第7話  勇者の砦

太陽がゆっくりと西に傾き始める中、アリシアとクロウは東の草原を進んでいた。空は広く、その下で二人は互いの足音と心地よい風の音だけを聞きながら歩いていた。アリシアの衣装は日差しに輝き、彼女の体の曲線を強調していた。

風が彼女のスカートをふわりと持ち上げるたびに、その下に隠された魅力的な脚が露になる。


「アリシア、そんなに足元ばかり見て歩いていると、転んでしまうわよ」

クロウが優しく注意した。


「えっ、そうかしら?でも、この衣装、ちょっと長いからつまずきそうで…」

アリシアは言い訳めいた声で返し、不意に足をもつれさせた。


「あっ!」

小さく叫びながら、彼女はバランスを崩し、まるで漫画のように派手に転んでしまった。白いスカートがふわりと舞い上がり、その瞬間、彼女の滑らかな太ももが大胆に露出した……。


「大丈夫?アリシア」

クロウがすぐに駆け寄った。


「えぇっと、大丈夫。ただのドジだから」

とアリシアは苦笑いを浮かべながら答えた。彼女は恥ずかしそうにスカートを整え、再び立ち上がった。


「アリシア、あなたのそのドジっ子ぶりも魅力の一つよ。でも、少しは慎重に歩いてちょうだい」とクロウは微笑みながら言った。


「わかったてるんだけどね。ふぅ、もっと気をつけるわ」

とアリシアは頷き、再び歩き始めた。

彼女のスカートは再び風に舞い、その動きはまるでダンスのように優雅だった。


しばらく歩くと、二人は小川に差し掛かった。流れる水は透き通っており、小石が底で輝いていた。


「ここを渡らないといけないわね」とアリシアが言い、石に足を踏み入れようとした瞬間、足が滑り…



「わっ!」と叫びながら、アリシアは、やはりとういうか小川に落ちてしまった。

水しぶきが舞い上がり、その中で彼女の衣装は濡れて肌に張り付き、彼女の体のラインを際立たせた。


「やっちゃった…」と彼女は恥ずかしそうに言い、水から這い上がろうともがいた。その姿はまるで映画のヒロインのようだった。


クロウは笑いを堪えながら、「さすがアリシア、ドジをしても絵になるわね」とからかった。


アリシアは水を切りながら、「もうっ、バカにしてるんでしょ!?」

と笑いながら言った。


小川から出るとすぐに彼女の衣装は元の白さに戻り、汚れもなくなっていた。


「不思議ね、この衣装。こんなに汚れてもすぐに綺麗になるなんて」とアリシアは驚きを隠せずに言った。


「それが、あなたの純粋さを象徴しているのよ」とクロウは微笑んで答えた。




二人は再び歩き始め、草原の向こうに見える勇者の隠された砦を目指して進んでいった。アリシアの足元からは、彼女の転び方にもかかわらず、砂埃一つ舞い上がらない。彼女の周りには、まるで魔法のような純粋な空気が漂っていた。


アリシアとクロウが東の草原を進むにつれ、遠くにそびえ立つ砦の輪郭が徐々にはっきりとしてきた。夕陽がその石壁に当たり、金色に輝く姿はまるで古の伝説から抜け出してきたかのようだった。


「あれが勇者の砦ね。雰囲気あるー!!」

アリシアは感嘆の息を漏らした。


クロウが横目でアリシアを見て、

「ここが私たちの最初の試練の場所よ。準備はいい?」と尋ねた。


「うん、できてるわ。少し緊張するけど…」

アリシアは自信を持って答えたが、彼女の声には僅かな震えがあった。


二人は砦へと近づくにつれ、その荘厳な雰囲気に圧倒されていった。

夕暮れの風が吹き抜ける中、アリシアの白い衣装は静かにたなびき、彼女の周りには幻想的な雰囲気が漂った。


砦の門前に到着すると、重厚な木製の扉がそびえ立っていた。アリシアは少し躊躇しながらも、クロウの励ましの視線を感じつつ、門に手を伸ばした。


「ここからが本当の試練ね…」

アリシアが囁くと、その瞬間、門はゆっくりと開き始めた。


中から現れたのは、鎧をまとった勇猛な守衛たちだった。

彼らはアリシアとクロウを見つめ、一人が前に出てきて言った。

「光の巫女とその伴侶か。勇者はお前たちを待っていた。」


アリシアは深呼吸をして、クロウの隣で頷いた。

「そうよ、私たちは勇者に会いに来たの!」


守衛たちは二人を砦の内部へと導いた。

アリシアはその荘厳な内装と歴史を感じさせる装飾に圧倒されながら、勇者に会うための準備を心の中で整えていった。


砦の内部は迷路のように複雑で、彼らはいくつかの通路と大広間を通り過ぎた。

その間もアリシアの純白の衣装は砦の石壁に反射して、幻想的な光を放ち続けた。


ついに彼らは大広間の奥にある広々とした部屋にたどり着いた。

その部屋の中央には、堂々とした姿で勇者が立っていた。

彼の姿は威厳に満ち、しかし同時に温かな笑顔を浮かべていた。


「光の巫女アリシア、ようこそ。私はこの地の勇者、エドワード。あなたたちの来訪を心待ちにしていた。」

勇者エドワードは堂々とした声で挨拶した。


アリシアは緊張を隠しきれずに、しかし堂々と応えた。

「私たちはガーディアナを救うため、あなたの力を借りたくて来ました。」


勇者エドワードはアリシアの目をじっと見つめ、静かに頷いた。

「ああ、分かってる。だがその前に、あなたの力を試させてもらう。」


アリシアとクロウは互いに視線を交わし、それぞれ心の準備を固めた。

彼らの冒険の第一の試練が、今、始まろうとしていた。






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