第21話  過去と未来

古代の神殿の扉を押し開けたアリシアたちは、緊張と期待に満ちた空気の中に一歩を踏み出した。神殿内部は神秘的な彫刻と壁画で飾られており、遠い過去の知恵が刻まれていた。


アリシアの純白の衣装は神殿の古びた石壁と対照的で、彼女の女性としての優美さを際立たせていた。その衣装は彼女のしなやかな体に柔らかく沿い、彼女の動きのたびに微妙に揺れ動き、優雅さを加えていた。


「この壁画、何かを語っているみたい…」

アリシアは壁画の前で立ち止まり、彼女の美しい顔が好奇心で輝いていた。


ガレスは壁画を指差し

「これは古代の神々と人間との関係を描いたものだ。ここには何か大きな秘密が隠されているはずだ」と言った。


エドワードはアリシアの横で剣を手にし、警戒を怠らなかった。

「この神殿、何かが待ち構えているような気がする」と彼は低くつぶやいた。


クロウはアリシアの手にそっと触れ

「アリシア、あなたの勇気が私たちを導くわ。だけど、無理はしないで」と優しく言った。


アリシアはクロウに感謝の微笑みを返し

「大丈夫、クロウ。私たちは一緒だもの」と答えた。彼女の表情には、美しさと共に力強い決意が表れていた。


彼らは神殿の深奥へと進んでいき、やがて一つの広間にたどり着いた。広間の中央には巨大な石の祭壇があり、その上には謎の光を放つ宝石が置かれていた。


「これが『闇の瞳』の力を封じる鍵かもしれない」とガレスは推測した。


アリシアは祭壇に近づいた。

宝石から放たれる光は彼女の顔を照らし、彼女の魅力をより一層引き立てた。


すると『闇の瞳』と呼応するかのように祭壇の石が輝き始め、アリシアたちの前に未来のガーディアナの姿が映し出された。

画像には荒れ果てた大地と、暗闇に覆われた空が映し出されていた。その中で、リリアが『闇の瞳』を手に、不気味な薄笑いを浮かべて立っている姿が見えた。


アリシアはその映像に目を奪われ、震える声で「リリア…」とつぶやいた。

彼女の純白の衣装が映像の暗さと対比して、彼女の深い憂いを際立たせていた。


画像は変わり、ヨセフがこの神殿に訪れた様子が映し出された。

彼が同じ映像を見た瞬間、「リリア……」と呟き、膝から崩れ落ちる姿が映し出される。


さらに画像は変わり、少年時代のヨセフと小さな女の子が仲良く歩いている光景が現れた。二人は明らかに兄妹で、ヨセフが彼女を笑わせたり、慰めたりしている様子が愛情深く描かれていた。画像は徐々に進み、成長していく女の子がリリアであることが明らかになった。


リリアはヨセフの妹だったのだ。そして、ある日リリアが一人でこの神殿に訪れる様子が映し出された。間違った噂話で聞いた美しい石を、兄のヨセフにプレゼントしようとしていたようだ。


リリアが輝く石を手に取った瞬間、光は失われ、彼女は闇に包まれて倒れ込んだ。

探しにきたヨセフが彼女を見つけるが、その時リリアはすでに闇に囚われていた。


アリシアたちはこの衝撃的な真実に深い衝撃を受けた。

エドワードは言った。「これがヨセフとリリアの悲劇の始まりだったのか…」


ガレスは深刻な面持ちで、「この『闇の瞳』はただの石ではなく、古代の力を宿した呪物だったのだ。それに触れたリリアとヨセフは、その力によって運命を狂わされた」と語った。


クロウはアリシアの肩を抱き、彼女を慰めながら言った。

「アリシア、私たちはこの悲劇を繰り返してはならない。『闇の瞳』を封じる方法を見つけ出さなくては。」


アリシアは涙を拭いながら、決意を新たにした。「私たちが終わらせるわ。リリアとヨセフの悲劇を…」彼女の言葉には、深い悲しみと共に、強い決意が込められていた。彼女の美しい姿は、闇を打ち砕く希望の光となっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る