第19話 ダイアログの使い方

ユウキ「今回はダイアログをどう扱うかを、解説だ!」

アリス「よろしくお願いいたします」

ユウキ「前回も紹介した通り、ダイアログとはキャラの心情だな」

アリス「はい。状況説明と対になるものだと」


ユウキ「だがダイアログは使えばいいってものじゃない」

アリス「そうなのですか?」

ユウキ「ああ。ここぞって所を見極めないと、テンポが悪くなる」

アリス「テンポですか……。確かに大事なものですよね」


ユウキ「逆に使い処が合致していれば、緊張感を生み出すことができる」

アリス「なるほど。ですがその使い処が分かりません」

ユウキ「そうだろうから。例文を用意してきた」


 既に体は限界が来ている。一方の相手はまだ、余力がありそうだ。

 主人公は拳を固めて、力を込めた。

 次の一撃にすべてを込めるべく、敵に向かって走り出す。


ユウキ「これは状況説明だけを、抜き出した文章だ」

アリス「確かに、心情は入っていませんね」

ユウキ「この文章に、ダイアログを入れるとしたら、どこに入れる?」

アリス「え? ええっと……。わかりません!」


ユウキ「まあ、だろうね。俺だったらこうするかな?」


 既に体は限界が来ている。一方の相手はまだ余力がありそうだ。

――マジかよ……。俺はもう一撃放つのがやっとだっているのに……。

 主人公は拳を固めて、力を込めた。

 次の一撃にすべてを込めるべく、敵に向かって走りだす。

――この一撃が外れれば、負けは確定……。絶対に当てなきゃなんねぇ!


ユウキ「こんな風に、”――”で心情部分を分けるのも手だぞ」

アリス「先ほどの文章に比べて、緊張感は上がってますね」

ユウキ「なんでこの部分にダイアログを使ったかを、解説するぞ」

アリス「ふむふむ。一体どんな理由なのですか?」


ユウキ「最初の部分は状況を、鮮明に伝えるために使っている」

アリス「状況を鮮明に伝える?」

ユウキ「ああ。ただ体が限界と言われるより、内面も追い詰められていると描写している」

アリス「あ! 確かに! 後者の文章では、一撃しか放てないことがわかります」


ユウキ「肉体的にも精神的にも追い詰められ、緊張感を増しているんだ」

アリス「前者の文だけでは、肉体的限界しか、分かりませんものね」

ユウキ「こんな風に、ちょっとしたダイアログで、状況をプラスできるんだ」

アリス「なるほど。適正に使えば、より緊張感が増すということですね」


ユウキ「次の部分は、決意表明……。状況の先読みと言ってもいいかな?」

アリス「状況の先読みですか?」

ユウキ「ああ。この場面。絶対に当てなきゃ負けると、先に描写しておくんだ」

アリス「何のために、そんなことを?」


ユウキ「最後の説明分を強調するためだ。回避されたら負けを、印象付けるために」

アリス「あ! 確かにこのダイアログで、印象が強くなっていますね!」

ユウキ「うん。もっと言えば、最初のダイアログの補足、強調でもある」

アリス「体も精神も限界。だから一撃で決めなければならないと」


ユウキ「こんな風に、状況の鮮明化と強調を行う。それがダイアログの基本だ」

アリス「なるほど。それがここぞという時なのですね」

ユウキ「さっきも説明した通り、使い処が肝心だ」

アリス「しかし、どうやって、使いこなせばいいのでしょうか?」


ユウキ「まずは下手でもいいので、ダイアログを意識してみてくれ」

アリス「意識してみる?」

ユウキ「ああ。今まで状況説明とダイアログがごちゃごちゃの人も、いたはずだ」

アリス「確かに。私もその一人です」


ユウキ「だからまずは、状況説明とダイアログを分ける、特訓から初めよう!」

アリス「なるほど。分けて考えることで、力が身につくということですね」

ユウキ「そういうこと! こればかりは、数をこなせだ!」

アリス「確かに。改めて解説されると、意識することが違いますね」


・ダイアログは使い方が大事

・情景の鮮明化と、強調を行うものである

・とにかく意識して、ダイアログを使ってみる


ユウキ「ここまで来たら、そろそろ次回で解禁して良いかな?」

アリス「何をです?」

ユウキ「プロットの書き方。今まではとにかくやれがメインだったが」

アリス「ああ。確かプロットの段階で飽きさせないためでしたね」


ユウキ「と言う訳で、次回は本格的に小説を書くための、プロットを紹介だ!」

アリス「プロットの書き方はたくさんあります」

ユウキ「いくつか紹介するから、自分に合ったやり方を、やってみてくれよ!」


ユウキ「それじゃあ、次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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