第27話 キャラの目線に合わせる

ユウキ「今回もキャラの視点について、解説だ!」

アリス「確か、視点をごちゃごちゃ動かすものではないのでしたね」

ユウキ「今回はもう少し具体的に、視点について語っていこう」

アリス「お願いします」


ユウキ「そもそも視点の固定とはなんなのか? 以下の文を見てくれ」


 地下室にはバイクが置いてあった。バイクには拳銃が掛けられている。薄暗いランタンに照らされて、どこか不気味な印象を受ける。


ユウキ「この文章を見て、少し雑だなぁっとか思わないか?」

アリス「う~ん、確かに。どこか情報量が足りないような……」

ユウキ「これは作者の視点で、物語を見てしまっているからだ」

アリス「どういうことですか?」


ユウキ「例えば異世界転生ものだと仮定しよう」

アリス「異世界にバイクは珍しいですね」

ユウキ「地下室に入ったのは、一体誰なのか? その点を脳裏に入れてほしい」

アリス「全く意味が分からないのですが……」


ユウキ「地下室に入ったのが、バイクも知らない異世界人だとしたら?」

アリス「あ! バイクや拳銃の表現が、不自然になりますね」

ユウキ「うん。この文章はキャラの視点から、作者の視点に突然移動しているんだ」

アリス「なるほど……。そういう視点の動きも、あるのですね」


ユウキ「上の文章を、こんな風に変えてみたらどうだろうか?」


 地下室には奇妙な物体が置かれていた。馬のように見えるが、とても生物には見えない。飾りにしては不自然だ。

 奇妙な物体にはL字型の見たことない武具のようなものが装着されている。

 初めて見るものばかりだが、薄暗いランタンも相まって不気味さを感じる。


ユウキ「俺もまだまだだから、少し拙いが。どう感じた?」

アリス「物体の名称が違いますが、なんだか感情がこもっている文章ですね」

ユウキ「これが視点の固定だ。キャラが知らないことは、敢えて描写しないやり方」

アリス「三人称視点で書かれた小説でも、ここまで印象が変わるのですね」


ユウキ「俺も人の事言えないけど、作者は自分の目で小説を語りがちだ」

アリス「確かに……。私も良くイメージをそのまま描写にします」

ユウキ「そこで一方引いてみて、キャラの目線に入り込んでみよう!」

アリス「そのキャラの目線を頼りに、描写していくということですね」


ユウキ「物語はあくまで、キャラのもの。だから目線もキャラに合わせると、効果的だぞ!」


・作者の目線とキャラの目線を混同しない

・メインとなるキャラを決めて、視点を固定する

・目線をキャラに合わせる


ユウキ「突然で悪いが、俺達の話はここで終わりだ」

アリス「ええ!?」

ユウキ「次回から初心者向けではなく、ある程度慣れた人向けの内容になる」

アリス「ふざけやがったのですね?」


ユウキ「少し難しくなるから、全く書けなかった人は、一旦ここでストップしてくれ」

アリス「まあ、無理に色々習っても、仕方ないですからね」

ユウキ「慣れてきたら次回の内容、"最初の一行目に全力を注げ"を見てくれ」

アリス「もうテーマは決まっているのですね……」


ユウキ「それじゃあ慣れてきた人は、次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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