第37話  途中で執筆が止まったら?

ユウキ「今回は、途中で詰まった時の対処法を紹介だ!」

アリス「はい。私も最近良く筆が止まります」

ユウキ「俺も何回も経験したことだから、気にしなくていいぞ!」

アリス「まあ、誰もが1度は通る道ですよね」


ユウキ「けど肝心な対処方法が、"プロットを見直せ"とかだろ?」

アリス「そうですね。指南書でも、そう書かれているケースが多いです」

ユウキ「でも人間。1度建てた計画を、練り直すには労力が居る」

アリス「確かに。最初のプロットを、変えにくいんですよね……」


ユウキ「だから今回は、"最初のプロットを変えずに"、続きを書く方法を紹介だ」

アリス「え? そんな方法があるのですか?」

ユウキ「以下の4つの手順を順番に行っていこう」


1.自分が最も筆の乗る箇所を思い出す

2.前後のプロットを再確認

3.その話用の、専用プロットを作る

4.ベクトルを合わせるため、その話で何を書きたいのか、明確化する


ユウキ「この順番で、試してみて欲しい」

アリス「う~ん。分かるような……。分からないような……」

ユウキ「分かる様に、説明するよ」



1.自分が最も筆の乗る箇所を思い出す


ユウキ「当然だが、小説を書くにはモチベーションが高い方が良い」

アリス「やる気は行動の後に出ますけど……」

ユウキ「モチベーションの高さは、やる気とは違うんだ。シーンによって異なる」

アリス「なるほど。やる気を出したうえで、モチベーションも高めると」


ユウキ「だから執筆中にモチベーションが、最大になる箇所を分析しよう」

アリス「それが最も筆が乗るシーンってことですね?」

ユウキ「ああ。書くことに悩むと、モチベーションの低下に繋がる」

アリス「そのまま下がり過ぎると、書かなくなると」


ユウキ「だから悩んでいる時は、とにかく筆が乗るシーンを書くんだ」

アリス「なるほど。モチベーションを高めるためですね?」

ユウキ「うん。俺の場合、戦闘シーンが好きだから、さっさと戦わせている」

アリス「なるほど。そうやって、モチベーションを高めている訳ですか……」


ユウキ「でも注意が必要な事が、1つだけある」

アリス「注意ですか?」

ユウキ「ああ。早くそのシーンに持っていきたくて、前後の整合性が壊れる事だ」

アリス「確かに。物語が急展開になったりしますよね」


ユウキ「だから次の事と合わせて、自然につながるように意識しよう」


2.前後のプロットを再確認


ユウキ「プロットがあるにしろ、ないにしろ。前後のシーンは思いつく」

アリス「え? 後のシーンが思いつかないから、詰まっているのでは?」

ユウキ「ここで言う、後とは。話のオチ。つまり"完全に設定を開示した状態"だ」

アリス「なるほど。謎が全て明かされた後ってことですね」


ユウキ「当然前のシーンもあるはずだ」

アリス「それはそうでしょ。詰まっているのですから」

ユウキ「だから前後のプロット。前の話までと、オチを再確認してみよう」

アリス「再確認にして、どうするのですか?」


ユウキ「今の状態で足りない部分を、確認するためだ」

アリス「足りない部分?」

ユウキ「例えば伏線、キャラの掘り下げとかな」

アリス「なるほど。オチを効果的にするために、"足りない部分を補う"のですね」


ユウキ「そうだ。その"足りない部分"が、今書くべき内容だ」

アリス「ふむ。確かに後の話に繋がっていきますね」

ユウキ「でもこのやり方にも、欠点がある」

アリス「そうなのですか?」


ユウキ「整合性を意識し過ぎるあまり、モチベーション低下を招く」

アリス「ああ。確かに。ガチガチなプロットだと、書いてて楽しくないですから」

ユウキ「だからさっきの方法と合わせて、モチベーションを意識する」

アリス「なるほど。モチベーションを保ちつつ、整合性も意識出来ると」


ユウキ「俺の場合、戦闘中の掛け合いで、重要な情報が出てくるとかな」

