヘソが出ていてミニスカートの少し、色っぽい衣装だ。こちらもサンタの孫、名をローズ・クロースと言う。



クリスは、ムスッとしながら手のひら大のプレゼントの宝玉を手でもてあそびながら、

「ケッ、こんなもの造って何になるんだよ。今どきのガキどもは、じい様の事なんか

信じる奴が、少なくなったって言うのによお」

ローズが眉をしかめた。



「そんな事いうもんじゃないわよ。さあ、お兄ちゃん時間がないわよ! 早く造りましょ?」

「へいへい、わかったよっ!」

クリスはまた、宝玉を渋々造り始めた。



その時、作業場の扉を開け男性が飛び込んできた。顔を真っ赤にして息も荒い、

「大変だ!サンタクロース様が倒れられたぞ! クリスぼっちゃん!

ローズお嬢様!みんな急いできてくれ!」

「じい様が!?」

「おじい様が!?大変!」



クリスもローズも仲間の皆も血相を変えて、急いでクロース家の家に向かった。

白いひげに小太りの老人がベッドに寝ている、この人がサンタクロースだ。

少し顔色も悪いようだ、クリスが心配そうに

「じい様!大丈夫か?」と、声をかけると、サンタはうっすらと目を開け

「おお、クリスにローズか。大丈夫じゃよ…少し、めまいがしただけじゃ…

これしきの事、世界中の子供達がわしを待っておるのじゃ…寝ておられん」起き上がろうとするが、力がぬけてすぐベッドに倒れてしまった。



ローズが心配して。

「おじい様、だめよ寝てなくちゃ…」と、布団をかけなおす。

「すまないのう。ローズ…」と、苦笑いをするサンタ、

仲間も心配して見ている。



クリスは、こぶしをブルブルとふるわせると叫んだ。

「じい様や俺達は、クリスマスの精霊だ!現代は昔と違ってサンタを…精霊や妖精を信じねぇ奴らが多くなってきた! 俺達、精霊は人間が信じる心を失ったり、いねぇなんて言葉だけで病気になったり、運が悪い時は死んじまう事だってあるんだ!

だから、じい様をこんなにしたのは、今の人間達だ! 俺は許せねえ!」



「お兄ちゃん…」

ローズは切なげな表情で、兄、クリスを見つめた。

その時、サンタは柔らかな微笑みを浮かべて、クリスに言った。

「のう?クリスよ…わしは、お前の気持ちは嬉しい、じゃが、わしはサンタを

信じてくれている。ひとにぎりの子供達の笑顔が見たくてこの仕事を

やっておるのじゃよ。その事を、わしの後継者としてのお前に

理解して欲しいのじゃ。わかってくれるな?」



クリスは、ため息を吐き微笑む。

「本当にじい様は、お人よしだよなあ…わかった! 今年は、じい様が担当している国を俺とローズで、ガキどもにプレゼントを配ってきてやるよ。それで良いだろ?」

「クリスお兄ちゃん! わかってくれたのね?」手を叩いて喜ぶローズ。



サンタは優しく微笑みながら

「すまないのう、クリス…さあ、お前にこれを渡そう。」

と、言うと小さな小箱をクリスに渡した。クリスが中を開けてみると、

赤と緑のしましまの宝玉が入っていた。



「その宝玉はな。奇跡の玉と言って物では、叶えられない願いを叶えるためにあるのじゃよ、わし達精霊の姿が見え、清らかな心の持ち主の願いだけを叶えてやるのじゃ、さあ、いってこい…わしの可愛い孫達よ」





