第21話 学校一番の美少女(マドンナ)

 あれから僕は寝ても覚めても空良と交わした甘いキスが頭から離れられずにいた。

1回目のキスは5秒足らずで空良の唇が離れた。だけど、僕はそれでも物足りず大胆にもその後、空良の唇に再び唇を重ねていった。体を密着させ空良の胸の膨らみを

感じた。ムラムラと男の本能が湧き出るほど数十秒から数分にかけて触れていた

唇の感触は脳裏一面を埋め尽くすほどに焼きついていた。空良は抵抗することも

なく、僕の唇を受け入れてくれた。互いに瞼を閉じ、唇の感触を確認し合い、後に

残る甘いストロベリー味をした唇を僕は離したくなくて、離すタイミングを忘れて

いた。トロけるような甘い2回目のキスは自然が流れる音が遠くに感じるくらい

長い時間触れていて、僕の身体全てを気持ちよくさせていた。

あの時、僕は自然が流れるまま空良を押し倒し生身の肉体美に触れたくて、一瞬

制服の中へ手を入れてしまおうかと血迷ったが、まだそこまで同意されていない

僕はその行為を必死に抑制した。

僕の理性は合意の元、抱き合うから成立する。あんなムードもない場所でできるほど

僕と空良の初体験は安くない。僕にだってそれくらいのポリシーはあるのだ。


―――だが、現実は厳しく……


同じ二階にクラスがあっても空良と僕のクラスは別々で、休み時間、僕は廊下に出て

空良と話せる機会を待つ。業間たった10分。だけど、空良が廊下に出てきても必ず空良の周囲まわりには男女問わず誰かいて、休み時間も昼休みも学校で空良と

話すのは無理みたいだ。

「一年にすっげぇ可愛いい子がいるんだってよ、見に行こうぜ」

空良の美少女ぶりはあっという間に噂が広まり、二年の男子達も三年の先輩達も

空良を一目見たくてワザワザ一年の教室にまで足を運ぶほどだ。

空良は一躍アイドル並みの人気となり、学校一番の美少女マドンナと呼ばれ

一目置いちもくおかれるようになった。


僕はか弱き乙女を囲む獣男けだもの等をただ見ていることしかできなかった。

ああ、あの野獣の中から姫君を救い出してあげたい。

そうすれば僕は姫君から熱い口づけをご褒美にもらえるだろうか……。


―――なんて、甘い妄想が僕の脳内を占領していた。


僕はふと窓越しから見える景色に視線を向ける。


ああ、一日が長く感じる―――ーーー。

前はそんなこと考えたこともなかったのに……。


空良に『オーケー』だと言われ、空良と甘いキスを交わし、

晴れて恋人同士になっても実感がなく、昨日のことが本当は

夢だったんじゃないかって、もしかしたら僕のイキ過ぎた妄想

だったんじゃないか……と思ったりする。

確かに空良の胸に触れた時はこの手に手応えはあった。

―――だけど……

僕は手の平を見つめ、再び空良の柔らかい胸の感触を思い出し、

照れ笑いを浮かべる。何だか頬が赤く火照てってきたみたいだ。


普通、彼氏と彼女なら例え別々のクラスでも休み時間は一緒にいたいと思うし、

色んな話をして、恋人繋ぎで登下校したいに決まっている。

でも、実際は別々に通学しているし、休み時間や昼休みは このざまだ。

これで彼氏・彼女だと言えるのか! 違うだろ!

それに、僕は空良とデートがしたい――ーーー。


デート!?


そうだ、空良とデートをしよう!!



ああ、、、学校一番の美少女マドンナは僕の彼女だぁぁぁ……

                 

                 ……って、宣言してぇ―――――ーーーー。

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