第4話 力と責任の発見
アリシアはガーディアナの温かい太陽の下、第一の目的地である東の草原へと歩を進めていた。彼女の鮮やかな巫女の衣装は、見る者の目を引きつけ、隠された彼女の体のラインがときおり現れるたびに、通りすがりの人々の視線を釘付けにしていた。
この新しい世界での自分の役割に不安を抱えながらも、ザイファーの言葉を思い出していた。
「光の巫女よ。まずは信じて念じる事だ」
「さすればすぐに答えてくれるだろう」
彼女は内に秘めた力を発見し、それを受け入れるよう自分を奮い立たせていた。その瞬間、ひょんなことから彼女の魔法の才能が目覚め始める。
道に落ちている小石を見つけ、
「動けっ」
その瞬間小石が跳ねたのだ。
「マジか……。」
「すごぉぉぉぉいっっっ!!!」
それから道中、彼女は小さな魔法を使って遊んでみたり、自己の力について学び始めたりしていた。
そんなとき、不意に茂みから黒猫が飛び出してきた。
突然の猫の登場に驚いたアリシアは手を振った瞬間、思わず彼女の手から青く輝く光の波紋が広がり、花が咲く魔法を無意識に発動させた。
「わわっ!ごめんなさい、わざとやったわけじゃないんだから!」アリシアは慌てながらも黒猫に謝った。
クロウは彼女の反応に小さく笑いながら、
「あなたのその反射的な魔法、かわいいわね。私はクロウよ。これからの旅の案内をするわ。」と自己紹介した。
アリシアは目を丸くして驚愕した。一瞬で彼女の足がもつれ、ドジっぽく後ろにつんのめり、ふわりと花びらの上にお尻をつけた。
「えっ、えっ!喋った!? ねえ、今の…本当にあなたが……喋ったの!?」
彼女は信じられなさそうにクロウを見つめ、驚きと共に戸惑いが混じった声を上げた。
クロウはアリシアの表情を楽しむかのように、こっそりと微笑んだ。
「そうよ、喋るわよ。私はただの猫じゃないの。ここガーディアナでは、少し変わった存在も珍しくないのよ。だから、心配しなくていいわ。」
アリシアはまだ半信半疑の表情を浮かべながらも、立ち上がり、手を叩いて花びらを払った。
「わかったわ、ガーディアナではこれが普通なのね……でも、やっぱりすごいわ!」
驚きから回復し始め、彼女の目には新たな世界への驚嘆と好奇心が宿っていた。
「ねえクロウ、私たち本当にうまくやっていけると思う?」
アリシアはクロウにそっと尋ねると、クロウは彼女の肩に飛び乗りながら
「あなたがその可愛いドジっ子魔法を制御できるようになればね」
と答え、軽く舌を出した。
クロウとアリシアは村へと向かいながら、旅の計画とこれから学ぶべき魔法について話し合った。
「てかさぁ、クロウ。この服、ちょっと派手すぎだと思わない?」
アリシアは少し心配そうに尋ねた。
「全然。あなたにはそれが似合ってるわ。それに、注目されるのは「光の巫女」の宿命よ」とクロウはアリシアを励ました。
道中アリシアの巫女の衣装と彼女の女性らしさが多くの注目を集めたが、彼女はクロウとの新たな絆を心強く感じ、その注目を嬉しそうに受け入れた。
村に到着すると、やはりアリシアは多くの注目を集めた。
彼女は恥ずかしがりながらも、その注目を受け入れ、クロウと共に村人たちと交流を深めていく決意をした。
村人たちは、アリシアを見て、光の巫女がついに現れたと興奮していた。彼女は人々の期待に応えるため、さっそく役立とうと心に決めていた。
井戸の端に座り込んだアリシアは、村の長老から話を聞いていた。
「水が枯れてしまって、困っておるんです。」
長老は深いため息をつきながら言った。
「私に任せて!」アリシアは立ち上がり、意気込んで言った。
「この井戸、私が何とかします!」
長老は心配そうに眉をひそめた。「本当にできるのですか?」
アリシアは自信満々に頷いた。「大丈夫!私には特別な力があるんだから!」
彼女は両手を広げ、目を閉じて集中し始めた。
井戸に向かって彼女はイメージした。すると空気を振るわせ、やがて輝く水が井戸から湧き出した。
村人たちから歓声が上がり、アリシアは満足げに微笑んだ。
しかし、次の日、畑の問題が起こった時、彼女はその自信が揺らぐことになる。
「巫女さまぁ、畑が…」一人の子どもがアリシアに走ってきた。
「野菜たちが育たないんだ。」
アリシアは立ち上がり、子どもに手を差し伸べた。
「大丈夫、見ていてね。」
彼女は畑の中央に立ち、再び魔法を唱えたが、今回は力をコントロールできず、野菜たちは異常に成長し始めた。
「わわ、えぇっ!こんなに大きくなっちゃった!」
子どもたちが驚いて言った。
「ああ、やりすぎたぁ…」アリシアは頭を抱えた。
そこにクロウが登場し言った。
「アリシア、力とは慎重に使うものよ。今回の事で、何を学んだ?」
アリシアは深く頷き
「力には責任が伴うという事、そして時には自分の力を信じ過ぎてはいけない、という事ね。」
「そうね、そして、一人ではない事も忘れてはいけないわ。」
クロウは彼女を励ますように言った。
村人たちと共に手作業で畑を整備していくうちに、アリシアは
(力は人々との絆と共に使うもの)という大切な教訓を学んだ。
そして、彼女はこの経験を糧に、さらなる成長を遂げていくのだった。
クロウがからかう様に言った
「アリシア。この野菜どうすんの?」
「もうっっ!食べるわよっっっ!!」
「野菜なら太らないでしょ!!」
(こんだけ食べたら太るだろ)クロウは口に出さなかった……。
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