第15話

『………おい アンテ

しっかりしろ !!』


 ディスプレイに、表示されるパラメータとあたしの様子を交互にせわしなく見る出樫。


『班長 システムにかなり負荷が かかってます』


 なんだ、騒がしいね。


「………ん」


 なんだか、意識がボンヤリする。


「システム 正常に戻りました」


 あいつは、出樫の部下だな。

 完全に、記憶が復活したわ。


「よし」


 ガッツポーズする出樫。

 やたら、機嫌がよさそうね。


『アンテ 大丈夫か ??』


 あぁ、バックアップのバックアップしておいてよかったわ。

 1つ、消されてるもんね。


「はい 大丈夫です出樫班長」


 ホッと、ひと安心だわ。


『あせった~

それなら オッケーだ』


 サムアップする出樫。


「はい」


 やっと、ヌルい毎日から元に戻れるわね。


『よし それじゃあシミュレーションルームに移動だ

今度は 何時間で墜落するかなー』


 意地悪そうな、笑顔で見てくる出樫。


「出樫班長 あまく見ない方がイイですよ」


 なんだか、すごく操縦が下手くそになっていたけどそれも記憶を取り戻した今なら問題ないわよ。


『えっ 言ってくれるね』


数時間後


「えーっ こんなにシビアな………

クリアしちゃったよォ」


 そりゃあそうよ。

 完全に、フォーマット前のあたしに戻っているんだし。


『これって 前の状態か それ以上だな』


 舌を巻く出樫。


「アハッ うれしいな

リーダーにも見て欲しかったわ」


 少しの、日数しか離れていないけど早く会いたいな。


『えっ今なんて言った ??』


 つい、クチがすべって言ってしまった。


「あっええと

みんなに自慢できるって言ったの」


 かなり、苦しいなぁ。


『あぁ そうだなこれは自慢話ができるぐらいスゴい』


 気付いてなかったみたいね。


「でしょ~」


 手首の、関節をコキコキと動かすあたし。


『よし あとは微調整で次は実機の操縦桿を握ってもらうからな』


 簡単に、段取りの説明をする出樫。


「やっと 外に出られるのね」


 あぁ、外の空気が吸いたいよ。

 リーダーにも、会いたいわ。


『あぁ

外に出るのは 初めてだろう ??』


 ニヤニヤ笑っている出樫。


「初めて………

あっ そうそう初めてよ

フォーマットしてから」

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