第8話  勇者の試練

アリシアとクロウは勇者エドワードの前で立っていた。

エドワードの部屋は荘厳で、壁には古の戦いを描いたタペストリーが飾られていた。アリシアの純白の衣装は部屋の中で一層輝きを放ち、彼女のしなやかな腰の曲線と長い脚を優雅に強調していた。


「じゃあ、試練って具体的に何するの?」

アリシアは少し不安げにエドワードに尋ねた。


エドワードは優しく微笑みながら、一つの古びた箱を取り出し、それをアリシアの前に置いた。「この箱を開けることが君たちの試練だ。」


箱は複雑な装飾が施されており、数々の象形文字と大小の点が刻まれていた。アリシアは好奇心を持って箱を眺め、興奮しながらエドワードを見上げた。


「これ、パズルみたいなもの?」と彼女が言った。


「そ、そうだよ。でも、ただのパズルではないんだ。この箱は古代の秘密を宿していて、それを解く者は真の知恵を持つ者とされているんだ……。」

エドワードは説明した。


(何でそんな不安そうなんだろ?……ま、いーか)



クロウは箱を慎重に観察し、「これは複雑そうね…」とつぶやいた。


アリシアは膝をつき、箱の細部をじっくりと眺めた。

「ここにあるマーク、なんか意味があるのかな?」と首を傾げながら言った。



エドワードは、やはり不安そうに静かに観察していた。


アリシアは集中して箱の文字を解読し始めた。


「ん?ん?あれ……?」


「これって……、星座じゃ……ない?ここに描かれてるの…」

と小声言った。



(これがこと座でこれがはくちょう座、でこれがわし座よね?)

(でも、なんか位置が……)





「あ!これスライドパズルみたいに動かせる!」


アリシアは昔やった事のある数字のパズルを思い出し、ひとつずつ動かしていった。


(夏の大三角だから、こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブ…と、これで合ってるよね…?)





すると、アリシアの衣装がいつもに増して白く光輝き周りを包んだ。


「え!な、何……!?私何かしちゃった!?」



少しすると、まぶしい光が箱のある文字に集まっていた



「もしかして、ここを押して…」

アリシアがそっと一つの記号を押すと、箱からカチリと音がして、蓋がゆっくりと開いた。



「!!!???」


「あ、開いちゃった……」

アリシア自身が驚いていた。


もちろんエドワードたちも。



そして箱の中には、真っ青な石がついたネックレスが入っていた。


エドワードや守衛たちが声にならない声をあげていた!

「これは……!!」


「ん?何?」アリシアは知りたがった。


「こ、これは…この砦の屋根や絵画に描かれている、伝説の{時の勇者}が首から下げているものと全く同じなんだ……」



真の勇者が必ず身に着けなければならないものであった。


エドワードが汗をかきながらアリシアに話しかけた。

「アリシアありがとう」


「驚いたよ…本当に解いたんだね…。君は本当に特別なんだ…。」

エドワードは称賛と驚きを込めて言った。


アリシアは「えへへ、やった!楽しかった!」と満足げに言った。



エドワードは頭をかきながら

「実は僕はおろか、知恵者として有名な司教や古代学の専門家たちにも挑戦してもらったが、全く解けなかったんだ。」

エドワードは続けた。

「夜空の星の様に見えるが、こんな星空は誰も見たことがないし、どんな書物にもこんな模様は記されていなかった。一体これは何なの?」


アリシアは言うべきか少しの間逡巡したが、正直に答えた。


私が元居た世界では、さっきの星座が見えるの。とても有名な星座。」


「星座?」


(あ、こっちには星を線でつなぐ概念がないんだ……)


アリシアは箱の描かれている点と点を指でなぞり、それぞれの星座の形を説明した。


「そんなことが……」


エドワードは深く一礼し、


「アリシア、やはりきみは特別な存在だ。感謝するよ。私も君たちと共にガーディアナを救う旅に出よう。」


アリシアの目が輝いた。「本当に?一緒に来てくれるの?」


「もちろんだよ。君たちとガーディアナの力になりたいんだ。」

エドワードは温かい笑顔で答えた。


クロウは「エドワードの力があれば、私たちの旅ももっと安全になるわね」と言い、アリシアは嬉しそうに頷いた。







そして次の朝、

三人は砦を後にし、次なる守護者を探す旅に出た。


砦を出てすぐ。アリシアの純白の衣装は風に舞い、光に透かされ体のラインがくっきりと浮かんでいた。

エドワードは、外の光の下でのアリシアの美しさと、そのあまりにも魅力的な体つきに思わず頬を赤らめたが、


アリシアには気付かれずに済んだ。



しかしクロウと目が合い、変な咳をしてしまった。


「グゲフェほっっ!!」


「どうしたの!?エドワード!大丈夫!?」アリシアがビックリして言った。


「ぜんっ、全然大丈夫!気合が入り過ぎただけだよ……」



クロウが声にせずに笑っていた。







彼らの旅は新たな仲間と共に、未知の冒険へと続いていくのだった。

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