第1話 ギャンブル依存症の母と、娘。_16
保健所の職員さんに母の言動について伝えたところ
ギャンブル依存症の他に
適応障害の可能性が考えられると言われた。
こだわりがつよい
他人の気持ちが分からない
友だちがいない
怒りや焦りなど感情的に行動をする
など、幾つかの点で母の言動に当てはまることがあった。
適応障害のなかでも特に「自閉スペクトラム症」の傾向に近いと感じた。
今まで、母のギャンブル依存症をやめさせようとしたり、
金銭感覚などを正してもらおうとばかり考えてきたが、
もし仮にASDなのだとしたら、
悪い方向を良い方向にするという方向性は
母を傷めるだけになってしまう。
病気を治療するという方向性でないと誰も幸せになれない。
「治療、ということでしょうか」
わたしは言った。
「はい。でも、治療するにしても簡単にできることではないんです」
治療には何十年もかかる人もいる。
それだけ時間をかけても治らない人もいる。
薬で治るものでもない。
専門の病院がたくさんあるという訳でもない。
母の言動について、
納得ができる理由は見つかった。
しかし、問題を解決するいは、
時間が必要になる。
「治療をするか、見守るか。
いずれかを選択することになります」
職員さんは言った。
「なるほど」
ずっしりと、肩に重たいものが乗るような気持ちになった。
わたしは家で父に相談し、
また改めて相談をさせて頂きたいと伝えた。
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