アリス「戦闘中の、キャラの心理描写で、掘り下げるとかですね」

ユウキ「ただし、この2つを組み合わせただけじゃ、欠点がある」

アリス「そこで次の方法が、出てくるという事ですか」


3.その話用の、専用プロットを作る


ユウキ「ネット小説なら1話、新人賞用なら、1章1部などで区切る」

アリス「それ専用のプロットを作れってことですか……」

ユウキ「ああ。細かい物語の動きを決める事で、整合性を高めるんだ」

アリス「形を整えるという事ですね」


ユウキ「その話がどこに向かっていくのか? それを決める必要がある」

アリス「何のために、その話があるのかってことですね?」

ユウキ「うん。細かい調整をしながら、計画を練っていくんだ」

アリス「確かに目標があれば、書きやすくなりそうです」


ユウキ「やっぱりと言うか。このやり方にも欠点はある。しかも2つ」

アリス「まあ、完璧なやり方は、ありませんし……」

ユウキ「1つはモチベーション問題。もう1つは、細かく決めすぎ問題だ」

アリス「前者は先ほどと一緒ですね。後者は?」


ユウキ「要するに、"無駄な事にまで、こだわる"ってことだ」

アリス「無駄な事まで?」

ユウキ「本筋から外れたことを書いちゃうんだ」

アリス「なるほど。心理描写が細かすぎて、どうでも良い部分まで書くのですね?」


ユウキ「そういう事。あまり後の展開に続かない描写は、やっぱり好ましくない」

アリス「勿論寄り道ならではの、楽しみもありますが……」

ユウキ「話が逸れないためにも、最後のやり方と組み合わせようか」


4.ベクトルを合わせるため、その話で何を書きたいのか、明確化する


ユウキ「その話で、結局"何が書きたいのか?"を明確化しておこう」

アリス「ふむ。前の例だと、"伏線を書く"や"掘り下げを行う"などですね」

ユウキ「話が向かうべき方向性を、はっきりさせておこう」

アリス「横道に逸れない様、目的を意識するってことですね」


ユウキ「目的から外れた、細かい部分は、バッサリカットしてみよう」

アリス「無駄な部分を削ぎ落すという事ですか」

ユウキ「難しく考える事はないよ。足りない描写で、書きたいのは何かを1つ挙げれば良い」

アリス「1つで良いんですね。確かにそれくらいならできそうです」


ユウキ「じゃあ、最後に1つの例を挙げながら、全体の流れをおさらいしようか!」

アリス「お願いします」

ユウキ「以下の例に合わせて、実際に試し見よう!」


1.自分が最も筆の乗る箇所を思い出す

→戦闘シーン。なので、さっさと戦闘を行う


2.前後のプロットを再確認

→足りないのは、伏線。伏線を張る戦闘シーンを書く

 ・今回の場合敵側の動機描写が弱いので、そこを深く書く

 ・敵に心酔する部下を出す。敵の元へ向かう途中で、部下と戦闘を行う


3.その話用の、専用プロットを作る

→何故戦うのか? その戦いが、後にどう響くのか? どんな伏線が張られるのか?


4.ベクトルを合わせるため、その話で何を書きたいのか、明確化する

→敵役の部下を通じて、敵側の動機を鮮明にする


つまり書きたいことは……。

『敵役の部下と戦いながら、敵役の動機をハッキリさせること』


ユウキ「どうだ? これで1話だけでも、書けそうじゃないか?」

アリス「ふむ。こんなやり方もあったのですね」

ユウキ「4つ個別だと欠点がある。だから組み合わせて、補うんだ」

アリス「骨組みが出来たから、後は肉付けをするだけですね」


ユウキ「次回は"キャラや設定の掘り下げ描写"について解説するぞ!」

アリス「設定では掘り下げますが、実際に本編でどう描写すれば良いのか……」


ユウキ「それじゃあ、みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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