第17話 これからも(最終話)

「……なんか距離感近くない?」


 翌朝。

 いつものように登校前の我が家を訪れた眞水が、俺とラレアがくっついて座りながら朝ご飯を食べている様子を見て、めちゃくちゃ訝しんだ表情を浮かべていた。


「うぃ。タクミとわたしはラブラブになりましたのでっ」

「は? なに? どういうこと巧己?」


 ゴゴゴゴ……、と般若顔で空気をわななかせている眞水……。

 隠しても意味がないと思い、


「お、俺とラレア、付き合うことにしたんだ……」


 と素直に打ち明けた。


「ふぁっ!?」

「いずれ……親父たちにも打ち明けてどうにか認めてもらおうと思ってる」

「へ、へえ……」


 眞水は視線を伏せたのち、グワッと改めて視線を上げて、


「わ、私も好きだったのに!」

「俺のことが……?」

「ええそうよこのにぶちん! ふんっ、まあいいわ……その禁断の恋が長くは続かないことに賭けて私はその後釜を狙ってやるんだから……!」


 バイタリティーに溢れているな……。

 まぁ、眞水が俺に好意的な感情を持っているかも、っていうのは薄々感じていたことだが……実際にそうだったなら、悪いことをした気がする。

 今後も長く交友を持ち続けるんだろうし、色々フォローしておかないとな。


「まぁでも……巧己がラレアちゃんと付き合うなら、自動的にミーナ先生も排斥出来るからいいのかもね……」


 なんでミーナ先生が出てくるんだ……。

 ……まあいいや。


   ◇


「では今日もアオハルどーこーかいを始めますっ! 本日やりたいアオハルなことは――河川敷での殴り合いですっ!」

「却下よ却下!」


 放課後。

 眞水も交えて今日も普通にアオハル同好会が始まっている。

 ……相変わらず賑やかな環境である。


「えっ、ダメなんですか!?」

「ダメに決まってるわよ危ないでしょ!」

「なら予定を変更してあの夕日に向かって走りましょう!」

「今日くもり!」

「じゃあ校庭でキャンプファイヤーしながらマイムマイムを――」

「文化祭の後夜祭まで待ちなさい!」


 やれやれ……ラレアは本当にやりたいアオハルなことがいっぱいあるんだな。


「ラレア……時間はたっぷりあるんだから焦るなって。地道にひとつひとつ、今日やれそうなことをやっていこう」


 やりたいことがパンクしているラレアにそう告げると、ラレアは少し落ち着きを取り戻した表情で頷いてみせた。


「うぃ、そうですねっ。タクミがそう言うならそうしますっ」

「巧己の言うことはきっちり聞くのムカつくぅ……」

「では気を取り直しまして、今日はですねっ――」


 と、ラレアのやりたいことが木霊する。


 きっと高校を卒業するまでこんな感じの毎日が続くんだろうな。

 もちろんそれは大歓迎だ。

 

 味気ない俺の日常に彩りが付いたのは、ラレアのおかげだ。

 だからラレアが望むことを俺はサポートしてやりたい。


 そんなこんなで、お約束のようにこう言っておこう。


 ――俺たちのアオハルはまだまだこれからだ、ってな。






――――――――――――――――――

読了のほどありがとうございました。

そして何より、長く続けられずに申し訳ありませんでした。


今後は更に精進してやっていく所存ですので、よろしければまた別のお話を見かけたときにでも読んでやっていただけますと嬉しい限りです。


このたびは本当にありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

親が国際再婚した結果、大型犬みたいにじゃれつく義妹が送られてきた あらばら @siratakioisii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