第23話 イメージを活用する

ユウキ「今回はイメージをどう小説に活用するかを、紹介だ!」

アリス「お願いします」

ユウキ「イメージ力が高くても、それを利用できなきゃ意味がない」

アリス「しかし、イメージを小説に活用すると言われても、何をすればいいのか」


ユウキ「まず鮮明になったイメージを言語化して、説明してみようか」

アリス「言語化するですか?」

ユウキ「そうだ。例えば以下のような感じだな」


・月明りの夜、ピエロがナイフを持って曲がり角で待ち伏せしている


ユウキ「これは俺が描いたイメージの1つだ」

アリス「う~ん、やばい奴が誰かを待ち伏せしているのは分かりますが……」

ユウキ「まあ具体的にどういう状況か、分かりづらいよな? だから……」


・人通りの少ない住宅街が月明りのみで照らされている。

ピエロの恰好をした男性が、ナイフを片手に曲がり角でターゲットを待ち伏せ。

現在道を通る人は全く居らず、暗闇で動くものしか見ることができない。


ユウキ「こんな風に変えてみるのはどうだ?」

アリス「あ。さっきより情景が浮かんできます」

ユウキ「こんな風に、自分のイメージを他人に説明できるようになればいい」

アリス「それがイメージの言語化なのですね」


ユウキ「ああ。だがただ説明だけでは、小説にならない」

アリス「確かに。先ほどの文章も、小説向きと言えば微妙なところです」

ユウキ「次は説明を文章に変えてみよう!」


・満月が上り始めた頃の住宅街で、殺意が渦巻いていた。

 邪悪な笑みを浮かべたピエロが、ナイフを片手に曲がり角で息をひそめる。

 ターゲットはまだかと、人通りがない道を見つめていた。


ユウキ「こんな風に変えたら、さっきの文章も小説っぽくなるんじゃねえか?」

アリス「確かに。先ほどの文章より、説明感はなくなりましたね」

ユウキ「つまりイメージを小説に活用するとは、以下の手順の事だ」


イメージする→言語化する→詳細化する→文章にする


ユウキ「小説とは基本的に、この流れの繰り返しなんだ」

アリス「意外と手順が多いのですね……」

ユウキ「まあな。だから慣れない間は苦労すると思うぞ」

アリス「確かに。多少拙い文章になっても、これは許して欲しいですね……」


ユウキ「これらを上手にやるには、やっぱり繰り返し特訓が必要だな」

アリス「近道はないのですね。どんな特訓が必要なのでしょうか?」

ユウキ「まずは言語化のトレーニングだな。頭の中身を言葉に変えてみよう」

アリス「確かに。普段私達って、意外と言語に出来ない想像力を働かせています」


ユウキ「普段からイメージを言語化する特訓をしてみよう」

アリス「日常生活でも、使えそうなことですね」

ユウキ「最初は難しいと思うから、メモ帳などに頭の中身をそのまま書くでもOK」

アリス「何も書くことがない時はどうすれば良いのですか?」


ユウキ「そんな時は、何も書くことがないと書いてみろ。意外と何かが出たりする」

アリス「なんだか経験者っぽいですね」


ユウキ「次に言語化したイメージを、説明できるようになっておこう」

アリス「ただ言語を並べただけじゃ、他人は理解してくれませんからね」

ユウキ「これは結構難しい。言語化がスムーズにいってからでも大丈夫だ」

アリス「これはどうやったら良いのでしょうか?」


ユウキ「まあ簡単に言うと、イメージの観察だな」

アリス「は? 意味が分かりません……」

ユウキ「頭の中にある映像を、疑似的に見て、観察するんだ」

アリス「うわぁ……。なんだか難しそうですね……」


ユウキ「まあな。これが出来なきゃ、2番目の文章にも到達できないからな……」

アリス「観察力については、別の項目で触れた方が良さそうですね……」


ユウキ「最後に文章化することについてだが」

アリス「これが一番重要ですね」

ユウキ「特訓内容は単純だ。日記を書けば良い」

アリス「なんですか? その微妙に投げやりな特訓は?」


ユウキ「ちゃんと訳がある。日記って今日の出来事を、文章にすることだろ?」

アリス「まあ確かに。そうとも言えますね」

ユウキ「つまり日常で起こった何気ないひと時を、文章にまとめているわけだ」

アリス「なるほど。それで文章にするという、特訓を重ねる訳ですね」


ユウキ「日記と言っても難しく考えなくても良い」

アリス「日記と言われると、なんだか尻込みするのですが……」

ユウキ「印象に残った出来事を3つ挙げて、その時の感情を一言書くだけでも十分」

アリス「なるほど。それならできそうです」


ユウキ「とまあ駆け足ながら、長々と説明させてもらった」

アリス「イメージを小説に転用するのも、意外と大変なのですね」

ユウキ「次回からテーマを変えて、紹介をしよう!」

アリス「次はどんなテーマなのですか?」


ユウキ「説明するということについてだ」

アリス「説明する?」

ユウキ「小説は0知識の人に、情景から心情まで、説明しないといけない」

アリス「確かに。説明不足では、上手く魅力が伝わりません」


ユウキ「そこで次回は説明するとは、どういうことか解説したいと思う」

アリス「なるほど。意外と重要そうですね」


ユウキ「それじゃあ、みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る