第22話  二つの石

アリシアたちが目の当たりにしたリリアの姿と、彼女とヨセフに起こった悲劇は、一行に多くの疑問を投げかけた。

彼らは神殿の石に触れたことで現れた映像から、『闇の瞳』と神殿の石の関係を解き明かそうとした。


「リリアのあの姿は、まるで彼女が闇に取り込まれてしまったようだった…」アリシアは深く思い悩みながら言った。

彼女の衣装は静かに彼女の体に沿って揺れ、その悲しみをより一層際立たせていた。


ガレスは神殿の壁画を調査し、「この石と『闇の瞳』は、古代の力を宿した二つの対となる存在のようだ。おそらく、『闇の瞳』は封じられていた暗黒の力を解き放つ鍵であり、神殿の石はその力を封じるための鍵だったのだろう」と分析した。


エドワードは厳しい表情で言った。

「つまり、リリアが神殿の石に触れたことで、その封印が解かれてしまったということか。そしてヨセフは、妹を救うために自らがその力に立ち向かったのだろう。」


クロウはアリシアの横に座って言った。

「だからリリアは、『あなたもいずれ私のように』と言ったのね。彼女は自分の運命を悟っていたのかもしれないわ。」


「でも、今も私が触れていても何も起こらないのは何でなの?」


ガレスが蓄えた髭を触りながら

「恐らく、いや間違いなく『巫女の力』じゃろう。この石たちの詳しい作用はまだわからんが、やはりそれを唯一制御できるのが『巫女の力』を持つ者なのじゃろう。」



アリシアは神殿の石を再び手に取り、その光をじっと見つめた。

「この石が『闇の瞳』の力を封じる鍵なら、私たちはこれを使ってリリアを救い、ガーディアナを闇から解放しなくちゃ…」


彼女の言葉には、深い悲しみと共に、強い決意が込められていた。彼女の美しい顔は、闇を打ち砕く希望の光となっていた。


ガレスは「この神殿にはまだ隠された秘密があるかもしれない。わしらはここでその答えを見つけ出さなければならない」と言い、一同は神殿内をさらに探索し続けた。




神殿の奥深くを探索する中で、アリシアたちはリリアの現在の状態についての手がかりを見つけ始めた。

古い壁画や文献には、『封印の石』に触れた者がどのような運命を辿るかが記されていた。


アリシアは『闇の瞳』と対の石をみつめながら言った。

「この石は『封印の石』なのね……。」




「これによると、資格無き者が『封印の石』に触れた者は、その心と体を闇の力に支配され、やがては自我を失い、闇そのものと一体化するようだ…」ガレスが説明した。彼の言葉には深刻な重みがあった。


エドワードは壁画を指差し

「それでは、リリアは今、闇に飲み込まれ、自分自身ではなくなってしまっているのか?」と疑問を投げかけた。


アリシアは神殿の石を見つめながら言った。

「だとしたら、リリアを救うためには、彼女の中の闇を取り除かなければ…」彼女の声は決意と同時に悲しみを含んでいた。彼女の純白の衣装が彼女の体に沿って優しく揺れ、その美しい姿が神殿の暗さに対抗していた。


クロウはアリシアに寄り添い

「リリアを救うには、『闇の瞳』の力を完全に封じる必要があるわ。それができれば、彼女も元の姿に戻れるかもしれない」と励ました。


「でも、それができるのかしら…」とアリシアが言うと、ガレスは古文書を指差し、「古代の儀式によると、特定の条件下で『闇の瞳』の力を無効化することが可能だ。その方法を見つけ出さなければならない」と答えた。


一行はリリアの救出と『闇の瞳』の力を封じる方法を見つけるために、さらに神殿内を探索した。

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