第36話 中編執筆開始まで

ユウキ「今回は今までのおさらい。中編の準備を解説だ!」

アリス「お願いします」

ユウキ「今回は以下の順番で、振り返ってみようか」


1.物語の大枠

2.キャラの大枠(主人公、相棒、敵役のみ)

3.キャラ同士の因縁

4.あらすじを書く

5.プロットを書く

6.最初の一行を書く


アリス「うわぁ……。結構多いのですね……」

ユウキ「まあ、初めて見たらそうなるよな」

アリス「私は始まるまでの手順が長いと、やる気がなくなるタイプです」

ユウキ「そういう人は、いきなり本編を書いて、詰まったら戻ってきてくれ」


アリス「まずは慣れろですね」

ユウキ「ここから更に小分けして、順番に解説していくぞ」


1.物語の大枠

・ジャンル

・舞台設定

・作風


ユウキ「物語の大枠は、こんなものだろう」

アリス「あくまで大枠だから、がばがばに決めるのですね」

ユウキ「ああ。適当に考えた設定をここに入れてみる」


・ジャンル:異世界コミカルバトルサスペンス

・舞台設定:ファンタジー世界

・作風:ハチャメチャギャグ


ユウキ「こんな感じでOKだ」

アリス「ユウのいつもの作風じゃない」

ユウキ「まあ、やりなれた方が、解説しやすいからな」

アリス「でも大体の方向性は掴めました」


ユウキ「当然だが、まずこれを決めないと、他の設定が決められない」

アリス「そうですね。方向性が迷子のまま、書くわけにはいきませんもの」

ユウキ「簡単でも良いから、この3つだけでも決めておこう!」


2.キャラの大枠(主人公、相棒、敵役のみ)

・性別

・属性

・目的

・最終目標


ユウキ「キャラの大枠は、これくらい決めれば大丈夫だ」

アリス「性格の詳細な設定は、また別に行うのですね」

ユウキ「個人的には、あらすじ書く前くらいがおすすめかな?」

アリス「人によって違うので、自分のやりやすいようにしてくださいね」


主人公

・性別:男性

・属性:ハチャメチャバカ

・目的:故郷を滅ぼした帝国への復讐

・最終目標:帝国の制圧


相棒

・性別:女性

・属性:ツッコミ真面目

・目的:両親を殺した相手への復讐

・最終目標:敵役と決着をつける


敵役

・性別:男性

・属性:殺人鬼

・目的:人間同士で殺し合う姿を見る事

・最終目標:人類滅亡


ユウキ「こんな風に、最初は簡単でOKだ」

アリス「王道と言えば、王道の設定ですね」

ユウキ「この4つが決まれば、キャラの方向性も見えてくる」

アリス「確かに。方向性が決まれば、関係性も見えてきますね」


ユウキ「そこで次のステップに繋がる訳だ」

アリス「大枠から因縁を決めていくのですね」


3.キャラ同士の因縁

・主人公と相棒の関係性

・主人公と敵役の関係性

・相棒と敵役の関係性


ユウキ「以前にも解説したが、おさらいしてみようか」

アリス「はい。確か関係性は変化するのでしたね」

ユウキ「ああ。序盤、中盤、終盤の3つを決めれば良いぞ」

アリス「上記の大枠を使って、因縁を決めていくのですね」


主人公 ⇔ 相棒

・序盤:お互いの目的のために、利用し合う

・中盤:信頼関係が生まれ始める。互いに気遣い合う

・終盤:相棒として、敵役の最終目的を止めるため動く


主人公 ⇔ 敵役

・序盤:主人公にとっては倒すべき敵の1人。敵役は眼中になし。

・中盤:相棒抹殺に失敗した敵役。障害となった主人公を意識する

・終盤:次々と計画を崩した主人公を、憎悪する敵役


相棒 ⇔ 敵役

・序盤:相棒にとって、両親を殺した相手。敵役にとって、覚えている騎士の娘

・中盤:お互い真相を知り、抹殺に入る

・終盤:相棒は憎しみを乗り越え、敵役は主人公に執着。お互い憎しみ合いが消える


ユウキ「王道的に考えると、こんなところかな?」

アリス「これだけで、すでに物語が出来上がってますね」

ユウキ「ああ。さらに形にするため、次の工程へ進もうか」


4.あらすじを書く


ユウキ「上記の設定を加味して、あらすじを書いてみようか」

アリス「ええっと、確か転結、起承の順番で書くのでしたね」

ユウキ「よく覚えていたな。転で一番エネルギーを使うからな」

アリス「でも実際どうやって、転から書けば良いのですか?」


ユウキ「難しく考える必要はないよ。上記の例を使ってこうすればいい」


・転 敵役の罠~最終決戦の序章まで

 いくつもの罠を張り、相棒の抹殺にかかった敵役。相棒は自らの心の闇に消されそうになる。そこへ飛び出す主人公。主人公は相棒の心の中へ入る。押しつぶされそうな相棒に手を伸ばす主人公。

 彼女を引っ張り上げて、敵役の罠を打破する2人。初めて計画外の事が起きて、敵役は慌てる。主人公と相棒の抹殺のため、自ら手を出す。だが成長した2人の前に、敵役は次第に追い詰められる。劣勢を感じた敵役。主人公に憎悪を向けながら、撤退を始めた。