サンタに見送られクリスとローズ、そして仲間達はトナカイが引く、ソリに乗って、世界中の子供達にプレゼントを配りにいった。

空には金色の月が輝き、星がまたたく、






ここは、とある日本の街の上空、クリスと、ローズは袋の中のプレゼントの宝玉を

全て配り終え一息ついていた。


「ふ~~っ! やっと、配り終えたぜ! さあて、帰るかな…」

クリスがトナカイの手綱をふりあげようとすると、ローズがクリスの腕をつかんで止めた。

「待って! お兄ちゃん。あの家から、強い想いの力を感じるわ。いってみましょう」



ローズが言うとクリスは手綱をふり、青い屋根の家に向かった。

もう夜中だというのに、ベランダで小さな女の子が夜空に向かって、

祈っているのが見えた。クリスは不思議に思い

「何やってんだ? こんな夜、遅くに…」と言うと、

女の子とクリスの目が合った。「お兄ちゃんと、お姉ちゃんサンタさん?」


「お前! 俺達が見えるのか!?」クリスが目を丸くして驚いて言うと、

女の子はうなずき、微笑んだ。

「うんっサンタのお兄ちゃん。こんにちは、あたし木野真理きのまり! 7歳だよ」



クリスは優しく微笑み

「俺はクリス・クロース。サンタの孫だ」と、言った。

ローズも優しく微笑むと、

「私はローズ・クロース。サンタの孫よ」


真理は瞳を輝かせて喜び

「わあっ、お兄ちゃん達。サンタさんの孫なんだ! ねえ、それなら、あたしのお願い聞いてくれる?」

クリスは「何だ?言ってみな」と言うと、



真理は突然、大きな黒色の瞳から大粒の涙を流し悲しげな表情をして言った。

「うん、あのね? あたしね…お父さんが死んじゃったの。だから、サンタさんにお父さんに会いたいってお願いしてたの…」



ローズは悲しげな表情で、真理の頭をなでなから言う。

「真理ちゃん。ごめんなさいね…

いくら私達でも、人を生き返らすのは無理よ…」

真理は顔を涙でメチャクチャにし、

「一目、会えるだけで良いのっ!お願いっ」と、泣きじゃくった。



クリスは、柔らかな笑みを浮かべ「良いぜ!会わせてやる!」と、

真理の頭をなでながら言った。

「お兄ちゃん!? そんな事、出来ないでしょ?

こんな小さな子に嘘ついちゃだめよっ」と、

ローズが驚き言うと「これがあるじゃねぇか!」と、クリスはニヤリと笑い

奇跡の玉を取り出すと、強く念じた奇跡の玉が、まばゆく光り輝く、



光は空に上っていき。やがて、空から光り輝く人らしき姿が真理の家のベランダへと降りてきた。

それはなんと、真理の亡くなったはずの父親だった。

ローズは思わず口に手を当て驚き、クリスはニヤッと微笑んだ。

真理の身体がブルブルと、ふるえている、

「おっ、お父さん? 本当に、真理のお父さんなのっ…?」



父親は、にこっと微笑み『ああ、そうだよ、真理。元気にしてたか?』

真理の瞳から、ぽろぽろと、涙が流れる。「お父さああんっっ!」父親に抱きつく真理、しかし真理の身体は父親をすりぬけてしまった。驚きながら父親を見つめる


真理に父親は、切なげな表情で『父さん、幽霊だから真理には、さわれないんだ。ごめんな』父親は真理を優しく抱きしめた。



真理は嗚咽おえつをもらしながら、「お父さん…真理、良い子でいるよ?

お母さんの言うことも、ちゃんと聞いてるよ! だから戻ってきて?」と言うと、

父親は首を横にふり言う。『ごめんな…真理、父さん死んじゃったから戻れないんだ。真理に寂しい思いをさせてごめんな。父さん、天国で真理と母さんの事をずっと、見守っているから…元気でいろよ』




思わず涙ぐむクリスとローズ。

奇跡の玉の光りが消えると、父親も天国へと戻っていった。

真理は父親が、消えていった夜空を見上げた。

「お父さん。あたし、頑張るよ」

と言うと、真理の瞳から涙が流れ頬を伝った。



真理はクリスとローズを見ると、お礼を言った。

「クリスお兄ちゃん! ローズお姉ちゃん! お父さんに会わせてくれてありがとう!あたし、これからもサンタさんの事、信じるよ!」と、満面の笑みを浮かべた。



クリスは白い歯を見せて笑うと、

「ああ、サンキュー。じい様に言っとくよ、じゃあな、真理! 風邪引くなよ!

メリークリスマス!」と、真理の頭を愛情を込め、わしゃわしゃとなでる。



ローズもふわりと微笑み言う。「真理ちゃん、元気でね!メリークリスマス」と、

真理のひたいに優しく口付けをした。

真理は嬉しくて頬を染め、えへへと、笑った。

「またな~っ」クリスは手綱をふりあげると、鈴を鳴らしてトナカイが引くそりは夜空へと、昇っていった。真理はクリス達のそりが、見えなくなるまで手を振り続けた

クリス達は日本を後にした。





ホーリー・ランドに戻ってきたクリス達。

まっさきにサンタの所へいくと、何とサンタは起き上がりクリスマスのパーティの飾りつけをしていた。

クリスが血相を変え、

「おいっ! 寝てなくて良いのかよ!?じい様っっ!!」と、言うと、



サンタはクリス達に気がつき、穏やかに笑った。

「ほっほっほ! ご苦労じゃったのう。クリス、ローズや、さきほどから、

純粋な子供のわしへの強い想いが、次々と届いておってな?

ほれ、このとおり! すっかり、元気になってしまったのじゃよ」と、

サンタはクリスと、ローズにウインクした。



クリスは、ホッとして、気がぬけたのか、へなへなと床に座り込むと、

後ろにいるローズをふりかえった。

「ローズ。人間もまだ、捨てたもんじゃねぇかもしんねぇな!」

「そうね! これからも、頑張りましょう」



クリスマスイブ今度、クリスとローズが行くのは、あなたの所かもしれません、

サンタを信じていないあなたも、もう一度、童心に戻って

サンタクロースを信じてみませんか?

もしかして、聖夜の奇跡があなたにも起こるかもしれません。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だいぶ昔に書いた拙い作品ですが、よろしくお願いいたします。

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