第32話 敵役の生み方

ユウキ「今回は物語を盛り上げる、敵役について解説だ!」

アリス「よろしくお願いします」

ユウキ「対立軸がどうこうとか。結構指南書に書いてあるよな?」

アリス「ええ。対立が物語を面白くすると」


ユウキ「正直、実際そうなんだけど。ここでは難しいことはなし!」

アリス「ユウが解説出来ないだけでしょ……」

ユウキ「そもそもなんで敵役が必要なのかと言うと……」

アリス「話逸らしましたね」


ユウキ「単純に話を、動かしやすいからだ」

アリス「えぇ……。そんな元も子もない、理由ですか……」

ユウキ「まあ考えてもみろよ。障害物のない、アクションゲームが楽しいのか?」

アリス「まあ、楽しくないですけど……」


ユウキ「障害物のない物語って。逆に難しいんだ」

アリス「そうなのですか?」

ユウキ「勿論無理じゃないけど。ああいうのは上級者向けだな」

アリス「ユウはまだ初心者を超えた段階ですからね……」


ユウキ「そこで楽に物語を面白くするため、敵役が必要なんだよ」

アリス「う~ん。でもジャンルによって、必要性が違うのでは?」

ユウキ「いや。ジャンル問わず、敵役ってやつは作るのが可能だ」

アリス「でも恋愛や、日常系に敵役って……」


ユウキ「恋愛だとヒロインと対立したり、恋を邪魔する存在とかだな」

アリス「日常系には?」

ユウキ「某ネコ型ロボットにも、ガキ大将と言う敵役がいるだろ」

アリス「なるほど……。今の解説で大体分かりました」


ユウキ「それじゃあ、そろそろ。敵役の作り方を紹介だ!」

アリス「ふむ。どういったものでしょう?」

ユウキ「最初に言うが。ただ出せば良いわけじゃないから。ヘイト管理とか、大変だからな」


アリス「いたずらにストレス溜める相手じゃ、ダメってことですね」

ユウキ「まずは1人。この2つのルールで生み出してくれ」


1.主人公と因縁を作る

2.主人公と似てるけど違うと、違うけど似ているを意識する


ユウキ「他にもいろいろあるが。まずはこの3つを意識してほしい」

アリス「これだけじゃ、訳が分かりません」

ユウキ「と言う訳で。1つずつ解説だ!」


1.主人公と因縁を作る


ユウキ「まず言いたいのは。因縁は作中で作れってことだ」

アリス「は? どういう事ですか?」

ユウキ「俺もそうだけど。やりがちなのは過去を利用する因縁を作っちゃう」

アリス「因縁って、過去から続くものじゃないのですか?」


ユウキ「実は小説って、他の媒体と違い。回想シーンが難しんだよ」

アリス「文字だけで、過去を書く必要がありますからね」

ユウキ「だから過去に因縁があったとしても。非常に描写し辛い」

アリス「要するに、描写が薄くなるってことですね」


ユウキ「うん。だから"過去に何かあった"ではなく、"物語を通じて重なる"因縁が必要なんだ」

アリス「なんだか難しい話になってきましたね」

ユウキ「慣れないうちは、敵役は初対面が望ましい」

アリス「知らない相手と、因縁を作るためですね」


ユウキ「ここは非常に大事だから。次回に持ち越して深く解説する」


2.主人公と似てるけど違うと、違うけど似ているを意識する


ユウキ「当たり前だけど。敵の仕事はやられることだ」

アリス「そうですよね。敵が勝ったら、後味悪いですし」

ユウキ「そのため。勝敗を決する主人公との違いが必要だ」

アリス「何があって或いは、なくて負けたのかですね」


ユウキ「その違いを明確化するため。似ている部分が必要になる」

アリス「一致があれば、相違が分かりやすくなりますね」

ユウキ「"似ている"と"違う"は、あまり作中で言わない方が良い」

アリス「あくまで読者に、感じてもらうってことですね」


ユウキ「それでこの相違点の作り方だけど。ぶっちゃけ、主人公のコピペで良い」

アリス「ええ!? それはダメじゃないですか?」

ユウキ「勿論細かい部分は変えるぞ。でもコピペで言い必要性があるんだ」

アリス「どういうことですか? 手抜き以外で?」


ユウキ「ここで違う部分の解説だ。それは行動とかでなく、"感じ方"だ!」

アリス「感じ方? どういう事ですか?」

ユウキ「全く同じ設定でも。その設定をお互いどう捉えているのか。それが違いだ」

アリス「その設定をどう捉えるか?」


ユウキ「例えば能力。長所ととるか、コンプレックスにするか。本人の感じ方次第」

アリス「バカであることを強みにしている人と。学歴コンプレックスの違いですね」

ユウキ「なんて嫌な例えなんだ!? まあ、間違ってはいない」

アリス「自分の能力をどう見ているか。その違いが勝敗を左右するのですね」


ユウキ「うん。だから敢えてコピペの設定を利用する。全く同じだからこそ……」

アリス「感じ方の違いが、印象に残るわけですね」


ユウキ「他にも色んなパターンがあるが。まずはこの2つを覚えてくれ」

アリス「敵役を作るにも、考えが必要なのですね」

ユウキ「ああ。安直に嫌な奴を出せば良いものじゃないからな……」

アリス「経験者は語る。ですね」


ユウキ「次回は先ほど言った様に。主人公と敵役の因縁を解説だ!」

アリス「物語中で因縁を重ねるって、どういう事でしょうか? 難しそうです」


ユウキ「それじゃあ、みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る