・結 最終決戦開始~決着まで

 追い詰められた敵役は、暴挙に出る。人類抹殺のために、禁句の術を使用し始めたのだ。主人公と相棒は術を止めるため、敵役との最終決戦へ向かう。皇帝さえも裏切り暴走を始める敵役。

 禁句の術でパワーアップした彼に、苦戦を強いられる主人公達。だがここで相棒の持つ切り札が発動した。両親が残したお守り。それは禁句の術を打ち消す能力を持っていたのだ。

 更に相棒の両親に傷つけられた古傷を、主人公によって広げられる敵役。双方の効果が重なり、敵役は劣勢に追い込まれる。そこへ主人公と相棒のダブルパンチが炸裂。敵役は敗北し、術を使った代償として永遠の苦しみを味わうことになった。


ユウキ「ここから逆算して、起承を書いてみようか」


・起 始まり~解放軍へ参加まで

 帝国が各国へ侵略を始めた。皇帝は自らの力の象徴として、人類を野菜派に変える恐るべき術を使う。主人公の故郷、肉の王国は帝国によって滅ぼされる。主人公は故郷の再建と復讐のため、帝国と戦う事を決意する。

 そこへ現れる相棒。帝国と戦うなら、自分も連れて行けと主人公に言う。主人公はそっけなく返し、追い返そうとする。だが相棒は答えを聞かず、勝手についてきた。彼女の目的は、両親を殺した人物への復讐だという。

 それぞれの目的だけが2人を繋ぎ、復讐のために旅を始める主人公と相棒。あまりかみ合わない2人は、帝国の砦を制圧して反乱軍へと加わった。


・承 敵役開始~反撃作戦終了まで

 反乱軍は帝国への一大反抗作戦を考えていた。主人公と相棒は作戦に参加を表明する。反抗作戦が開始され、乱戦状態になる。そこへ敵将の1人として、敵役が登場する。敵役は相棒の見た目に面影を感じていた。かつて自分に傷を負わせた忌まわしき騎士の面影を。

 相棒との会話で、敵役は古傷を負わせた人物の子供だと確信。相棒も敵役が両親の仇だと知る。相棒は先走り、敵役を倒そうとする。だが敵役の罠にかかり、窮地に陥った。

 そこへ駆けつけて、主人公が相棒を守る。相棒は先走ったことを主人公に謝罪する。少しだがお互いに絆が生まれ始める。だが敵役の罠はこれで終わらなかった。卑劣な罠がいくつも張り巡らされ、相棒を襲う。


ユウキ「こんなもんだな」

アリス「なるほど。これで物語にはなっていますね」

ユウキ「これで大体の設定は決まった訳だ」

アリス「流れが分かり、スムーズに進むようなりますね」

 

5.プロットを書く


ユウキ「あらすじを基に、プロットで細かい設定を決めていこうか」

アリス「今までは大枠と、流れのみでしたからね」

ユウキ「当然だが、物語に深みを出すには掘り下げが必要だ」

アリス「ええっと。どういう事ですか?」


ユウキ「上記のあらすじの場合、主人公の故郷再建の思い。相棒の両親への感情」

アリス「なるほど。確かに内面的な事が分かれば、深みが増しますね」

ユウキ「それらを詳細に決めるのが、プロットの役目だ」

アリス「プロットの書き方は以前、解説しましたね」


ユウキ「折角だし、こないだとは違う書き順を紹介する」


1.箇条書きで設定を考える

2.それぞれを掘り下げてみる

3.wikiのキャラ説明の様に、文章で書いてみる


アリス「こないだと、全然違うじゃないですか……」

ユウキ「書き方っていうのは、色々あるんだよ」

アリス「これを紹介すると、長くなりそうですね……」

ユウキ「だから例はなし。悪いが次の項目へ行くぞ」


6.最初の一行を書く


ユウキ「最後は最初の一行を考えてみよう」

アリス「確かここに、全力を注ぐのでしたね」

ユウキ「ああ。当然だが、最初の一行だけは、必ず読んでもらえる」

アリス「そこで掴みを失敗したら、台無しですからね」


ユウキ「なので最初の一行は、大胆に書いてみようか」

アリス「後から練れば良いのですね」

ユウキ「俺の場合、こんな風に書くかな?」


 ピーマンを残した主人公は、帝国の兵士に追われていた。


アリス「はい。一行目から意味が分かりません」

ユウキ「勿論ここから練るが、とにかく作風を伝える事を意識している」

アリス「読者とのミスマッチを避けるためにも、大事ですね」


ユウキ「今回はおさらいとして、流れを書いてみた」

アリス「書き始めるまでにも、いろんな工程がありますね」

ユウキ「勿論これは、慣れた人向けだ」

アリス「慣れていない人は、まず本編を書くのですね」


ユウキ「今までは書く前段階の、話ばかりしていたな」

アリス「そういえば。肝心な本編がありませんね」

ユウキ「と言う訳で、次回から本編執筆中の事について解説だ!」

アリス「ふむ。私もよく筆が止まることがあるので、ありがたいですね」


ユウキ「次回は途中で展開に詰まった時について、解説だ!」

アリス「よくあることなんですよね……」

ユウキ「どうやったら、次の話が思いつくのか? 対処法を紹介するぞ!」

アリス「対処法が分かれば、それに沿えばいいのですね」


ユウキ「それじゃあ、みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします!」

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