第1話 ギャンブル依存症の母と、娘。_12

ある日、市が開催している住宅相談に行ってみた。

わたしは仕事をしており

市営住宅などの公営住宅に入る資格はなかったが、

競馬依存の母からの言葉や態度による攻撃に疲れていて

一時的に離れて暮らすにはどうすればいいか

誰かに聞いて欲しかった。


当日、駅前の公民館に行くと

市役所の人と、住宅相談員の人など複数名の人たちがいた。


わたしは母の競馬依存のこと、

同居している自分は、部屋に逃げて暮らしていること

競馬以外にも、母の家計運営に問題があることなどを話した。


相談員の人は、わたしの話を理解してくれた。

しかし、手立てになる情報を得ることはできなかった。

それぐらい家族内の問題は

介入のむずかしいことなのだろう。


「家は出てもいい。お金も払わなくていい」

相談員の人はそう言った。

自分の生活を守る。

親は親、自分は自分。

それで親が困るようであれば、

生活保護など、救済措置を受ければいい。

ただ、家は手放すことになるかもしれないけれど。


たしかに、制度上のことだけを考えれば

相談員の人の言うことは正しい。


もしくは、わたしは誰かにそのことを言ってもらいたくて

住宅相談にやってきたのかもしれないと思った。


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