第26話  南の森へ

南の森への道のりは、彼らにとって新たな試練となった。

茂密な森を抜け、複雑な地形を進む中で、アリシアたちは互いの絆をさらに深めていった。リリアは新しい守護騎士としての役割に自信を持ち始め、彼女の存在はグループに新たな力をもたらしていた。


エドワードは、南の森に潜む危険に対して常に警戒を怠らず、リーダーとしての責任を果たしていた。ガレスは古文書の知識を活かして、途中で遭遇する数々の謎を解き明かし、クロウはその魔法でアリシアを守り続けた。


そしてやはりというか、南の森を進む中で、アリシアのドジな一面が再び顔を出した。彼女は不意に根につまずき、小さな池に落ちてしまった。水しぶきが上がり、彼女の純白の衣装はびしょ濡れになってしまう。

しかし、アリシアはその状況を笑いに変え

「まあ、森のお風呂に入ったってことで!」と楽しげに言い、周囲を和ませた。彼女の天真爛漫な性格が、旅の厳しさを和らげていた。


一方でリリアは、兄の遺志を継ぎながらも、そのけなげな姿が一行に感動を与えた。彼女は料理の腕前を披露し、食事の時間には自分の作った料理を恥ずかしそうに皆に振る舞った。その可愛らしい姿に、一行は彼女の存在の大切さを改めて感じた。


ある夕暮れ時、彼らは森の中の開けた場所で休息を取り、過去の戦いやヨセフのことについて語り合った。アリシアは星空を見上げながら、ヨセフとリリアの兄妹の絆、そして自分たちの旅の意味に思いを馳せた。


「私たちが今ここにいるのも、何かの運命なのかもしれないわね」とアリシアがつぶやくと、リリアは静かに頷き、「兄の意志を継いで、私もガーディアナを守る。それが私の運命だと信じています」と真摯に答えた。



夜、キャンプファイヤーの周りで集まると、リリアは「皆さんと一緒にいられて、本当に幸せです」と素直に感謝の言葉を述べた。その言葉に、アリシアは優しく微笑みながら、「私たちもリリアがいてくれてうれしいわ。一緒にガーディアナを守ろうね」と答えた。


夜が更けるにつれ、彼らは明日の旅の準備をし、静かに眠りについた。森の中の夜は静寂に包まれ、彼らの周りには自然の穏やかな息吹が満ちていた。


翌日、一行は再び旅を続けた。アリシアは時折ドジを踏みながらも、その都度笑顔で立ち上がり、リリアはそんなアリシアを見守りながら、強くなるための一歩を踏み出していた。彼らの旅は試練と笑いに満ちており、最後の守護者、魔法使いを探す旅は、まだまだ続いていくのだった。



しかしやはりクロウのその目は憂いを帯びていたのだった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る