第25話 描写のコツ

ユウキ「今回は説明について、描写のコツを紹介だ!」

アリス「よろしくお願いいたします」

ユウキ「描写するって難しいよな? 特に小説は文字だけだから」

アリス「はい。クドクド説明するのも違いますし……」


ユウキ「だからと言って、説明不足も困る」

アリス「バランスをとるのが難しいですね……」

ユウキ「と言う訳で、そのバランスについて解説していこうか」

アリス「技術でそんなことがわかるのですか?」


ユウキ「ああ。描写って、要は読者にイメージ。つまり疑似体験してもらうことだ」

アリス「はい。疑似的な冒険を追体験してもらうのが、小説でしたね」

ユウキ「だから余計な描写を省くために、五感について学んでみようか」

アリス「五感ですか? そんなものが意味があるのですか?」

。例えば視覚について。詳しく知るだけでも、描写の仕方が違うぜ」

アリス「全く想像ができませんが……」

ユウキ「まず人間は人、物を見るとき大枠の形から認識するらしい」

アリス「リンゴなら赤よりも、丸いというのが、最初に脳に入るのですね」


ユウキ「それと小説は見えないものを、イメージで見せるものだ」

アリス「あ! なんだか視覚の情報が大切そうですね!」

ユウキ「つまり、脳が先に取得する情報から、描写すれば……」

アリス「スムーズにイメージを伝えることができるということですね!」


ユウキ「そう。例えば、以下の文章を比べてみよう」


1.赤いリボンのついた、制服を着た女子高生。体は小柄で子供っぽい表情が特徴だ。


2.小柄な体系な少女。服装は赤いリボンのついた制服で、子供っぽい表情が特徴だ。


ユウキ「どちらも全く同じ人物を説明している」

アリス「なんとなくですけど、2.の方が脳に負担が少ないような気がしました」

ユウキ「うん。読むのが面倒な時って、実は脳に負担がかかっているときなんだ」

アリス「ああ。確かに目が滑るような文章とか、ありますよね」


ユウキ「読み辛さって言うのは、イメージが固まらない文章の事もいうんだ」

アリス「なるほど。だから大枠から紹介して、徐々に細かい特徴をあげるのですね」

ユウキ「さっきは登場人物だったが、背景を描写したいときは……」


まるで体育館のような広さの部屋だ。家具が少なく、どことなく寂しさを感じる。


ユウキ「こんな風に、まずは部屋の大きさとか、先に描写するんだ」

アリス「大枠から視覚情報が入る。つまり脳に負担が少ないイメージですね」

ユウキ「俺は文章力は、このイメージし易さが、語彙力より大事だと思っている」

アリス「なるほど。でも実際色々勉強するのは、大変そうです」


ユウキ「そこで良い特訓方法を教えよう。その名も、”心の観察力”だ!」

アリス「微妙にダサいですが、何ですか? それは?」

ユウキ「眼だけじゃなく、五感で観察することだな」

アリス「ええっと、探偵か何かですか?」


ユウキ「例えば以下の情報を調べる時、どの情報から頭に入ってくるか分かるか?」


1.熱いコーヒーを飲む時、手が感じる順番

2.匂いはどの情報が優先されて、入って来るか?

3.辛いものを食べた時、刺激はいつ来るか?

4.スマホだと認識しているとき、どの情報で判断しているか?

5.音はどの順番で、脳に入ってくるか? 覚えやすい音楽とは?


アリス「……。全く分かりません」

ユウキ「まあ、俺も答えは知らん。人にもよるからな」

アリス「でも言いたいことは分かります。普段から観察しろってことですね?」

ユウキ「ああ。読み辛さを読み手側も、なぜ読み辛いのか理解していないところがあるだろ?」


アリス「はい。確かにクドイなと思っても、どの情報が余計か分かりません」

ユウキ「実はこういった、五感の情報が大事なんだ」

アリス「まずは自分が知らなきゃ、いけないということですね」

ユウキ「知らないものはイメージ出来ないからな。それは書く時にも困る」


・五感について、学んでみる

・見た目情報は、大枠から徐々に細かい情報を与える

・読み辛さとは、情報の入力順序が間違っている


ユウキ「この間ネタ切れといったが、案外嘘かもしれんなぁ」

アリス「ということは、次回の内容は決まっているのですね」

ユウキ「ああ。正直細かいテクニックだが、意外と重要度が高い技術だ」

アリス「次はどんなことを紹介するのですか?」


ユウキ「小説を誰の視点で語るのか。その重要性についてだ」

アリス「一人称視点の小説ということですか?」

ユウキ「いや、三人称視点でも、視点の固定は重要なんだ」

アリス「そのあたりは、次回に解説してもらいましょうか」


ユウキ「それじゃあ、みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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