第35話 主人公、相棒、敵役、どんな関係が必要か?

ユウキ「今回は3者の関係性について、解説だ!」

アリス「前回は物語を通して、関係性が変化していくでしたね」

ユウキ「ああ。だがこの関係性。実は型があるんだ」

アリス「要はテンプレートですね。添えば、労力を削減できそうです」


ユウキ「勿論型破りもありだけど。破るには、まず型を知る必要がある」

アリス「常識を知らずに、常識外れの作品が書けないようにですね」

ユウキ「まずは今回紹介する型について。実践してみてくれ」

アリス「ふむ。ではどんな型があるのでしょうか?」


ユウキ「まず、主人公と相棒についてだ」


序章:主人公が問題を抱え、相棒が無理矢理同行する

中盤:相棒の目的が明かされ、主人公か相棒、どちらかの成長が起きる

終盤:2人で互いの抱える問題を、解決する


ユウキ「3つに分けて、こんな関係性かな」

アリス「なるほど。全く分かりません」

ユウキ「そうだね。だから例を出してみようか」


序章:失敗がトラウマになり、任務が出来なくなる主人公。そこへ相棒が無理矢理任務に同行させる

中盤:相棒の目的は、過去に自分の家で起きた事件の解決である

終盤:主人公はトラウマを乗り越える。相棒の復讐のため、力を貸す


ユウキ「まあ、こんなところかな?」

アリス「例があると、さっきより分かり易くなりますね」

ユウキ「これだけで短編くらいは出来そうだろ?」

アリス「確かに。長編を作るには、少々設定が足りませんけど……」


ユウキ「次は主人公と敵について、解説だ」

アリス「確か因縁を重ねていくのでしたね」

ユウキ「うん。因縁を重ねたら、こんな風に関係が変化するはずだ」


序盤:明確な目的の対立が示される。敵側は主人公を全く意識しない

中盤:主人公が敵の目的を、1つ頓挫させる。敵側が主人公を意識

終盤:互いの最終目的達成のために、直接対決する


ユウキ「こんな風になるな」

アリス「なるほど。こちらは大体分かりますね」

ユウキ「でも一応例を出しておくよ。さっきの奴と関連付けてね」


序盤:事件解決を目指す主人公と、事件を闇に葬ろうとする敵役

中盤:相棒を殺すために敵側が動くが、主人公に妨害される

終盤:敵は相棒を殺すため、主人公は敵役を倒すため対決する


ユウキ「どうだ? 関係性だけで、物語に深みが出てきただろ?」

アリス「確かに。これだけですでに面白そうですね」

ユウキ「詳細なプロットは必要だが、この時点でかなりの文量が書けそうだ」

アリス「すでに物語の情景が、目に浮かんでいます」


ユウキ「最後に相棒と敵側についての型だな」

アリス「正直イメージが湧き辛いですね……」


序盤:相棒の有能さを見抜き、強く意識する敵役。敵役の嫌味に負けない相棒

中盤:相棒の真の目的と、敵側の目的が正反対である。お互いを排除のため動く

終盤:敵側の注意が主人公に逸れる。相棒は成長から敵への意識が変わる


ユウキ「相棒はあくまで物語の脇に居るからな。そこは配慮しないと」

アリス「最初は相棒が、敵側に注目されているのですね」

ユウキ「主人公を引き立てるためだけどな。これも例を出してみようか」


序盤:複雑な事件を次々と解決する相棒。評価を下し、警戒する敵役

中盤:相棒が事件の真相に気付き、敵役が捜査妨害のため排除しようとする

終盤:敵役は主人公の排除へ移る。相棒は敵に対する復讐心が薄れていく


ユウキ「まあ、こんなところだろう」

アリス「相棒は主人公を利用し、敵役は相棒だけを邪魔者と考えていますね」

ユウキ「だけど主人公から想定外の反撃を受ける。そこで一気に関係が変化する」

アリス「なるほど。これが関係性の型と言うものですか……」


ユウキ「この型を使って、相関図を描くと分かり易いぞ」

アリス「あらすじもないのに、物語の骨格が出来上がっていますね」

ユウキ「まずキャラからって人は、ここからあらすじを書くんじゃないかな?」

アリス「確かに。ここから設定を広げることは出来そうです」


・主人公と相棒は、互いに成長のための関係である

・敵役は主人公を舐めているが、想定外の反撃に遭う。主人公を意識する

・相棒と敵役が最初から明確な、対立をしている


ユウキ「非常に残念なお知らせだが、次回の内容はおさらいだ」

アリス「残念ですかね? 今までの流れを振り返るには良いと思いますけど」

ユウキ「今まで説明したことを使って、中編小説を書いてみようか」

アリス「勿論エッセイ内では書きませんけど、流れを確認ですね」


ユウキ「手順が多いから、少し長めになることは了承してほしい」

アリス「中編書くのも、手間が必要なのですね」


ユウキ「それじゃあ、みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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