第16話

「あっ あの~」


 プールに、飛び込もうとするリーダーを呼び止めるあたし。


「はい

え゛っ………」


 ギョッとした、顔をしたリーダーが固まったように静止する。


「どうしたんですか? 幽霊でも見たような顔をして ??」


 ニッコリと、笑うあたし。


「あっ そうだよね

はじめましてかなぁ なにか用なの ??」


 水中メガネを外して、あたしの顔をまじまじと見つめるリーダー。


「はい

飛び込むなら 準備運動した方がイイですよ」


 あえて、白々しいことを言ってみる。


「あっ それは忠告をありがとう」


 ちょっと、残念そうなリーダー。


「はい リーダー」


 なんだか、あの頃からやり直せそうな空気が一瞬だけ流れたが、


「………もしかして」


 怪訝そうな、顔をするリーダー。


「えっ ??」


 あれ、ヤバいかな。


「記憶 戻ってる ??」


 その、一言で笑顔が凍りつくあたし。


「なっ

なんのことでしょう ??」


 なんとか、誤魔化さないと。


「だってキミ」


 リーダーが、すごく疑いの視線をぶつけて来る。


「ん ??」


「目から涙が 出てるよ」


 腕組みして、言うリーダー。


「あ………」


 自分でも、気がつかないけど。

 また、会えたうれしさで泣いてしまっていたみたい。


「もしかして オレを殺りに来たの ??」


 警戒をするリーダー。


「違うんです」


 両手を、振って否定する。


「じゃあ なんでいるの ??」


 そりゃあ、そうだよね。


「一目 会いたかったの」


「それだけ ??」


 半笑いのリーダー。


「………はい リーダー」


 早く、謝らなくちゃ。


「そっ

わかったよ」


 そう言い残し、プールに飛び込むリーダー。


「骨折 無事になおって よかったですね」


 聞こえるはずもない声を、リーダーへ投げ掛ける。


「ごめんなさい」


 プールを、見ているのだがリーダーが浮き上がった様子がない。


「あぁっ」

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