第8話:4つのライバー事務所勢の特徴

何事も無かったかのように配信を続けているが、どうやらREALTYでは結構こういうことが日常茶飯事らしい。

それが無くならない理由としては、人は誰かに依存し依存される存在であり、そしてダメだと分かっていても求めてしまう。

さっきの話で出ていた、たばこが辞められない理由もそのうちの一つなのだ。

そして戦争というのもこの世から無くならない。

人と人が生きている以上、争いは必ず起きる

もしそれを無くすことが出来るのは、世界で1人の生存者になることだ

そうすれば人同士の争いは不可能となるからだ。


応対も時は金成が口を開いた

「さっきの上弦の鬼3って人だが、俺も初めてお会いした。そういう事務所勢がいることも耳にはさんでいた

彼の事務所は『器物損害時ライバー事務所』と言って、嫌気術という特殊な能力を使ってくる。近年よく見るハッカー集団などが主に事務所勢として幹部に君臨していることが多いと聞く。実際に見てもらったら分かるように、パソコンやスマホにウイルスを強制的に流し込み、エラーを発生させる

ああなってしまうと外部からは配信しているように見えず、入室者も増えないし、何より人体に悪影響を及ぼす

そうなるとたちまちライバーは再起不能となり、この世界どころか現実世界で生きていくのも困難だ」


REALTY症候群以外にも、そんなことがあるなんて・・・

私は思わず息を飲んでしまった

しかし分からないことがあるので、私は聞いた


かにゃりー:一体何のために死に追いやるのですか?別に個人でライブ配信している分には問題ないでしょ?

気に入らないのなら正々堂々と数字で勝負すべきですし、何より人を殺める理由が良く分かりません


「問題はそこだ。彼らが何故そんなことをするのか分からないが、今後そういったライバー事務所勢と戦うことになるかもしれない

今のうちにこの世界に存在するライバー事務所勢達について、俺が知る限りの情報を提供しよう」


かにゃりー:お願いします


「まずさっき出会ったのが器物損害時ライバー事務所。この事務所の特徴は幹部がそれぞれ12人いる組織でナンバリングされている。さっき出会ったのが上弦の鬼3だが、聞いた話によると上弦の鬼1~6と、下弦の鬼1~6の12人事務所勢が存在する

それ以外にも下っ端ライバーが多数存在すると聞くが、警戒すべきは上位12人の幹部ライバー。そしてライバー事務所の社長だ。

社長の名前は確か『器物損害時 無様(きぶつそんがいじ ぶざま)と呼ばれており、何かあればすぐにパワハラ会議を行い、メンバーの総入れ替えが激しいことで有名だと聞く。とにかく関わらないことが一番だ」


かにゃりー:器物損害時無様(きぶつそんがいじ ぶざま)ですか・・・なんかすごい名前の社長ですね


「私はそういう人と絶対関わりたくないです!」

染煉獄華はさっきの戦いで少し疲れ気味になっているようだ。

しかしコンピュータウイルスに対して、即座にワクチンを形成する魔法には驚きだ。

どうやらただライブ配信するだけでなく、そういった技術も持っておかないと生きていけない世界なのかもしれない。


「次に気を付けてほしいライバー事務所は『幻影花壇』といって、現在事務所の人数がよく分からない組織だ。社長の名前も不明で、どうやって採用しているかは分からないが、こいつらもかなりやっかいな組織と聞く。

器物損害時ライバー事務所が『嫌気術』という能力を使うのに対し、この幻影花壇は『祈能力』というものを使うと聞く。メンバーは分からないが、特に最近目立つのは『ピカソ朦朧(もうろう)』というライバーには気をつけろ

妙な奇術師らしく、ある配信枠にいたリスナー30人を全員あの世に送ったと噂を聞く危険なライバーの1人だ」


かにゃりー:幻影花壇のピカソ朦朧ですね・・・祈能力ってのもなんかヤバそうなんですけどもうこれライブ配信関係あるんかな?

なんか普通にこの能力をビジネスの世界に活かしたほうが、いいような気もするんですけど・・・


「他に気になるライバー事務所として『謳歌七部会』という悪魔の能力を使ってくる、まるで海賊のような集団。向こうから仕掛けてくることは少ないのだが、たいていイベント関連を牛耳っているのが特徴的だ

噂に聞くとライブ配信をしていたら突如、自分の住んでいる地域で地震が発生し、家が倒壊したとかなんとか?

事実かどうかは分からないが、あるライバーが「グラグラグラグラ~♪」と喋った直後に地震が来たという、まさに悪魔の所業。メタバース世界というより、現実世界の空間から直接攻撃を仕掛けてくる危険なライブ配信をしていると聞く」


かにゃりー:いやなんすかそれwwwwwwwもうライブ配信の領域超えてるじゃないか!!なんだよライブ配信中に地震って・・・

しかも何それ悪魔の能力??それってもしかして、そのライバーは海泳げるんですか?海苦手ですか?


「わからん・・・ただ、船には乗りたがらないな・・・」


とりあえずなんかの漫画に出てきそうな展開・・・

私はそのライバー事務所勢たちはきっと、「配信王に俺はなる!」とか言ってそう・・・というイメージを勝手に持ってしまった。


「最後に気を付けてほしいライバー事務所は『灼熱のアカツキ』という忍者のようなライバー達だ

基本的にコラボ配信をしており、だいたい2人組で動くことが多い

特に気を付けてほしいのは『大蛇麻呂(おろちまろ)』というライバーだが、かつてオリジナルギフトイベントの入賞時、全て無料ポイントのみで他のライバーを圧倒したと聞く。多くの人の心を折る術を身に付けているらしいが、最も恐ろしいのが『黄泉転生』という禁術を使うらしいが、人の魂の入っていないリスナーを無限に呼び寄せるときく。

別名『botプレイヤー』とも名高いが、入賞は音符スタンプ(10pt)を100万個集めて、1000万ptを獲得したらしい。ギフトを投げたリスナーは全員端末を持たない謎のリスナーだったらしく、入賞後にはリスナー全員IDごと消えていたらしく

まるで死者がイベント時にだけ盛り上げに現れ、その後穢土へと浄化されたかのようなライブ配信だったと噂が出ていた」


かにゃりー:絶対そいつら忍者ヤル気ないやろ・・・


とにかくこのREALTYという世界がめちゃくちゃなメタバース世界なんだなということが理解出来た

いや正直よく分からないが、とりあえずこれがライバー事務所勢達の現実世界でなれなかった『なりたい自分』なんだなと思った

ぶっちゃけ今すぐこのライブ配信アプリ辞めたいけど、今辞めたら私はREALTY症候群で死ぬみたいなので抜け出せない

誰か、助けてええええええええええええ。

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