第10話  新たな仲間

「ねえエドワード、次に会う守護者ってどんな人?」

アリシアは興味津々で尋ねた。


エドワードは歩きながら答えた。

「次に会うのは賢者さ。彼は古代の知識を守り、深い魔法の力を持っている。だけど、ちょっと変わった人だよ。」


クロウは「変わってるって、どんな感じ?」と尋ねた。


「まあ、会えばすぐにわかるさ。彼は自分の世界に没頭しているからね。」

エドワードは微笑みながら言った。


彼らは緑豊かな森を抜け、賢者が住むとされる北の雪山へと向かった。

道中、アリシアは時折ドジを踏むものの、その度にエドワードやクロウが優しくサポートした。


雪山に到着すると、彼らは厳しい寒さと向き合うことになった。

アリシアの白い衣装は雪に映え、彼女の姿はまるで雪の女王のようだった。


「大丈夫、アリシア?寒くない?」エドワードは心配そうに尋ねた。



「うん、大丈夫!」アリシアは元気よく答えたが、ほんのすこしだけ声は少し震えていた。


しかし、アリシアの格好は薄っぺらい生地に生足。

ここは極寒と言われ北の雪山なのだ。

とてもこんな薄着で生きられる人間など居ないはずである……。



(やっぱりこの服には特別な力があるのね…、こんなに肌が露出してるのにちょっと肌寒いだけなんて…。靴だってそう。雪に埋もれてるのに冷たさを感じないばかりか、歩き辛さだってそんなに感じない。)



「今更だけど……、すごっっっ!」







アリシア、クロウ、そして勇者エドワードが雪山の中腹に建つ古の図書館に到着した時、彼らはまさかの光景に遭遇した。


重い扉を開けると、中からは浮遊する書物と、宙に浮かぶ老人の姿が現れた。

賢者ガレスは逆さまに宙に浮き、本を読んでいたのだ。




「あれが賢者ガレス?」アリシアは驚きと興味を持って彼を見つめた。


「ああ。相変わらず変わった爺さんだな…」エドワードは苦笑いを浮かべた。


ガレスはこちらに全く気付かない。穴が開く程に本を凝視し没頭していた。


アリシアはガレスに気付いて欲しいと思った。すると、アリシアの体が白く光り輝きはじめ、やがてガレスの本や本棚を全て覆った。


「ん!ぬおっ!なんじゃ!?これは?…」



「ハッッ!」


ようやくガレスは彼らの存在に気づくと、空中で一回転して着地し、優雅にお辞儀をした。

「ふえぇ、びっくりしたぞい」


「ようこそ、旅人たち。私はこの図書館を守る賢者、ガレスだ。」


「久さしぶりじゃの、エドワード」


エドワードは軽く手を挙げ会釈した。



アリシアは目を輝かせて賢者に近づき、

「びっくりさせてごめんなさい!でもすごい!宙に浮くなんて、どうやってるの?」と興奮しながら尋ねた。


ガレスは微笑みながら答えた。

「光の巫女じゃな。これは少しの魔法と、長い修行の賜物じゃよ。この図書館は特別な場所、ここでは不思議なことがよく起こるんじゃ。」



「ふーん、私にも出来るかな。」



ガレスは長くて白い髭をさすりながら答えた。

「時間をかければ可能じゃろうな」


「時間?どのくらい?」

アリシアはワクワクしながら訪ねた。



「50年もあれば浮ける様になるさ」



「…………。そ、そか……、頑張る…わ」




エドワードが言った。

「ガレス、我々はガーディアナを救うため、お前の力を借りたいんだ。」



ガレスは一瞬考え込むように見え、

「ふむ、私の力が必要ならば喜んで協力しよう。しかし、その前に…」

と言って、彼は彼らに新たな試練を提示した。


アリシアは目を輝かせながらガレスの言葉を待った。

彼女は新たな試練にも果敢に挑む準備ができていた。

彼女の旅は、さらなる知識と力を求めて、次なるステージへと進んでいくのだった。






「50年かぁ。もう光の巫女ばあちゃんだよね……」




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