第33話 因縁を

ユウキ「今回は"物語を通して因縁を重ねる"について解説だ!」

アリス「前回の続きですね」

ユウキ「前回も言った様に、小説は回想シーンが苦手だ」

アリス「文字だけだと、どうしてもハンデがありますからね」


ユウキ「だから本編中に、因縁を重ねる必要がある」

アリス「ふむ。しかし実際どうやればいいのやら……」

ユウキ「そのためにも、以下の3つのポイントを押さえてくれ」


1.対決よりずっと前に登場させる

2.対立すべき必然性を作る

3.敵の最終目標を明確化する


ユウキ「まずはこれらを意識してみようか」

アリス「この3つのステップで、因縁は深まるのですか?」

ユウキ「まあ、1つずつ解説していくから。見てな」


1.対決よりずっと前に登場させる


ユウキ「当然だが、突然出てきた奴との対決は、盛り上がらない」

アリス「大魔王とか、例外はありますが、やはりそうですよね」

ユウキ「物語を通じて因縁を作るには、やっぱり前からの登場が必要だ」

アリス「どれくらいで登場させればいいのですか?」


ユウキ「大体物語半分より、前くらいだな」

アリス「序盤から中盤の前半ですね」

ユウキ「もっと遅くても良いけど、書きやすさで言えばこの辺りだ」

アリス「確かに。初めの方に書けば、掘り下げもできますからね」


ユウキ「それと。出来るだけ早めに主人公と出会わせよう」

アリス「後ろから指揮を執っているだけでは、ダメなのですか?」

ユウキ「有りだけど。慣れないうちは、やっぱり直接対決が良いと思う」

アリス「なるほど。敵役の書き方に慣れてから、難しい書き方をしろと」


ユウキ「うん。やっぱり言葉を交わすと、積み重なる因縁が違うんだ」

アリス「そのために、主人公と接触させるのですね」



2.対立すべき必然性を作る


ユウキ「当然だが、敵とは対立しないと、物語にならない」

アリス「それはそうでしょう。対立しないと、敵とは言いませんから」

ユウキ「そこで対立する必然性を考えてみよう」

アリス「対立する必然性ですか……」


ユウキ「要は互いに譲れないものだな」

アリス「譲れないから、対立する訳ですね」

ユウキ「これについては、価値観の相違を利用するんだ」

アリス「価値観の相違?」


ユウキ「前回言ったが、主人公と敵は設定がほぼコピペで良い」

アリス「どう感じるかが、大事なのでしたね」

ユウキ「その感じ方の違いが、価値観になる」

アリス「なるほど。片方が許せたことも、片方には許せないなどですね」


ユウキ「だからまず、互いの価値観ってやつを考えてみよう」

アリス「それが対立する必然性に繋がる訳ですね」


3.敵の最終目標を明確化する


ユウキ「当然だが、敵も目的があって、動いているわけだ」

アリス「そうですよね。目的なくて破壊されたら、意味わかりませんもん」

ユウキ「そのため、敵の最終目標を明確化しよう」

アリス「それって当たり前のことでは?」


ユウキ「俺もそうだったけど。意外と出来ていないものなんだ」

アリス「そうなのですか? 簡単そうですが……」

ユウキ「例えば、"世界を破壊する"のが目的の敵が居たとする」

アリス「ふむ」


ユウキ「でもそいつが、なぜ世界を破壊するのかを考えないと」

アリス「え!? やっぱり復讐とか?」

ユウキ「そう。そういうのが、本当の最終目標だ」

アリス「どういうことですか?」


ユウキ「最終目標とは、行動の先にあるものだ」

アリス「行動の先にあるもの?」

ユウキ「要は、"何のためにそれを成し遂げようとしてるのか?"だな」

アリス「なるほど。行動とその理由を考えるわけですね」


ユウキ「俺もそうだから、気にしなくていいが。"世界を壊す"で終わっている人も多い」

アリス「最終目標が、あやふやになっているという事ですね」

ユウキ「うん。"世界を壊して、何がしたいのか?"。それを明かさないと」

アリス「ふむ。でもこれが、因縁とどんな関係が?」


ユウキ「最終目標があれば、当然主人公は邪魔をするはずだ」

アリス「まあ、そうでしょう。敵にとって主人公は、障害です」

ユウキ「主人公が最終目標を知ることによって、敵との因縁が深まる」

アリス「確かに。必ず止めようと動くわけですからね」


ユウキ「遅くても中盤の後半で、最終目標を知る主人公を描写しよう」

アリス「それを止めようとする主人公と、因縁が深まる訳ですね」


ユウキ「今回は因縁の作り方を解説したわけだが、どうだった?」

アリス「敵って、ただ倒されるだけの駒ではないのですね」

ユウキ「うん。敵側を作るにも、労力が必要なんだ」

アリス「ただ嫌な奴出して、倒せば良いってものじゃないのですね」


ユウキ「雑魚はそれで良いぞ。でもここで紹介したのは、大ボスクラスだ」

アリス「あ、雑魚は良いんですね……」

ユウキ「敵役に慣れない内は、この3つを意識して、因縁を深めよう」

アリス「やっぱり過去から続く因縁は、難しいのですね」


ユウキ「次回は主人公、相棒、大ボス。この三者を考えてみようか」

アリス「大体この3セットあれば、物語が書けますものね」


ユウキ「それじゃあみんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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